空き家不動産の維持管理に必須メニュー6選

諸事情により相続した実家住宅が空き家になってしまうことは止むを得ないとしても、それが「迷惑空き家」となって近隣住民に悪影響を及ぼしてしまっては、近隣の住民の方々や行政だけでなく、親や祖先にも申し訳がたちません。

しかし本音では「空き家不動産をしっかりと管理したい」という気持ちがあっても、利益を生まないままの状態である空き家不動産に対しては、あまりお金をかけたくないのが本音といえるでしょう。。

では、現実的に空き家はどのレベルまで手を入れて維持管理したらいいのか、どの業者にどういった内容の管理を依頼したらいいのかについてを今回の記事明確にするために、最低限でもこれだけはやっておいたほうがよいと思われる、空き家管理メニューを6種紹介いたします。




目次

将来的に空き家をどうしたいのか(売却、賃貸、活用、撤去)から逆算して管理メニューを決める。

空き家不動産の維持管理メニュー6種を紹介する前に、まずは空き家管理の目的をまとめてみます。

というのも、空き家不動産を管理する業務メニューは細かくピックアップすると数十項目に及び、それらをすべて空き家所有者が自分自身(特に遠方に住んでいる場合)で行うことはほぼ不可能であり、外部業者に全てを頼むと今度は費用が大変にかさみます。

そこで空き家不動産の「何を」「どうやって」「どのレベルまで」管理するかを、事前に絞り込んで決めておくという作業が重要になってくるからです。

そのためには、空き家不動産の管理メニューを、将来的にその空き家不動産自体をどうしたいのかという「出口戦略」から考えると、決めやすいです。
その出口戦略の内容は「賃貸」「売却」「撤去」「活用」の4つの選択肢から成ります。

それぞれの管理ポイントをみてみましょう。

「活用」については駐車場経営やトランクルーム運営などによって通常の空き家管理とは全く異なる使用を考える手段であり、空き家の建屋自体は解体したりそのまま使用しないケースが想定されるため、ここでは割愛いたします。

1.賃貸を目的とする場合の管理ポイント

所有する空き家不動産を将来的に賃貸物件として使いたい人は、建物の品質を保持するための管理だけでなく、貸したときに発生する経営的な諸問題に対する管理を先手で考えておくべきでしょう。

一戸建て、マンションを問わず、自身が所有する不動産を賃貸物件にするときの経済的な諸問題とは、入居者と交わす契約書の管理、入居者の管理、経営の管理の3つがあります。

家賃債務保証

空き家不動産を貸すということは賃貸事業を始めることになるのですが、そのとき問題になるのは経営の素人が事業経営をしなければならいということです。
自分自身で空き家を借りる人を探す(客付け)をしなければなりません。

そして客付けに続いて最も苦労するのは、家賃の回収でしょう。
実際、客付けに失敗すると質の悪い賃借り人が入居することとなり、決められた家賃を契約通りの期日にしっかり支払ってくれないケースもでてくるでしょう。

その不安を解消する手段が、家賃債務保証の仕組みです。
あなたの空き家を借りた借主が家賃を滞納した場合、保証会社が借主に代わって家賃を支払ってくれることになります。

その代り、空き家所有者は保証会社に、保証委託料を支払います。
一種の保険のようなものと言えます。

サブリース

確実な家賃回収の方法には、「サブリース」という手法もあります。

サブリースとは、不動産会社が空き家所有者から空き家を借り上げてくれる仕組みです。
空き家所有者は、不動産会社に管理手数料を支払わなければなりませんが、その代わり入居者がいない期間も家賃収入が入ります。

また空き家不動産の所有者は、入居者と交わす契約書の管理や家賃の集金業務からも解放されます。

将来的に空き家を賃貸しようと考えている人であれば、空き家の建物管理と一緒に、こうした経済的な諸問題も面倒みてくれる業者を選んだほうがいいでしょう。

ただし、サブリースについては契約内容に関しては不動産オーナーとの間で訴訟にまで至るトラブルが出ているケースが目立ち始めていますので、十分注意して契約を結ぶことをお勧めします。

