空き家の玄関リフォーム・修理での必須ポイント




はじめに

玄関は「住まいの顔」と良くいわれていますが、玄関リフォームの発生頻度はそんなに多くありません。

客人が最初に目にするのが玄関で、その印象次第で住人の人柄まで想像されてしまうだけにとても残念です。

私は20年以上住宅リフォームの仕事をしてきましたが、どのお宅でも他の部屋と比較して、玄関リフォームの優先順位はあまり高くはありませんでした。

玄関リフォームの目的で多いのは

  • 見た目が古くなった玄関ドアを交換したい
  • 玄関ドアの防犯性を高めたい
  • 玄関ドアからの隙間風を防ぎたい
  • 玄関が靴で溢れているので、収納を増やしたい
  • 玄関の段差を何とかしたい
  • 暗い玄関を明るくしたい
  • 手摺を付けたい
  • 他の部屋をリフォームするので、ついでに玄関も直したい

など、どちらかといえば積極的にリフォームするというよりも、現状の不満が我慢しきれなくなって、ついにリフォームを検討するという方が多かった様に思います。

しかし玄関の使い勝手をより良くしようと思うと、工事範囲が予想外に広がってしまうケースは珍しくありません。

既存の玄関の範囲で考えるだけでは、大きな効果が期待できないためです。

何度もリフォームする場所ではないだけに、玄関をリフォームする際には、十分検討した上で計画を実行する必要があります。

また玄関リフォームは、家族構成の変化や高齢化など、将来のことを良く考えて計画を立てる必要があります。

一方、はっきりとした目的意識が少ないことが多いので、玄関リフォームでは思っていた程高い満足度が得られないことがあります。

玄関をリフォームする上では、「どんな玄関にしたいのか」、「リフォームする目的は何なのか」を明確にする事が他のリフォーム以上に大切です。

そこで今回は、玄関リフォームの目的別にそれぞれのポイントをお伝えしたいと思います。

玄関ドアの交換

玄関リフォームで最も多いのが、玄関ドアの取り換えです。

経年劣化の他にも強風や地震などでガタツキが生じ、開閉に支障をきたしたり、新築当時の輝きを失い、色あせや腐食などが目立ち始めると取り換えを検討する時期です。

玄関ドアひとつで、住まいの印象はガラリと変わります。

また、機能的にも防犯性や採光、外部からの雨風や音、埃の遮断、断熱など重要な役割を担います。個性を演出すると同時に、求める機能や使い勝手を考えて玄関ドアを選定することが大切です。

