空き家再生のための外壁塗装とその重要ポイント




はじめに

住宅の外壁には、主に「ラスモルタル工法」「サイディング工法」があります。

また、外壁の仕上げには、タイル張り、石張り、左官仕上げ(しっくい、珪藻土など)がありますが、最も代表的な仕上げは塗装仕上げです。

外壁塗装の目的のひとつは、建物の外観を美しく見せる事ですが、最も重要になるのが建物を風雨や紫外線から保護する事です。

外壁が塗装をせずにむき出しの状態のままだと、雨や紫外線の影響を受けて、モルタルや木材の酸化や腐朽、腐食などの劣化事象を促進させてしまいます。

また、雨水が建物内部に侵入すると、雨漏りの原因にもなります。
それらを防止するため、塗装の役割は非常に重要です。

大切な住まいの美観を保ち、寿命を延ばすためには、トラブルが発生する前に適切な外壁塗装のメンテナンスを行う必要があるのです。

今回は外壁のメンテナンスの中でも代表的な、塗装工事のポイントについてご紹介したいと思います。

塗膜の劣化事象と塗り替え時期の目安

目視で確認できる塗装の劣化では、変色・退色、藻・コケの発生、チョーキング、塗膜の剥がれ、水染み跡、腐食・錆びの発生などが代表的です。

塗膜は時間の経過と共に、次第に艶や光沢がなくなり、塗装面にも水が浸み込みやすくなります。また、塗膜の劣化により防水性が低下すると、藻やコケが発生している場合もあります。

鉄部には錆びが発生し、酷い場合には腐食して穴があいてしまいます。

チョーキングは白亜化ともいいます。

塗料は、樹脂に色素(顔料)を混ぜ合わせたものですが、塗膜表面が太陽光の紫外線や熱、水分などに長い間さらされると、劣化して樹脂が削れていきます。

その結果、塗料の顔料がチョークの粉のようになって表われるのが、チョーキング現象と呼ばれるものです。外壁の塗装面を指でなぞった時に、指に白い粉が付く様なら、すでに塗膜の寿命がきています。

塗り替え時期の目安は、使われている塗料の種類や建物周囲の環境などによっても異なりますが、一般的には10年を過ぎた位からチョーキング現象が見られる様になり、次第に塗膜の剥がれなどが発生する様になります。

塗装のひび割れや藻やコケが発生する様になったあたりから、要注意でしょう。

また、鉄部の塗装や、木材に直接塗装した場合はさらに劣化が早く、5年程度で塗り替えが必要になる場合が多い様です。

再塗装に際しては、既存塗膜の付着力がある事が前提になるので、適正な時期に塗り替えを行わないと、既存の塗膜を完全に剥離してから再塗装を行う必要が生じるため、余計なコストがかかってしまいます。

塗り替えはタイミング良く行う必要があります。

塗料の種類と機能

塗料とは、顔料、添加剤、合成樹脂の3つを混ぜ合わせたものを言います。

合成樹脂は、耐久性などの保護機能の役割を持っていて、耐久年数に関わるので、塗料を選ぶ際に重要な要素です。

塗料には、合成樹脂の違いによって、価格の安いものから高いものまでがあり、一般的には価格の高いものほど長持ちする傾向があります。

外壁塗装の見積もりを複数の業者に依頼して比較する場合には、使用する塗料が違えば価格が違うのは当然なので、塗料の違いによる耐久性の違いを覚えておく必要があります。

塗料のそれぞれの特徴は以下の通りです。
尚、参考価格は3回塗りの価格です。

1.アクリル樹脂系塗料

最も安価な塗料ですが、耐久性が劣ります。
乾燥が早いので短期間での施工が可能です。
耐用年数は5~7年です。
1400円/㎡~1600円/㎡

2.ウレタン樹脂系塗料

比較的低コストで、紫外線に強く密着性が高い塗料です。
10年程前までは、塗り替え工事の主流でしたが、現在は使用される事が少なくなりました。耐用年数は8~10年です。
1700円/㎡~2200円/㎡

3.シリコン樹脂系塗料

耐久性が比較的長く、防汚性にも優れています。
コストパフォーマンスが良いので、使用頻度が高く人気のある塗料です。
耐用年数は10~15年です。
2300円/㎡~3,000円/㎡

4.フッ素樹脂系塗料

耐久性に優れ、寿命が長いが高価です。
耐久性が重視される商業施設やビルなどで使われる事が多いのですが、近年では住宅にも時々使用される様になりました。
耐用年数は15~20年です。
3800円/㎡~4800円/㎡