2.売却を目的とする場合の管理ポイント

空き家不動産を将来的に売却しようと考えている場合、売却決定時までの間、できるだけ不動産の価値を下げないようにする資産整理の観点を持つ必要があります。

一般的に資産整理とは、手持ちのお金になるものを換金したり、不動産を中心とした資産を運用することによって、そう思案額増やすことなどを指します。
従って、空き家不動産の売却を目指す人は「いかに高く売るか」ということをゴールに考えながら、空き家の維持管理方法を検討しなければなりません。

適性な空き家管理コストを探す

資産管理の考え方からすると、空き家を売ることは「プラス(得)」であり、空き家管理に費やすお金は「マイナス(損)」になります。

マイナス金額が大きくなると、その資産管理は失敗したことになりますので、売却しても利益が少ない(もしくは利益が出ない)ような空き家管理コストのかけ方は厳禁となってきます。

単純に数式化するとこのようになります。

1.空き家所有者の利益=売却価格-管理コスト

2.売却価格=現状の価値+管理コストをかけることによる価値の上昇

数式1からは、空き家所有者の利益を最大化しようとすると、管理コストを最小にしなければならないということが分かります。

しかし数式2からは、売却価格を上げるにはしっかりコストをかけて管理して空き家の価値を上昇させなければならないことが分かります。

空き家の価値を高める管理コストとは、リフォームやリノベーションを含むことになります(※間取りまで大きく変えるリフォームのことをリノベーションと呼びます)。

つまり上、手な資産管理をするには、管理コストはかけすぎてもダメ、かけなすぎてもダメで、ちょうどよい適性なコストのかけ方があるということです。

しかし、空き家所有者が住宅管理の知識も空き家売却市場の知識もない場合、空き家管理コストの「ちょうどよい管理コスト」を算出することは困難でしょう。

その場合、まずは不動産の専門家に相談することになります。
空き家不動産の相談相手探しは、「不動産売買のHOME4U」などの不動産関連一括サイトが便利です。

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信託銀行の新ビジネス

資産管理の観点から空き家不動産の所有者を支援するビジネスも立ち上がっていて、例えば三井住友信託銀行は2014年から、転居や相続などで生じた空き家の管理を請け負い、売却を支援するサービスを開始しました。

不動産会社、警備会社、住宅メーカーと提携し、総合的な空き家管理と財産管理をしようというのです。

富裕層はこうしたサービスを利用すると効率的な空き家管理ができるでしょう。

三井住友信託銀行が「空き家」対策で新規事業 遺言・相続ビジネス強化へ
三井住友信託銀行が10月から空き家対策の新事業を始めることが29日、分かった。転居や相続などで生じた空き家の管理を請け負うほか、有効活用の提案や売却などの手続き…

3.建物撤去を目的とする場合の管理ポイント

所有する空き家建物の撤去を考えている人は、時間こそが管理ポイントとなります。
要は、1日でも早い空き家の解体処分が望ましいと判断されます。

1日でも長く所有すればそれだけ管理費用がかさむわけですし、また国内の土地価格の推移を見ても今後大幅な上昇は見込めそうにありません。
したがって、解体撤去の方針が決まっているのならば、1日でも早く実行に移すべきであるといえるでしょう。

【2017年】過去10年間の公示地価推移から読み取る今後の住宅地価動向|住まい1プラス|三菱UFJ不動産販売「住まい1」
過去10年を振り返りながら、今後の住宅地をとりまく市況がどう変わっていくのか、不動産アナリストに予想していただきました。
撤去の前に税金の相談をしよう

ただ、空き家の解体撤去を考えている人が慎重に考えなければならないことは、相続税や所得税の問題です。

空き家を取り壊すタイミングや、更地を売る時期、空き家不動産の所有者の名義などによって税金の額が大きく変わるので、まずは税務署や税理士に相談しておいてください。
また、空き家解体に対して補助金が自治体から出るケースもありますので、マメな情報収集は必須事項といえます。

空き家の解体費用の相場と補助金情報
空き家問題解決ノート:空き家の解体費用の相場と補助金情報はお任せ 実家が空き家となって久しく、年間数度の草刈りや空気の入れ替えの手間も...