また、近年の玄関ドアは開口部をできるだけ大きくとった一枚ドアが人気です。

人間が出入りするために必要な開口部の幅は最低60cmといわれますが、玄関ドアの幅は最低でも80cm~85cm必要でしょう。

既存のドアが袖付きなら、袖部分で調整してドアの幅は80cm以上確保したいものです。

幅の狭い玄関ドアでは、将来車いすを使用することになった場合には、再度玄関ドアの交換が必要になる可能性があります。

ドアの高さも年々大きくなっています。

昔の日本の家屋では180cm程度の高さだったのが、やがて2mになり、現在の新築住宅では2m30cm程度の高さが一般的です。

大きなドアにした方が、住まいの顔として重厚感や風格があるためです。

ランマ付きの玄関ドアのリフォームでは、ランマを無くしてドアの高さを上げるケースが増えています。

近年では採光窓がついた玄関ドアも多いので、ランマを無くしても玄関の明るさは確保できます。採光窓があっても防犯性能がしっかりしているので安心です。

玄関ドアを交換する場合には、既存のドアの寸法にとらわれず、高さや幅もしっかりと検討しましょう。

尚、マンションの場合には玄関ドアは共用部分なので、ドア内側のリフォームや鍵交換は可能ですが、建物所有者が単独で玄関ドア本体を交換することはできません。

玄関ドアの種類

玄関ドアは大きく分けて「開き戸」と「引き戸」の2種類があります。
また、この2種類の中でもさらに細かく分類できるので、詳しくご紹介したいと思います。

1.開き戸

開いて扉を開けるタイプです。
日本の玄関ドアは雨仕舞の関係から、室外側に開くのが普通です。

洋風なデザインが多く、引き戸に比べると構造的に頑丈で、断熱性や気密性、防犯性に優れています。

片開きドア

1枚のドアが左右どちらかに開く形になっていて、最も多く使われています。商品のバリエーションが豊富で、色々なデザインの中から選ぶことができます。

狭いスペースにも設置しやすいのがメリットです。

片開きドアの片側または両側に袖が付いた袖付きドアもあります。袖にガラスを入れて採光部を設けたタイプや、ポストを組み込んだものもあります。

親子ドア

大きさの違う2枚の扉(親扉と子扉)が向かい合っている形のドアです。

通常の開閉は親扉のみで行いますが、大きな荷物の出し入れがある場合には両方の扉を開けることができるので、いざという時には便利です。

両開きドア

左右に同じ大きさのドアが2枚あるタイプのドアです。
高級感があり、ラグジュアリーな雰囲気を演出できますが、広い玄関スペースが必要です。

通常の片開きドアから変更するためには、大がかりな工事が必要になることが多いです。

2.引き戸

引き戸は扉を横にスライドさせて開閉を行うものです。

限られたスペースでも広い開口部がとれること、開け放しておいても扉が邪魔にならないことがメリットです。

和風の家や昔の住宅でよく使われていましたが、前後の開閉スペースが不要なため、近年では洋風の狭小住宅や道路から玄関までの距離が近い場合などにもよく採用されています。

また、開き戸よりも開閉がラクなので、高齢者向けのリフォームでもよく使われます。

引き違い扉

扉が2枚あるタイプで、左右どちらにも扉を移動させて開閉することが可能です。
古い家で良く使われています。

片引き扉

1枚の扉を左右にスライドさせて開閉するタイプです。
昨今ではデザインも豊富になり、洋風の住宅でも採用されることが多くなりました。

2枚(3枚)引き戸

2~3枚の複数の扉が連動して開閉するタイプの引き戸です。
開口部が広くとれるので、車いすやベビーカーなどでも利用しやすいのがメリットです。

両引き込み戸

2枚の扉を左右両側の壁に引き込んで開閉する引き戸です。
広い開口部が得られるのがメリットです。

玄関ドアの選び方

玄関ドアには防犯性、断熱性、採光、通風、操作性、意匠性、防火性、コストなど様々なものが要求されます。

また、玄関ドアの性能は日々進化しています。

高断熱性能を備えたものや、キーレスでカギの開け閉めができるもの、リモコンやカードでドアを開閉するものなどもあり、今やピッキング対策に有効なディンプルキーや2ロック、脱着サムターンなどは当たり前の装備になりました。

玄関ドアの材質にも金属系と木質系があってカラーバリエーションも豊富です。

金属系には鋼板、アルミ、ステンレスなどがあり、木質系にはナラ、チーク、マホガニーなどがあります。金属系は耐久性が高く種類も豊富で、木質系は独特の温かい味わいがメリットですが、メンテナンスに手間がかかります。

しかし、全てを兼ね備えたものはありません。
それぞれの住まいに合ったものを選定する必要があります。

気密性や断熱性、防犯性、耐久性に重点を置くのなら、玄関ドアは開き戸の方が有利です。しかし、操作性や使い勝手を考えると引き戸の方が便利です。

引き戸は開閉がラクで、途中で扉を止めることができ、強風にあおられることもないので、高齢者や小さな子供でも安心です。また、車いすでも利用しやすいので、高齢化が進み家族の介護が必要になった場合にも便利です。

断熱性や防犯性で選ぶなら開き戸、使いやすさで選ぶなら引き戸が良いでしょう。また機能や使い勝手だけでなく、玄関ドアは住まいの顔としてのデザインも重要になります。

重厚感のある木目のドアや、工芸調の和風のドア、建物のアクセントになる様なビビットカラーのドア、シンプルで無機質なドアなど、玄関ドアひとつで建物の表情が大きく変わるので、じっくりと良く検討したいものです。

玄関ドア交換の方法

玄関ドアを交換するには、扉のみを交換する方法と、枠を含む全体を交換する方法があります。

枠ごと交換する場合には、従来は外壁を一部壊して元のドア枠を撤去する工法が主流でしたが、現在は既存玄関ドア枠の上に新規枠をかぶせて改修するカバー工法が主流になりました。

カバー工法では、既存玄関ドア、ガラス、袖飾りを取り外し、不要な内部枠を切断して既存の外枠を残します。

その上で新しい玄関ドア枠をかぶせ、新しい玄関ドア、ガラス、袖飾りを入れ、古い枠が見えない様に仕上げます。

工事はおよそ1日で終了する上に、工事費用を抑えることもできます。
ただし、既存建具の寸法によって、選択できる商品が限定されます。

昨今では、様々なデザインのカバー工法リフォーム用の玄関ドアが販売される様になったので、デザインの選択の幅も広がっています。

カバー工法は玄関の間口を変えない場合には有効な工法ですが、玄関の間口を変える場合には、既存の玄関枠の撤去や外壁の工事が必要になります。

玄関ドアを開き戸から引き戸に変える場合には、玄関の間口を変える必要が生じることが多くなります。

この場合には工事が外壁や内壁にまで及ぶので、工期が長くなり、工事費も高くなります。
しかし、玄関ドアの選択の幅がさらに大きく広がり、使い勝手も大幅な改善が可能になるので、現在の使い勝手に不満がある場合には、費用対効果を考えた上でどちらの工法を選択するのか判断する様にしましょう。

