空家対策特別措置法における自治体立入調査の実態とは?

空き家対策特別措置法が施行されたことにより、これまで管理放置状態でも特に誰からも文句を言われなかった空き家オーナーがざわついています。
特定空き家(等)に指定されてしまうと、行政からは立入調査を含む管理状態調査をはじめ、勧告、命令、はては行政代執行による空き家の強制撤去にまで至る可能性が現実となってしまったからです。

「空き家」と「特定空き家」の違い~認定から強制撤去まで
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流石に行政代執行による強制撤去は自治体側の最終手段となっていますが、それに至るかなり前の段階で、空き家不動産への立入調査はかなり容易に行われているとの情報が入ってきていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

立入調査を拒絶すると20万円の過料が科さられるので、実質的に空き家への立入調査を拒否することは不可能であるとも言えそうです。
今回は、空き家対策特別措置法における立入調査の実態について調べてみました。




空き家問題の背景と空き家対策特別措置法による立入調査

立入調査や強制代執行というキナ臭い言葉を伴った空き家対策特別措置法が施行されたのは、継続的に増加し続け、全く改善の兆しが見えない空き家を取り巻く背景が原因です。

総務省による平成25年の住宅・土地統計調査によると住宅総数6,063万戸のうち、空き家は820万戸に上ります。
少子高齢化で人口減少時代となった日本では、今後も空き家の増加が予想されています。

増加する空き家問題に対応するために、平成27年2月26日に空き家対策特別措置法が施行され、空き家問題解決へ向けて総合的な対策が推進される基盤が整いました。

統計局ホームページ/空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について
総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計職員に専門的な研修を行っています。
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いまや空き家問題の解消は国の重要課題

あなたも近隣の住宅街を散歩していると、庭に雑草が生い茂り、庭木が道路に追い被るような屋敷を目にすることがあるのではないでしょうか。
この様な屋敷をみると無人の空き家不動産かな?という印象を受けますが、本当にこのような無管理状態の空き家不動産は増えました。

前述の様に総住宅数の13.5%が空き家であり、約7.5軒に1軒が空き家になる計算ですから、一般的な住宅街でもワンブロックを歩けば1~2軒の空き家があるイメージになります。
これは地方に行けばいくほど顕著ですが、東京都内も例外ではなく、目に見えて空き家の数が増えているのが、体感的に感じられると思います。

引用:http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/pdf/nihon01-2.pdf

また、近年空き家問題がマスメディア等を通じてクローズアップされたために、なんだか急に空き家が増加したような印象を持つ方がいるかもしれませんが、上図のように、空き家不動産は何年も前からじわじわとその数を増やし続けており、ようやく近年その実態が顕在化したに過ぎないというのが実態と言えます。

これを受けて国でもようやく重い腰上げつつ、これまでの住宅政策での失策を取り戻すべく(?)空き家対策特別措置法といった法規制を遅ればせながら実行せしめたといった具合になっています。

家族構成の動向からも予測できる空き家の増加傾向

少子高齢化により人口減少時代に突入した日本では、かつての両親に加え子供2人の4人家族という平均的家族像は大きく変化し、子供1人という核家族の姿が多くなりました。
また、DINKs(Double Income No Kids)という言葉が誕生して久しい思いがありますが、子供のいない夫婦も今や数多く、DINKsは全く珍しい存在ではなくなってしまいました。

この新しい家族構成のトレンドを相続というポイントから見ると、空き家問題の重大性をより一層理解することができます。

簡単な例として、一人っ子同士が結婚した場合を想像して下さい。
この夫婦の両親の実家は2軒ありますが、いつかは若夫婦の実家は2軒とも空き家となります。その後に夫婦のどちらかの実家に住むとしても、余った1軒の空き家が生まれます。

若夫婦が本人達の家を別途購入していたら、この若夫婦は2軒の空き家を相続して管理することになります。
この様に家屋のような不動産はストック資産として残存する(現金のように消費されて目減りすることがありません)ので、今後はより一層空き家は増加し大きな問題となります。