空き家管理メニュー1:資産維持のために行う管理

6種の空き家管理では、このメニュー1が最も重要です
将来的に所有の空き家不動産を賃貸に出したり、もしくは自分で住む予定がある場合は、空き家不動産の資産価値をできるだけ高値で維持するための管理が必要となります。

そのために、時には人が住んでいる住宅のメンテナンスよりもさらにきっちりとした丁寧な手入れをしなければなりません。
空き家状態になっていると建物は、住人がいる建物よりも簡単に傷みやすいからです。

この空き家管理のポイントは、主なものだけで全部で17項目あります。
1つずつ見ていきましょう。

ポイント1:屋根

空き家不動産の管理で重視しなければならないのは住宅の損壊防止です。
台風や暴風雨などで空き家が壊れて住宅部品が飛び散ると、周辺住民に被害を与えます。
その結果、空き家所有者は管理責任を問われ、最悪、訴訟を起こされる可能性もあります。

そこで、資産維持のための空き家管理ポイントその1は屋根の維持管理となります。

屋根の最も簡単な管理法は、空き家から離れた場所から双眼鏡で状態をチェックすることです。
単純ながら、これだけでも大部分の被害発生は未然に防ぐことができます。
その他の屋根の管理方法は次の通りです。

瓦屋根

瓦屋根は、棟(むね)がきちんと直線を保っているかどうかを確認します。
棟とは屋根の一番高いところで、山でいうところの尾根や稜線にあたります。

棟が波をうったようになっているとそこから雨が浸透し、住宅の骨組みになっている木材が腐っていきますし、瓦がずれていても雨が浸透してきます。

トタン屋根

トタン屋根のチェックポイントは、継ぎ目がずれていないかどうか、端がめくれていないか、です。トタンと骨組みが密着していないと、台風でなくてもちょっとした強風ぐらいではがれてしまいます。

トタンとは、亜鉛でメッキした薄い鉄板のことです。

カラーベスト屋根(コロニアル屋根)

引用:http://www.amazutumi.co.jp

カラーベストとは屋根をつくる建築資材の名称です。
長方形の薄い板状で、それを重ね合わせて屋根をつくります。現代版「瓦」といったところで、別名コロニアル屋根とも呼ばれます。

カラーベストの材料はセメントと繊維でできているので耐久性は高いのですが、強度があるだけにひび割れに注意してください。
ひびが割れからカラーベストが割れると小さな破片になるので、飛来しやすくなってしまうのです。

ポイント2:外壁

外壁も屋根同様、壊れると飛来しやすくなり、周辺に被害を与えやすい住宅資材ですので、定期的な管理が必要です。
外壁は使用している素材によって修繕までの年数が異なりますが、地震や風雪の影響で劣化が極端に早まるケースがあるので注意したいところです。

モルタル

引用:http://stc-santec.co.jp/service/tosou.html

セメントと砂を水でねったものをモルタルといい、強度が保たれる一方で素材費が安いので、広い面積を覆わなければならない壁の材料としてよく使われます。

モルタル壁が劣化すると住宅の本体から浮き上がったようになります。壁に当たる光の具合を見ると、ゆがみが確認できます。
モルタル壁は重いので、浮き上がった状態が長引くと自重を支えきれず割れて落下するため、とても危険です。

また、割れる前でも、水が浸入すると建物の木造部分などを腐らせる原因をつくります。

タイル外壁

住宅の外観を飾る人気のタイル外壁、耐久性も高くメンテナンス不要を訴える商品が多いのも事実ですが、地震や風雪により個別タイルが壁から分離して落下するケースがあります。

老朽化した10年以上前のタイルは接着力も劣化が激しくなりますので、タイルの浮き、はがれ、割れを確認しておく必要があります。
通常は目視で簡単にチェックが可能です。

トタン外壁

一般住宅の壁にトタンを使うことはもうほとんどありませんが、物置では現存することがあります。

トタンは錆びやすいので、割れやめくれに注意してください。

ポイント3:雨樋(あまどい)

樋(雨樋:あまどい)は、屋根に降った雨を集めて地上に流す仕掛けのことです。

耐性が弱い老朽化した雨樋が壊れていると屋根全体から方々に雨水が落ちてくるので、雨漏りや住みづらさの原因になってしまいます。

また樋は樹脂やアルミなどの軽い素材を使っていることが多く、壊れていると少しの風でも飛ばされてしまいます。
きちんと雨水が樋をつたってドレインされているかをチェックしてください。