尚、耐用年数はあくまで期待できる年数で、塗膜がしっかりと機能できる年数の目安です。

それぞれ水性と油性(溶剤)があります。
大きな違いは、希釈材が水かシンナーかの違いです。

リフォームでは一般的に、臭いの少ない水性塗料が使われる事が多いと思います。

以前は油性塗料の方が水性塗料よりも耐久性が高くて良いと言われていましたが、現在では耐久性に大きな違いはない様です。

塗料を選ぶ際には、塗り替えサイクルや素材に適した塗料、性能などを良く検討する事が必要です。

値段の安さだけで選んでも、長期的には高くついてしまう事があるので、要注意です。

外壁塗装の工程と工期

外壁塗装には足場組みが必要になるので、屋根の塗装や葺き替えと同時に行う事が多いと思います。

工期は、延床面積30坪前後の木造2階建住宅の場合で、約10日~2週間程度が多い様ですが、建物規模や立地条件、建物形状や天候、職人の人数などによっても異なります。

着工から完成までの工事の目安は、おおむね下記の通りです。

1.足場の組み立て、養生シート張り…約1~2日間

作業に必要な足場を掛けます。また、塗料や高圧洗浄水の飛散防止のためのシート掛けを行います。

2.高圧洗浄、ケレン…約1日

塗装する前に外壁に付着している汚れやコケなどを落とすために、高圧洗浄を行います。
また、脆弱な塗膜の除去やサビ落としのために、ケレン作業をします。

3.乾燥、養生(マスキング)、下地処理…約1~2日間

塗料を付着させたくないサッシや玄関ドア、フード類、給湯器などにマスキングを行います。また、塗装面のひび割れ補修や清掃を行い、塗料が付着しやすい様に下地を平滑にします。

4.下塗り…約1日

シーラー、プライマー、フィラーなどの下塗り塗料を塗ります。
下塗り塗料には、塗装面と上塗り塗料の密着性をよくする役割があります。

フィラーは、モルタルの外壁面にヘアクラック(細かなひび割れ)がある場合や、下地に凹凸や段差がある場合に平滑にならす為に使われる下塗り塗料です。

下地の状態や、上塗り材の種類に合わせて、シーラー(プライマー)とフィラーを使い分けます。

5.中塗り・上塗り(2回)…約2~3日間

一般的には中塗り塗料と上塗り塗料は同じものを使用します。

6.その他の塗装…約1日

雨樋や軒天、破風板などの雑部塗装を行います。

7.検査・手直し・片付け…約1日

塗り残しや塗りムラなどをチェックし、手直しを行います。
足場を解体してしまうと手直しが困難になるので、足場解体前に入念にチェックする事が必要です。

8.足場解体…約1日

最後に足場をばらして周辺を清掃して終了です。

この他に屋根の塗装を同時に行う場合には、工期が余分にかかります。
日曜日や祝日には作業を行わないのが一般的です。

外壁塗装の手抜き工事に注意

一般的に外壁塗装工事は、手抜きをされやすい工事のひとつです。手抜きをしても、塗り終わってしまえば専門家が見ても簡単にはわかりません。

手抜きをしたかどうかがわかるのは、少なくとも数年後になると思います。したがって、外壁塗装工事では、施工中の品質管理が最も重要になります

そこで、ここでは外壁塗装工事で手抜きをされやすい部分をご紹介しておきたいと思いますので、是非参考にして欲しいと思います。

1.足場の手抜き

足場は塗装工事が終了すると解体されてしまうものなので、手抜きしやすい部分です。
一部では、簡易的に足場を組んで安価で請け負う会社もある様ですが、足場がきちんと組まれていないと、良い仕事はできません。