更に、相続人の存在しない空き家も発生します。
子供のいない世帯であるDINKsや一生配偶者を持たないお一人様が増加しているため、この世代が被相続人となる時期には管理者候補である近親者である相続人が(親戚等を除くと)いない世帯も存在していることになります。

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空家対策特別措置法

このように増加する空き家、今後さらに急速に増えると想定される空き家問題を総括的に対応すべく平成27年2月26日に施行されたのが「空き家等対策の推進に関する特別措置法(通称 空き家問題特別措置法)」であることは述べました。

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この法律は、国、都道府県、市町村それぞれの役割を明確に規定し、空き家所有者による適切な管理の実施が行えるように促し、近隣への空き家の影響を排除することで、安心・安全な地域環境をもたらすのが目的です。
更に併せて、空き家不動産の利用・活用を促進するために、空き家バンクや空き家データベース構築などの環境整備を促進することを定めています。

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国土交通省でも、この法律の理解促進のために情報発信を努めており、法律を適用する際の注意事項が記載されたガイドラインが下記のように準備されています。

住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

空き家対策特別措置法 – 国の責務

空き家対策特別措置法では、国(国土交通大臣・総務大臣)の責務を以下に定めています。

  1. 空き家等に関する施策の基本指針の策定
  2. 施策の実施に要する費用に対する財政的援助・税制上の措置

空き家問題は、個別性・地域性が大きく影響するために問題レベルに地域差、個別差の振幅が非常に激しいのが特徴です。
国による全国一律的で画一的な対応よりも、きめの細かいローカライズされた問題対策が期待されており、それを実行できる市町村自治体が個別問題対策の主体を務めることとされています。

そのため、国は地域特性に合わせた対応を国は財政的・税制的にサポートしつつ、全国からの事例収集や空き家データベース作成といったマクロ視点での対応責務を擁しています。

空き家対策特別措置法 – 都道府県の責務

空き家対策特別措置法では、都道府県の責務を以下に定めています。

  1. 市町村に対する技術的な助言
  2. 市町村相互間の連絡調整等必要な援助

都道府県は、市町村規模で対応することが困難な空き家問題の課題に対して、技術的な援助役と都道府県内の市町村の相互間の連絡調整を担います。
国の作成するガイドライン等を地域の特性に合致したガイドライン等に改訂し市町村が実行しやすくするのも都道府県の重要な役割となっています。

空き家対策特別措置法 – 市町村の責務

空き家対策特別措置法では、市町村の責務を以下に定めています。

  1. 国の基本指針に即した、空家等対策計画の策定
  2. 協議会を設置して具体的な行動の実施

また、空き家対策計画の内容としては、以下の4項目となります。

a.空家等の所在や所有者の調査
b.固定資産税情報の内部利用等
c.データベースの整備等
d.適切な管理の促進、有効活用

「具体的な行動の実施」という文言でわかるように、空き家問題の対応実務においては、市町村が主体的に活動することをこの法律で定めています。
したがって、立入調査や行政代執行などにおいても常に窓口は空き家が所在する市町村自治体が応対することとなります。

自治体による空き家立入調査の目的

空き家対策特別措置法の目的は、1.近隣の住環境の保全、2.空家の利用・活用の促進に大別されますが、個別の空き家管理状況の把握は不動産オーナーの協力なくしては成し得ません。

周辺環境に悪影響を与えていると判断された空き家(特定空き家)に対し、市町村自治体も初動は電話等による事情の聞き取りレベルから柔らかく応対をスタートしますが、空き家オーナーの無管理状態に悪意を感じたり、聞き取り調査への対応を怠ったりしていると、空き家に立ち入っての実地調査の遂行へと応対レベルが硬化していきます。

明確に規定されているわけではありませんが、行政の実務レベル対応では電話等聞き取り段階において、空き家不動産オーナーに悪意があるかどうかが立入調査実施可否の判断材料として強く働いているとされているようです。