ポイント4:バルコニー、ベランダ

引用:https://cojicaji.jp

昭和の一軒家では、2階部分に狭くともバルコニーがあることがちょっとした贅沢でした。
ただ実際に住み始めると意外に使い勝手が悪く、手入れが行き届かなくなります。

バルコニーは建物の外壁に後付けしたような飛び出した構造になっているので強度も比較的弱いうえ、経年劣化と長年の風雪が原因で、住宅はここから壊れ始めることがあります。
防水加工や柵の劣化、クラックの有無などををしっかりチェックする必要があります。

ポイント5:門、塀

門も塀も、空き家の敷地と歩道の境界に立っているので、倒壊するとすぐに周辺に迷惑がかかるだけでなく、けが人を出しかねない非常に危険なポイントです。

また、壁が汚れていたり破損していたり落書きされていたりすると景観を著しく損なうことになり、近隣住民からクレームを受けかねません。

ポイント5:窓やサッシの鍵

玄関や裏口の鍵の管理を怠ることは少ないと思いますが、窓やサッシの鍵は小さい上に個数も多いので管理が大変です。

ホームセンターに簡単に取り付けられるサッシ用の補助錠を使う手もあります。

ポイント7:外灯

人が住まなくなった住宅は、夜間の玄関先や庭に外灯がともることがなくなり、防犯対策上非常に危ういブラインドスポットになる可能性がでてきます。

とはいえ、無人の住宅で毎夜外灯を灯すことは物理的に難しいでしょうから、当サイトでは格安のセンサーライトの設置などをお勧めしています。
センサーライトはホームセンターで簡単格安(1000円程度のものも多い)に手に入れられる割には防犯効果が高い、お勧めの空き家管理グッズの1つです。

ご存じの通り、センサーライトとは人や動物の動きを察知するとライトが光る製品で、太陽光による充電式のものと、乾電池式のもの2種がメインとなっているので、時々作動状況をチェックしてやるだけで済む、非常に優れものの商品です。

ポイント8:窓ガラス

窓ガラスは小石1つで割ることができてしまうので、こまめな確認が必要です。
不審者にとっては格好の侵入経路になりかねません。

空き巣は、窓ガラスを1枚割ってしばらく様子を見た後、後日に補修されないことを確認してから犯行に及ぶことがあります。

割れた窓ガラスを放置することは、空き巣を呼び込むようなものですので、割れていることを確認したらすぐに取り換えておきましょう。

ポイント9:換気

空き家状態になると建物の劣化の進みが早くなるのは、換気ができなくなるのが主原因の1つとされています。
換気をしないと住宅内に結露ができ、柱が傷んだりカビがはえたりします。
カビがはえた場所はシロアリが発生しやすくなったり、ニオイの原因になります。

冬場の換気は結露に注意

換気していても窓際などが結露状態になることがあります。
それは夏場と冬場では結露が発生する条件が異なるためで、その季節変動を考慮した正しい換気をしなければ、結露は防げないのです。

例えば夏場は、日中に換気口をふさぎ、夕方に換気を行うと住宅内の湿気をうまく外に出すことができます。

換気扇の回しっぱなしはよくない?

通電している空き家であっても、換気扇を回しっぱなしにすることは必ずしもよいとは言い切れません。

和室が多く、土壁などを使った古い家は元々自然換気に優れた構造となっており、現代のような耐熱性重視、換気軽視の構造となっている新しい建物のように、24時間換気扇そのものがデフォルト(建築基準法では2003年に義務化された)と最初から仕様設計されている構造物とは前提がそもそも異なります

自然換気能力が比較的有る空き家を24時間換気状態で放置しておくと、雨が降った日には室内に湿気を過剰に取り込むことになってしまいます。

家にはそれぞれの構造や設計年代に見合った換気の方法があることを知っておくべきであり、24時間換気=万能という考え方は危険です。

室内に外の湿気を取り込まず、除湿効果があるときだけ換気をする方法がベストなのですが、これを実行することはとても手間がかかりますので難しい問題です。
現実的には快晴の日に時々訪れて、家を喚起してやるしかありません。

ポイント10:水道管・給湯器

水道管は、冬場にきちんと管理しておかないと、中の水が凍結して破裂してしまいます。
氷点下に下がるおそれがあるときは、水を少量流しっぱなしにすると凍結を防げますが、東北や北海道などではそれでは水道管の凍結は予防できないので、水を抜いておく必要があります。