足場は安ければ良いという事は決してないので、注意してください。
また、足場が悪いと作業に危険が伴うので、手抜き工事や労働災害にもつながります。

グラグラと揺れる足場の上や、手が届かなくて不安定な姿勢での作業では、丁寧な作業は期待できません。

足場は塗装工事の品質を確保する上で、とても重要な要素なのです。

また通常足場には、塗料や高圧洗浄水の飛散防止、足場からの落下物防止のためシート張りを行いますが、足場のシートを省いてしまう業者を時々目にします。

足場やシート張りに手間をかけない業者には要注意です。

2.高圧洗浄や下地処理の手抜き

高圧洗浄や塗装面の下地処理は、塗料の付着を良くして、塗膜を長持ちさせるために大切な作業です。

埃や汚れが付着したままの外壁や、ひび割れしたままの外壁、平滑でない外壁に塗装しても、塗膜の密着度が低いので剥がれやすくなり、仕上がりも綺麗ではありません。

こうした手抜きは、塗装工事が終了した時点ではわからない事もあるので、塗装現場では良くありがちです。

後で隠れて見えなくなってしまう部分に手を抜く業者は、あまり信用できません。

3.塗料の調合の手抜き

塗料はその種類ごとに、塗料メーカーからの指定に沿ってきちんと計量を行い、調合しなければいけません。

しかし中には、目分量で適当に調合しているケースもある様です。
必要以上に希釈をしてしまうと、本来の塗料の性能を発揮する事ができなくなってしまいます。

4.予定と異なる塗料の使用

原価を抑えるために、安い塗料に変えて施工してしまう事は、現在では余程の悪徳業者でない限り、ほとんどないと思います。

しかし、現場での施工管理が行き届いていないと、誤って安い塗料を使ってしまう事が絶対にないとはいえません。

安い塗料を使っても、仕上がってしまえばほとんど見分けがつかなくなるので、注意が必要です。

5.塗料の塗布量不足

塗料には品質を確保するために必要な所要量(㎏/㎡,1㎡あたりに必要な塗料の重さ)が塗料メーカーによって指定されています。

規定量を守る事で、適切な塗膜の厚みが確保できるのですが、材料代や手間を減らすために塗布量を減らして薄く塗装するケースもある様です。

この様な事を防ぐために、塗装面積から必要な塗料の量を計算し、現場に納品された塗料と実際に使用された塗料の量をしっかりと管理しているリフォーム会社であれば安心です。

6.塗料の乾燥時間を守らない

塗装工事では、各工程間(下塗りと中塗り、中塗りと上塗り)できちんと乾燥させた上で次の工程に移る様に、塗料ごとに必要な乾燥時間が決められています。

突貫工事などで適切な乾燥時間をとらないで施工した場合には、完成後にひび割れや剥がれ、膨れなど塗膜に不具合が発生する可能性が高くなります。

工期の短縮はコストダウンにつながりますが、不適切な工期は欠陥工事の原因になるので注意しましょう。

7.悪天候での作業

塗装工事は、降雨時の作業や、気温が5℃以下の場合、湿度が85%以上の時の作業は行わないのが原則です。

雨で塗料が流れてしまう、塗料が凍結するなどの不具合が生じてしまうためです。

しかし実際の現場では、職人の都合でこうした中でも作業が行われている事があります。
せっかく現場に行っても、作業を行わずに帰れば、その日の手当が貰えなくなってしまうなどの理由があるからです。

塗膜の不具合の発生の原因になるので、厳禁です。

8.塗装工事の工程の手抜き

塗り替え工事では、ほとんどの場合が下塗り1回、上塗り2回の3回塗りが標準的な仕様になっています。

下塗りを省く、上塗りを1回にするなど、塗料メーカーが定めた工程を省いて施工するケースが時々見られます。

下地の状態が良いので下塗りが不要などという業者もある様ですが、必ず塗料メーカーの工程を守る必要があります。こうした施工では、塗膜が薄くなるため、劣化の進行が早くなってしまうのは明らかです。

以上が外壁塗装工事で手抜きをされやすい部分になります。

数多いリフォームメニューの中でも、外壁塗装ほど手抜き工事が発生しやすいものはありません。

工程が細かい上に、仕上がってしまえばたとえ途中で手抜きしたとしても、塗り替え前と比べて見違えるほど綺麗になります。そのため、手抜きしても気付かれない事が多いのです。

特にケレン、下地調整、下塗りの工程は要注意です。
ここで手抜きがあると数年後には

  • 塗膜の浮きや剥がれ、ひび割れの発生
  • 光沢、ツヤの低下
  • コケや藻、カビの発生

などの不具合が発生する可能性が高くなります。

この様な現象が完成後1~3年くらいで発生したら、極めて手抜き工事が行われた可能性が高いといえます。

もちろん予定していた耐用年数まではもたないので、この時になって手抜き工事に気付いてもすでに手遅れです。保証期限も過ぎている事でしょう。

こんな事にならない様に、施工業者を選ぶ際には品質管理がしっかりとした会社を選ぶ事が重要です。

塗装工事でよくある近隣クレーム

塗装工事で注意が必要なのは、品質管理ばかりではありません。ご近所に迷惑をかけてトラブルになってしまうケースが多いので、事前に対策を立てておく事が大切です。

1.足場の近隣トラブル

足場が道路や隣地に越境してしまって、トラブルになる事があります。
また足場を掛けるのに、越境している隣地の植木が邪魔になるので、無断で切ってしまったなどという事も・・・。