近隣住環境の保全に立入調査が必要となった理由

保有する不動産が空き家状態だとしても、適切に管理さえされていれば、周辺住環境に対する脅威となることはありません。
しかし、空き家が適切に管理されていない場合、近隣の住環境や防災防犯上の深刻な脅威と判断される可能性がでてきます。

空き家対策特別措置法では、倒壊などの危険性がある空き家を特定空き家等に指定することで、市町村は所有者への助言、指導、勧告ができる権限を与えらていますが、現物不動産への立入調査なくして適切な改善指導につながる情報を得ることができないという、行政側の事情があります。

また、無管理状態の空き家に立入調査が行われる可能性があることは、空き家所有者に対する「自主管理を促すプレッシャー効果」も期待することできます(立入調査を行わずして改善指導が成立するならば、当然その方が無駄なコストを使わずに済むわけです)。

行政の税収増加布石のためにも立入調査が重要

実は、市町村自治体の立入調査には空き家管理状態の改善指導以外に、もう一つの目的があると読み取ることもできます。
空き家対策特別措置法設置目的の1つである「空き家の利用・活用促進」のためには、空き家物件に関する実態と実測情報が整備されている必要があります。
固定資産しか発生させない無管理状態の空き家を、別途収益を生む土地活用促進につなげることができれば、所得税その他多くの税収を追加で発生させることができます。

将来的な税収確保の布石のためにも、空き家不動産を空き家のままで無管理放置されてしまうことをこれ以上増加させるわけにはいかないという、行政の別側面の事情があるわけです(立入調査をきっかけに1度不動産が転売されるだけでも、まとまった譲渡所得税等の税収が行政には落ちてきます)。

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だからこそ、現状はコストを擁してでも空き家不動産の立入実地調査を行い、現場情報の収集に努める必要があるのです。

ここでいう行政が欲しがっている実地情報とは、例えば、具体的な無管理空き家の位置情報(住所)、空き家の規模(敷地面積・家屋の床面積など)、空き家の毀損レベル(傷みの程度)、外構・庭の毀損レベル(塀・木立の状態)等です。

実態を正確にとらえた上記の情報は、行政にとって利用価値の高い情報です。
これらの情報を収集・整理し、市町村で一元管理することで、民間事業者などでの空き家の利用・活用を後押しするのも行政側の狙いの1つです。

立入調査の実施状況

引用:http://www.mlit.go.jp/common/001123128.pdf

市町村による特定空き家への立入調査の実施状況を上記図(引用:国土交通省)に示します。
これは、平成27年10月1日現在のデータですが、概ね全市町村の1/3は立入調査の実施をしておらず、この時点で予定も無い、との回答となっています。

この調査状況に対する回答の解釈は簡単ではありませんが、思ったより現場の動きが素早いという印象を私はもちました。
空き家対策特別措置法の施行から約7か月間で約1/3の市町村が立入調査を実施又は実施予定と回答していることは、地方自治体にとって空き家問題の存在はのっぴきならない早急対応が必要な課題として捉えていることを意味しています。

一方で、全体約1/3の地方自治体は、立入調査を実施しておらず、現時点では予定も無い、という回答を寄せています。
空き家問題は特定エリアのみの存在する問題ではなく、都市部から過疎地まで日本全国の自治体でほぼ例外なく問題になっていることから、上記数値は立入調査に対する予算的、時間的な現場負荷が大きいため、現実的には立入調査を実施するには一定のハードルがあることも同時に窺わせる内容となっています。

参考 国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について

立入調査の手順

市町村が実際に空き家不動産への立入調査の通知を空き家の所有者に発するまでには、一定のプロセスと手間を要しています。
空き家対策特別措置法による「特定空き家等」指定がなされた場合の、市町村による立入調査を含む指導・助言・勧告・命令等の一般的な流れを見てみます。