厳寒地では水道管の水を抜く特別な装置がありますが、そのような装置がない場合、元栓から閉めなければならず、手間がかかります。

給湯器の中の水も、冬場に凍結して機械を壊してしまう事があります。
空き家に通電してある場合は、凍結予防のヒーターを付けることをおすすめします。

ポイント11:排水トラップ

排水口は下水道と直結しているので、排水トラップに不具合が生じたりゴミづまりがおきてしまうと悪臭が住宅の中に入り込みます。

排水トラップとは、排水口に常時水を張っておく仕掛けで、その水が「ふた」になって悪臭の侵入を防ぐ役目をしています。

定期的に水道を使っていれば「詰まり」が起きたときに自然に気づくため、悪臭が発生することはほぼありませんが、水道を使わないと排水トラップ内の水が蒸発してしまうので臭い防止の機能が失われてしまうのです。

また、排水トラップは下水管からネズミや虫が建物内に侵入することを防ぐ機能があるので、排水トラップが壊れると、そうした動物が下水管を通じて住居に侵入してくることになり空き家の劣化スピードを速めることに繋がります。

ポイント12:畳

和室の畳は床からはがして立てかけておくと、多少でも湿気の予防になります。
畳を敷いたまま「日焼け」防止のため新聞紙で覆うことは、逆に湿気を高める原因になってしまいますので注意してください、新聞紙が水気を含むからです。

ポイント13:雨漏り対策

老朽化した空き家の場合、屋根や外壁に目だった傷がなくても、室内が雨漏りにさらされることがあります。

管理のために定期的に空き家を訪れている人は、あえて大雨の日に室内点検することをおすすめしますが、雨漏りの原因はなかなかつかめないことも多く、深刻な被害が確認できた場合は、建屋を痛めないためにも、専門家による調査と修繕を依頼すべきです。

ポイント14:庭の草木

庭の管理は意外な盲点になりえます。

特に庭に立木や植木がある場合、枝が落ちたりするとそこに虫が集まりやすくなります。
朽木のあるところには、最悪、シロアリがどこからともなくやって来てしまいます。
庭の清掃は定期的に行ってください。

また、立木の枯葉は小さな風でも遠くまで飛散します。
近隣住民は、人が住んでいる家から飛んでくる枯葉は気にならなくても、空き家の枯葉には神経質になりやすいので、注意が必要です。

ポイント15:郵便物・宅配便の転送処理

空き家に郵便物が届かないようにするには、郵便局に転居届を出す必要があります。
現住所への転送は原則1年間有効で受け付けてもらえます。

e転居

宅配便については、ヤマト運輸が転送サービスを行っています。
こちらは、郵便局に先に転居届を出していることが条件になります。
なりすまし防止のため、ヤマト運輸側が郵便物を使って本当に転居しているかどうかを確認する必要があるのです。

ヤマト運輸も転送サービスの有効期限は原則1年です。

宅急便転居転送サービス | ヤマト運輸
お引越の際、お客さまの旧住所宛のお荷物を、新住所(国内)へ自動的に転送します。お申し込みいいただくと、1年間転送が適用されます。
尚、2017年現在、佐川急便では転送サービスは行っていません。

空き家に届く郵便物は、空き家になっている期間が長引くほど誤配達のリスクが高まります。
空き家管理を業者に委託する場合は郵便物と宅配物の取り扱いを必ず確認しておいてください。

また、イタズラよけや誤配送を防ぐために、郵便受けを撤去するか口を封じておくなどの工夫も有効です。

ポイント16:仏壇の処遇

空き家になっている住宅が地方の豪邸の場合、空き家に備え付けてある大きな仏壇の取り扱いに困る例が少なくないといいます。
今は都会のマンション等で暮らしている空き家所有者が、実家の空き家から大きな仏壇を現住所に移動させるのは、現代住宅事情からいってなかなか現実味がありません。

となると、物理的にはゴミとして仏壇を処分することになるのですが、先祖への思いやりを考えると、そう簡単に割り切れるものではありません。

そのような人のためにお焚きあげ供養を行っている仏壇販売業者もあります。
仏壇から魂を抜く閉眼供養を行った上で焼却処分するサービスです。

また菩提寺が仏壇の処分に対応してくれることもあるので、相談してみるといいでしょう。
ちなみに菩提寺とはお墓を置いたり仏事を行ってもらったりするお寺のことで、菩提寺に供養を依頼する側を檀家といいます。

ポイント17【番外編】:空き家の清掃チェック表を作成

これまで見てきたように、空き家所有者が定期的に空き家を訪れて清掃する場合は、あまりにも項目が多いので一苦労だと思いますが、チェック表をつくっておくと作業漏れを未然に防げます。

チェック表の一例は以下の通りです。

室外の管理をしましたか?