事前にリフォーム会社と相談の上、ご近所への挨拶を忘れずに行っておきましょう。

2.工事車両の駐車による近隣トラブル

特に足場材の搬出入の際のトラックの駐停車など、近隣への配慮を行う必要があります。

3.塗料の飛散や臭いによる近隣トラブル

現在の塗り替え工事では、昔の様にスプレーガンで吹き付ける事はほとんどなく、ローラー工法が主流で、塗料には水性塗料が使われる事が多いので、塗料の飛散やシンナーの臭いによるトラブルは少なくなりました。

しかし、高圧洗浄時の汚染水の飛散や、部分的に油性塗料を使用する際には、十分に注意する必要があります。

良い外壁塗装会社の選び方

どこに頼んでも見た目では大きな差がない様に思える外壁塗装ですが、品質に違いが表れるのは施工して数年が過ぎてから・・・。

時間がたたないとわからない事が、外壁塗装で手抜き工事が行われる原因になっています。
それだけに、業者選びは慎重に行いたいものです。

良い業者を探すためには、「施工中どんな品質管理を行っているのか?」という質問をしてみてください。

「色ムラや塗り残しがない様に、足場を解体する前にきちんと完成検査を行っています。」というだけでは不十分です。

前述した通り、塗装工事で手抜きや施工ミスがあっても、完成してしまってからでは、専門家が見てもわからなくなってしまいます。工程ごとの確認が欠かせません。

また、きちんと3回塗りが行われていなければ、耐久性に大きな違いがでてしまう事も既にお話した通りです。

この様な手抜き工事を防ぐために、現場管理者がずっと現場で監視しているわけにもいきません。たちまちコストが上がってしまいます。

そこで近年では、中塗りと上塗りの色を変える方法を採っている業者が増えている様です。

この方法であれば、もともと下塗りには違う塗料を使っているので、上塗りが行われていない事や部分的に塗り残しがあっても、見落とす事がなくなります。

もともとは公共工事で行われていた方法ですが、一般住宅の塗り替え現場でもこの方法が採用されるケースが増えてきたそうです。

塗料のロスが多くなる、ほんのわずかの塗り残しも許されないなどの理由で、嫌がる業者や職人も多いと思いますが、この様な管理を行っている会社は、顧客志向の高い会社といえます。

DIYで塗装を経験した方ならわかると思いますが、手抜きするつもりでなくても、塗り残しは案外気付かない事が多いものです。

こうした施工管理を行っている会社であれば、信頼して良いでしょう。

まとめ

外壁塗装工事は、数多いリフォームメニューの中で、最も実施頻度の高い工事です。

外壁は経年劣化のため、定期的なメンテナンスが必要不可欠なので、住宅性能向上リフォームや、他の付加価値を付けるためのリフォームとは異なり、十数年に一度は必ず行う必要があるからです。

それ故に、施工業者も数多く存在しています。以前問題となった悪徳リフォーム会社の中にも、外壁塗装業者は少なくありません。

点検を切り口に、訪問販売営業をしている会社には要注意です。

万一、業者選定を誤ってしまうと、数年後には後悔する事になってしまいます。
また外壁塗装工事は、大手リフォーム会社に依頼すれば安心という事でもありません。結局、実際に施工するのは街の塗装屋さんが多いためです。

会社規模は小さくても、地域の中で長い間仕事をしている塗装業者であれば信頼できそうです。しかし、すでに雨漏りが発生していたり、建物の主要構造部分が傷んでいる様なら、総合リフォーム専門会社に依頼した方が安心できるでしょう。

業者を選ぶ際には、他のリフォーム内容も考慮して決める必要があります。

また塗装工事を行うには、工事時期も考慮した方が良いでしょう。雨が多く湿度の高い梅雨の期間や、気温の低い真冬はできれば避けたいものです。

天気や湿度、気温の影響で工期が長引く可能性が高くなります。

また、工事中は足場を掛けて、窓を閉め切って生活する様になるので、真夏の工事は辛いものがあります。3月~5月、9月~12月位が最適でしょう。

比較的簡単に思われている塗装工事ですが、実はとても奥が深い仕事です。
何かあってからでは後手になってしまうので、計画的に話を進める事が大切です。

The following two tabs change content below.
益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
スポンサーリンク

土地・家・マンションの無料一括査定サイト40社