STEP1.空き家候補の通報

市町村は、当初から空き家に関する情報を全て把握している訳ではありません。
多くは空き家とみられる家屋の近隣住民からの通報や市町村関連部署職員のパトロールにより、空き家不動産と思われる家屋の存在を発見、認識することとなります。

他にも水道の利用状況(通水状況)の有無で家屋が有人か無人かを大まかに把握することが可能です。

これらの通報発見に基づく情報により、市町村の「都市計画課住宅担当」といったような、所定担当部署の職員による調査が始まり、空き家対策特別措置法での「空き家の定義」に相当する疑いがその物件にあるかどうかを確認します。
この段階で本物件が空き家に該当しないと判明した場合には次の段階には移行しません。

例えば、人が住んでいなくとも何かしらの形(例:民泊や商店等)で利用されている家屋や、1年間の間にたまに訪れて寝泊まりされている家屋などは、同法律上では「空き家」と定義されません。
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STEP2.物件所有者調査

対象となる空き家物件の所在地から所有者を特定します。
住民票、戸籍、不動産登記事項等から所有者を割り出しますが、近年では有力情報源である登記事項に、正しい登記情報が記載がなされていない場合もあり、不動産所有者の特定に至らないケースが頻発しており問題になっています。

所有者不明の土地:調査へ 登記制度見直し 法務省が研究会 - 毎日新聞
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空き家対策特別措置法では、固定資産税課税台帳の情報を所有者の特定に用いることができるようになったので、所有者特定が効率的になされると期待されています。

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STEP3.情報の集約とデータベース化

空き家に関する情報は、前述の様にアナログデータが中心です。
これらの情報を利用しやすい形式に変換して、利用の利便性を高めるにはデジタル化、データベース化が必須とされています。

データベース化された空き家情報は単純に全国統一の空き家データバンクにインプットする個別情報になるだけでなく、それぞれの地域毎に空き家が発生する原因特定や売却成功事例データなどのビッグデータとしての活用が見込まれています。

例えば地理情報システム(GIS Geographic Information System(s))は、住宅の位置などの地理情報をデジタル化し、その他の情報と関連させ一元管理することで、種々のデータ間の相関性などの発見に役立つシステムです。

特定エリアの空き家に関する種々の情報をGIS上に登録することで、空き家の状態を立体的に把握することができますし、空き家の活用の際にも、このデータを利用でき有効活用促進の後押しとすることが期待されています。

いずれにせよ、市町村自治体で収集された空き家に関する情報は、一過性の情報として問題解決後に即廃棄されるという性質のものではなく、デジタルデータベースとなって市町村、都道府県、国レベルで蓄積していくことになります。

STEP4.空き家所有者への通知

空き家不動産の所有者又は管理者が判明した場合、本物件に対する管理状況に関して問い合わせる通知が発送されてきます。

STEP5.立入調査

敷地の周辺からの調査で、空き家の状態が判明しない場合には、空家対策特別措置法第9条第2項の規定により立入調査に至る場合があります。
所有者等が把握できているときは、立入調査5日前までに通知がなされます。

立入調査を拒むと20万円の過料が科せられます。

STEP6.助言又は指導

敷地周辺からの調査や立入調査の結果、空き家の管理状態および問題対応に対する悪意の有無等によっては、不動産所有者等に対し、空き家の除却、修繕、敷地内の立木竹の伐採等、空家対策特別措置法第14条第1項に基づく助言又は指導を行います。

尚、この段階で助言や指導に従う形での空き家管理を開始させれば問題は沈静化いたしますが、行政指導を無視すると勧告→命令という順序で厳しい態度での対応がなされるようになり、最終的には行政代執行による実力行使での空き家撤去等に至ります。

行政命令に従わない段階で50万円の過料が科せられ、行政代執行による空き家撤去に至った場合はその費用全額が空き家所有者に後日請求されます。

ただし、空き家全体が一律的に解体されるということではなく、周辺環境に対して問題を発生させている箇所に限定して解体されるという形が主流です。

実際の空き家立入調査事例

引用:http://www.sankei.com/region/news/160303/rgn1603030058-n1.html

市町村による特定空き家への立入調査は、敷地外からの外観調査を基本として、空き家又は特定空き家に指定するに足る判断材料が、それ(外観調査)のみではどうしても得られない場合に実施されます。