□屋根と瓦の破損チェック
□外壁や基礎のクラック(ひびわれ)やタイル等の剥落
□雨樋の破損、雨がちゃんと樋を伝って流れるか
□バルコニーのクラック、堆積物掃除、手すり破損、防水排水チェック
□門や敷地外壁に落書きやゴミ投棄などないか
□外灯(センサーライト)が稼働するか
□敷地内のごみ、草むしり、枯葉、犬猫の糞尿
□側溝の汚れ(どぶさらい)
□敷地に接している道路に樹木、ゴミ等飛び出ていないか

室内の管理をしましたか?

□不法侵入者の形跡が残っていないか
□室内換気
□窓ガラスが割れていないか、鍵はかかるか
□水道管や給湯器は動くか、通電と通水
□シンクや手洗いの排水トラップはつまっていないか
□畳は腐っていないか
□天井に雨漏りのシミができていないか
□トイレは流れるか、下水臭くないか
□部屋のほこりと窓のふき取り掃除
□仏壇の掃除

空き家管理メニュー2:近隣トラブル回避のための管理

特定空き家のように、崩壊寸前の空き家でない限り、空き家不動産が近隣住民に及ぼす迷惑がいかに甚大なものであるかについては、なかなか想像つかないと思います。

「空き家」と「特定空き家」の違い~認定から強制撤去まで
かつて日本では住宅を資産と呼んでいました。 私たちが所有している空き家も当然かつては資産の1つに数えられていたはずです。 と...

しかし空き家所有者が「多少の空き家放置は許容範囲だろう」と考えていても、近隣住民の大きなストレスになっていることもあります。

まして、空き家が一戸建てで、その所有者がマンションに住まいの場合は、なおさら「空き家被害の実態」に対するイメージがわきづらいはずです。

空き家不動産オーナーは「空き家は多かれ少なかれ、必ず近隣住民の迷惑になる」という認識を常に持ち、近隣住民への気配りを忘れてはいけません。

「もし自宅の隣が空き家だったら」と想像してみる

あなたが一軒家に住んでいて、その隣の家が突如空き家になったときのことを想像してみてください。

「売ってしまったのだろうか」

「誰かに貸すのだろうか」

「変な人が引っ越してこなければいいが」

「取り壊すのだろうか」

「空き家の状態が長引いたら嫌だな」

「家の管理や掃除は誰がしているのだろうか」

「なぜ挨拶にこないのだろうか」

空き家が通常の状態を保っていても、様々な不安を周囲に与えるのです。

情報提供することで周辺住民の不安を和らげる

空き家が朽ちているわけではなく、実質的な被害を与えていない場合であっても、所有者は周辺住民への情報提供を心掛けるべきです。
空き家不動産を中心とした両隣3件までの住民に以下の内容を伝えるだけで、物事が円滑に運びます。

  • いま誰が所有者なのか
  • 空き家被害が発生した場合の連絡先
  • 空き家の今後の予定(放置、売却、賃貸、取り壊し、再び住む、など)
  • 管理体制

周辺住民の空き家に対する不安は「知らないこと」で無暗に大きくなっていく傾向があるので、管理状況を知らせることによって、周辺の不安を解消してもらいましょう。

色々と細かいことを聞かれるのが煩わしい…と感じている場合ならば、手紙の形で空き家管理内容を周辺に伝えるだけでも、非常に効果的です。

もしも被害が発生したときは迅速に謝罪

空き家の周辺で空き家による被害が発生したら、所有者は1日も早く謝罪に訪れましょう。

所有者は被害者に、被害状況を聞き、可能であれば写真を撮り、希望する賠償方法を尋ねてください。賠償希望額が大きくなければ、過失の程度は度外視して、その全額を支払ったほうがいいでしょう。

それも空き家管理コストと考えてください。

もちろん、言いがかりのような高い金額を要求された場合は、この限りではありませんが、そのような言いがかりをつけられないように、日頃から空き家の近隣住民とは良好な関係を築いておきましょう。

もし空き家が遠方にあり、小さな被害のたびに謝罪に訪れることが難しい場合は、空き家近くに住む親戚など信頼できる人に対応を依頼することも考えるべきです。

空き家を原因とした周辺住民とのトラブルは深刻な社会問題になっていることから、自分の所有物件が原因で何かが起こってしまう前に、きっちりと予防線を張っておくべきです。

空き家不動産が増加する背景と空き家問題対策の今
空き家増加問題の背景として、日本は高齢化と人口減少が同時に起きているから、空き家が増えるのは当然――と思っていませんか。 高齢...

空き家管理メニュー3:災害に備えた管理

異常気象の影響でしょうか、昨今の自然災害は大規模化と多発化が顕著です。
かつてないほどの被害を住宅に与えています。

自分が近隣に住んでいればすぐに対処できるのですが、遠隔地にある空き家への災害対応はどうしても遅れてしまいます。

そこで、いざというときの災害に備えた空き家管理が必要になります。

参考 近年、大規模化・多発化する自然災害(広島県)

災害対策1:使わないものは早々に撤去する

しばらく空き家不動産に誰も住む予定がなければ、思い切ってテレビアンテナを撤去しておいたほうがいいでしょう。
アンテナの取り外しには業者に依頼しなければなりませんが、台風や暴風雨によって壊れるより、取り外して保管しておいたほうが結果的にお金がかかりません。

また空き家不動産の敷地内に、看板や鉢植え、物干し台、ゴミ箱などがある場合も、極力処分したほうが無難です。

庭木も枝を普段から短めに剪定しておくことで、台風の際に折れて近隣住居に飛散してしまう事故を防ぐことができます。

老朽化したガレージ屋根のトタンなども暴風雨ではがれて飛んで行ってしまう事なども考えられますので、ガレージ使用の予定がないならば、できるだけ不要なエクステリアはなくしておくことが重要になってきます。

災害対策2:天災後の見回りは早期に実施

地震や台風が起きた場合は、安全が確保された段階で速やかに空き家不動産を目視点検するために現地に出向いた方が良いでしょう。

外観をチェックした後は、必ず室内にも入ってください。
外回りに異常がなくても家の中で水漏れやゴミの散乱などを発見できるかもしれません。

更に隣近所の方と、挨拶がてらに一言二言雑談を交わしておけば「屋根瓦が落ちてましたよ」「あなたの家からゴミが飛散したので、私がとりあえず撤去しておきましたよ」等、思わぬ情報を入手できることがあります。

空き家管理メニュー4:定期的な耐震・防蟻検査の管理

空き家不動産を当分手放さない人は、地震やシロアリによる大きな被害を実際に受ける前に、予防的な対策を講じておく必要があります。

そのための定期的な建物検査も空き家管理メニューのひとつです。
これは人が暮らしている普通の住宅にとっても同様に重要な管理事項といえますね。

建物の耐震診断

耐震診断は、空き家所有者でもできる簡易型耐震診断から、業者による精密診断まで、様々なレベルがあります。

その結果、空き家の耐震構造が脆弱と判明すれば、補強工事を行うことになります。

簡易型耐震診断には、一般財団法人日本建築防災協会がつくった「誰でもできるわが家の耐震診断」というリーフレットが参考になります。

参考 誰でもできるわが家の耐震診断(一般財団法人日本建築防災協会)

家屋を建てた年月日や、災害に見舞われた経歴、増築歴、家屋内の大きな吹き抜けの有無など10項目に回答する形式で、結果は「ひとまず安心」「専門家に診てもらおう」「早めに専門家に診てもらおう」の3つで評価します。

尚、民間業者による精密診断を行うときは、悪徳リフォーム業者と縁のない優良業者に依頼するようにしてください。

シロアリ対策

老朽した木造家屋の場合、シロアリ対策は非常に重要となってきます。
当然、あなた所有の空き家そのものの資産価値を左右するだけでなく、シロアリは1度やってきて住宅を食い荒らした後、近隣の木造住宅や木材などに集団で移動していきます。