また、空き家対策特別措置法は、立入調査の実施日の5日前までに通知することを要求していますので、そこに至るまでの綿密な調査スケジュール調整を実務では要します。

立入調査の担当者には、身分証明書の携帯と提示義務があります(空き家所有者等の関係者から要求があった場合)ので、事前に身分証明書の携帯を周知徹底させます。
また、腕章や名札などを準備し、現地調査の際に着用します。

立入調査員証

更に、現地調査において、対象空き家の周囲の巡回、写真撮影を行うので、近隣住民への現地調査実施の回覧などの広報活動も行われます。
写真撮影においては、対象となる家屋以外の建物や人物が映り込まない様に注意するよう指導がある模様ですが、周辺への広報活動等と相まって大掛かりな立入調査が行われれば、周辺住民に立入調査事実を知られてしまう事は、まず避けられないでしょう。

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あなたの所有物件が立入調査に至らないために

不動産所有者の空き家管理の姿勢に厳しい視線が注がれるようになったのは理解できるものの、物理的に所有している不動産が遠方にあるといった理由で、自分自身上手く物件管理ができていないことを自覚しつつも、どう対応して良いかわからない方もいるでしょう。

しかしながら、行政や空き家不動産周辺に住む方々にとっては、そういった空き家不動産オーナーの個別事情を懐深く受け止めて理解してくれるということはまずありません。

空き家不動産への立入調査やその先に繋がってくる行政代執行を避けるためには、空き家をしっかりと管理するか、思い切って手放すかという2択が迫られます。

空き家管理は最低ひと月に1回

空き家対策特別措置法における大まかな「空き家の定義」は、1年間全く利用せず、通水・通電を行っていない家屋のことです。

まずは、月に1度程度のペースで空き家不動産に直接出向き、外周や庭のゴミ拾い、ポストにたまった郵送物の処理、通水、通電、換気、窓割れチェック、侵入者形跡チェック、ゴミ及び害虫発生チェック、第三者による不法投棄物有無チェック、屋根(雨漏り)、外壁毀損チェック、外灯チェックといった基本的な空き家管理項目をクリアできるようにしてみてください。

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自分で管理が難しい場合は外部業者の力を借りる

自分自身で空き家管理が難しい不動産オーナーのために、空き家巡回サービス業界が活況を得ていますので、利用しない手はないでしょう。

もっとも安い業者では月100円(※外観チェックのみ)からの低料金で月1回~数回の空き家管理を代行してくれますので、一度サービスを比較してみたうえで、外注依頼をしてみるのはいかがでしょうか。

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思い切って空き家不動産を売る

未来永劫的に空き家への立入調査や行政代執行を回避するならば、空き家不動産そのものを売却してしまう手段に勝るものはありません。

空き家が相続した実家である場合、家族の思い出や思い入れが非常に強いのが普通ですから、物件売却に大きな抵抗を感じる方もいるでしょうが、売却手段に障害がない場合は、1日でも早く物件を手放してしまった方が、経済的心理的には非常にメリットがあります。

空き家不動産の売却においては、不動産会社を通さずに自分で行いたい場合は、空き家の隣地住人に固定資産税を元にした割安価格固定資産税評価額の7掛け程度が相場)で話を持ちかけ、そこから実態に沿って値引き(値上げ)をして交渉するとスムーズにまとまりやすいです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171129-00151113-diamond-bus_all

不動産会社の選定方法

自分自身で売買交渉を行いたくない場合は、ストレートに不動産屋に仲介を頼んで物件売却に進んだ方が良いでしょう。
仲介自体も複数の不動産会社に同時依頼した方が売買成立確率が高くなります。
しかし、売主が複数の不動産会社の窓口をあちこち訪問し、その実力を判断し、仲介契約を締結するのは現実的には非常に手間を要する仕事ですので、困難を極めます。