つまり、1度あなたの空き家がシロアリの被害に遭うということは、将来的に近隣の木造住宅所有の方にまで迷惑が派生してしまう要因となるといえます(駆除費用の損害賠償を求められたケースもありますのでバカにできません)。

シロアリ対策は防蟻処理をプロの業者に施してもらうしかありません。
薬剤や処理方法によってもことなりますが、おおむね5年に1度の防蟻処理が必要です。

空き家管理メニュー5:外部の空き家管理サービス比較

これまで見てきた1~4の管理業務メニューは、程度の差はあれど外部の空き家管理業者にそのまま任せることもできます。

ここでは主要な外部空き家管理サービスを手掛ける4社の業務内容を見てみます。

ただ、こちらの業者をおすすめしているわけではなく「このようなサービスがあります」と紹介する意味で掲載しています。
実施事業所 管理内容 料金(税別)
アルソック 郵便受け整理
不審者侵入時のガードマンの急行
巡回報告
月1回の巡回:
月額4,000円から
大東建託パートナーズ 外部の清掃・除草
室内清掃
換気・通水
郵便受け整理
災害後の巡回
巡回報告
月1回の巡回:
月額5,000円~10,000円
積和不動産
(積水ハウスグループ)
外壁・木部・鉄部の損傷チェック
庭木の枝の越境確認
近隣の変化の報告
郵便受け整理
災害後の巡回
巡回報告
年6回の巡回:
月額3,000円から
NPO法人空家・空地管理センター 外部から建物を目視確認
クレーム対応
巡回報告
月1回の巡回:
月額100円

外部の空き家管理業者に共通するポイントとして、空き家を外部から目視するだけの場合、料金がとても安くなります。
最も安いサービスは、提供内容を非常に簡素化したNPO法人空家・空地管理センターの月額100円でした(ただし追加メニューで追加課金が発生します)。

通常、空き家の内部に入って管理する場合、月額1万円に近くなることは珍しくありませんので、資金に余裕がある方のみが外部委託で管理サービスを利用するとよいでしょう。

空き家管理メニュー6:保険をかけて空き家管理

人が住んでいない家屋には余計な出費をかけたくない…というお気持ちは十分理解できます。
しかし、空き家であっても火災保険地震保険はかけておいたほうが、まず無難です。

万が一、空き家が出火元になった場合、損害賠償金や見舞金が必要ですし、逆に周囲の火事に空き家が巻き込まれた場合の自分への補償になります。

ただし火災保険の場合、人が住んでいると「住宅用火災保険」が適用されることにより「一般物件用火災保険」より保険料が安くなります。
しかし空き家は、保険料が高い「一般物件用火災保険」になる可能性があります。
残念ですが、空き家は事業用の物件等と同じ扱いになってしまうのですね。

しかも、空き家にかける保険が「一般物件用火災保険」になってしまうと、地震保険をかけることができません。
地震保険は「人が住む住宅」にしかかけることができないからです。

また、暴風雨時の屋根瓦や敷地内樹木の飛散によって他人に怪我をさせてしまったり他家を破損させてしまう可能性が考えられる場合は、施設賠償責任保険に入ることで損害をカバーしてもらえますので、ご一考すべきかと思います。

まとめ

空き家対策を定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法」には、「空家の所有者は周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空き家の適切な管理に努めるものとする」(第3条)と明記されています。

空き家は周辺に迷惑を及ぼすものであり、それを予防するのは空き家所有者である – 国はそのように考えているのです。

空き家管理をしっかり行うことは、自分の資産を守るためだけではなく、他人に迷惑をかけないという社会人としての当然の行動といえるでしょう。

社会問題としての空き家に注目が注がれる今、先にご紹介したように、管理を代行してくれる外部業者や保険なども充実化してきました。
しかしながら、保険でもカバーしきれないケースが実際には存在する上、外部業者に管理委託をしてもコストが継続的にでてしまいます。

そして、いざ何か事件事故が起こった際は、所有者であるあなた自身に責任が降りかかってくることだけは忘れないでおくべきでしょう。

空き家の維持管理は時間、コスト、労力、社会的責任といった様々な観点から見ても「非常に厳しく大変な作業」であることは間違いありません。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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