そこで、売却希望不動産の価格見積を複数の不動産会社からまとめて入手できるサービス(不動産一括見積もりサイト)を提供する企業がありますので、利用をお勧めします。

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空き家隊長
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空き家を高く売るための良心的不動産会社の選び方(不動産一括査定サイト一覧比較付)
あなたの(空き家)不動産の最高額売価を即座に知る方法が1つだけあります。 空き家不動産に限らず、土地、一戸建て、マンションなどの不動産...

空き家対策特別措置法の規定する「空家の定義」を逆手にとって当座をしのぐ方法

以下の方法は根本的な空き家問題の解決にはならないので、あまりお勧めできる方法とは言えないのですが、個人的な事情ですぐに空き家管理ができない、売却することも難しい、といったご事情を抱えた方は、当座の時間稼ぎのために下記の方法を取ってみてください。

所有物件を「空き家の定義」から外すアクションを取る

空き家対策特別措置法による立入調査を避けるためには、対象物件が、(実体はどうあれ)法律上の空き家に相当しなければよいのです。

同法上で意味する空き家は以下の要件を具備したものです。
これら1~5の条件を満たした家屋がこの法律が規定する空家となり規制の対象となります。

  1. 建築物又はこの建築物に付属する工作物
  2. 対象は使用されていない建築物等
  3. 使用されていないことが常態
  4. 対象とする空き家の敷地も含む
  5. 敷地にある木々や定着物を含む

空家対策特別措置法で規定する空家の要件1~5の中で1,4,5は、対象物を定義しています。物理的な要件定義です。

また、要件2及び3は前記対象物の管理状態を定義しています。
同法律で空き家は長期間にわたって(常態的に)使用されていない状態にある家屋と敷地であると定めていますが、これはすなわち、建物に人が住んでいないことが常態でなければ、それは空き家ではないといっていることも意味しています。

ここで規定されている「常態」とは、1年間を指すことと考えてよいです。
また、居住常態の確認方法としては水道(通水)と通電です。

つまり、1年のうち最低1度(できればもっと回数は多い方が良い)は空き家に訪れて、水と電気を使いつつ宿泊する。
また、水道代電気代は年間を通じてしっかりと支払い続ける、ということが、同法上の空き家に定義されないための条件となってきます。

ですので、どうしてもすぐに空き家管理や売却ができないならば、水道電気のインフラ代を支払い続けつつ、年間数日を空き家で寝泊まりすることが、即時の立入調査を防ぐことができる、当座の対処方法になりえるといえるでしょう。

まとめ – 根本的解決には「管理」か「売却(活用)」

不動産は、所有しているだけでも税金に加えて管理コストがかかります。
それは空き家状態になっている物件でも例外ではなく、行政が立入調査や行政代執行といった強硬的手段を取ってきた場合の当座対処方法でも、結局は多かれ少なかれの物件管理に着手することが、不動産オーナーにできる数少ない対応方法です。

物件の管理方法は、空き家巡回サービスといった外注を使ってもよいですし、ご自身やご家族で定期的に行っても構いません。
いずれにせよ、無管理状態で空き家不動産を放置することは、国策として既に許されない行為になってしまったことを、私たちは重々自覚しておくべきでしょう。

もしも「誰も住んでいない不動産にコストをかけるのなんて1円でもいやだ」というお考えをお持ちの方ならば、1日でも早く物件売却に着手するべきでしょう。
地方の土地家屋であったとしても、年間数万円程度の固定資産税が数年、数十年と積み重なれば、それなりの無意味な出費になり果てます。

だったら1日でも早い不動産売却をお勧めします。
空き家不動産オーナーのお金と手間を守ってくれ、行政により立入調査や行政代執行を避けるための、一番効果効率の高い対応方法だからです。

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空き家隊長

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実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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