防犯性の向上

玄関の防犯性を高めるためには、玄関ドアを防犯性の高いものに交換してピッキング対策を施し、空き巣の侵入を防止するのが有効なことは先に述べました。

他にもTVドアホンを設置する、防犯カメラを設置する、警報システムを取り入れる、玄関先に人感センサー付きの照明器具を設置するなどのリフォームがあります。

そして意外と忘れやすいのが、道路や隣地など外部から玄関への見通しです。
玄関が塀や植栽などで覆われていて、道路から見通せなかったりすると、空き巣に狙われやすくなります。

玄関先が道路や近所の家など外部から見通しが効く様に、周囲の障害物を撤去しておくことは、有効な防犯対策になります。

玄関収納の改善

玄関には靴や傘だけでなく、ゴルフバックやベビーカー、掃除道具など様々なものを置くことが多いと思います。家族構成や生活スタイル、趣味の変化などによって、玄関に収納するモノも変化します。

しかし、新築した時からそれだけのものを収納できるスペースを備えた家は、ほとんどないといえるでしょう。

玄関に収納スペースが不足している住まいは多いと思います。

玄関に靴やモノがあふれて足の踏み場もない状態では、客人に良い印象を与えることはできません。

収納スペースの増設が必要になります。

最も簡単な方法は、玄関の壁1面を天井までの壁面収納にすることです。

現在、腰の高さ程度の下足入れしかないのなら、収納力は格段にアップします。高い場所の収納は使いにくく感じますが、普段はあまり履かない靴などを収納する様にすれば、そんなに不便ではないはずです。

また、収納の一部にコートハンガーを設置しておくと、ちょっとした外出時にも便利です。

もっと大がかりにリフォームするなら、ゴルフバックやベビーカー、キャンプ道具などの大物を収納できて、土足のまま出入りできるシューズクロークを玄関脇に作ると、さらに玄関がスッキリします。

ただし廊下や隣室にも手を加えるケースが多くなるため、しっかりとした事前の計画が必要です。

床段差の解消

玄関の段差は100~180mm程度が望ましいとされていますが、それ以上の段差があるケースも珍しくありません。

段差が高いと高齢になるにしたがい、玄関の上がり降りが大変です。そのような場合には、段差の中間の高さに式台と呼ばれる奥行360mmほどの板を設置すると、上がり降りがラクになります。

ただし、その分玄関の土間が狭くなってしまうので、元々土間が狭い場合には、玄関ホールや廊下を削って玄関框(廊下や玄関ホール等の床と土間の段差部に水平に渡した横木)を移動する工事が必要になる場合があります。

状況によっては、玄関框を斜めに設置する方法も有効です。

玄関土間の改修

玄関の土間は、家の中では唯一土足で入る場所なので、汚れやすいため掃除がしやすいことが重要です。また雨水で濡れる場所でもあるので、水に強く、耐久性も大切です。

玄関土間の床仕上げ材としては、タイル貼りや石貼りが一般的ですが、吸水性の低い平滑なタイルや大判のタイルの場合は、水に濡れると滑りやすく、家族に高齢者がいる場合には転倒する危険があります。

玄関土間の床材は、一体感を出すために玄関前のポーチと同じものを使用することが多いので、広い面積になることが多く、滑りやすいと非常に危険です。濡れた靴でも滑りにくい石やタイルに張り替えるリフォームは、安全面で有効です。

また小さめのタイルや石に変更して、目地を多くするのも滑り止め対策として有効です。

手入れのしやすさを考えると、色の選択も重要です。
白系の床材は汚れが目立つのが明らかですが、黒系の場合でも泥が付いた靴で歩いた後で、乾燥すると非常に汚れが目立ちます。

汚れが目立たない色を選ぶなら、グレー系や薄い茶系、ベージュ系などが無難です。

その他

1.暗さの解消

北側に玄関がある場合には、どうしても玄関が暗くなりがちです。
玄関が暗いと、気分まで滅入ってしまいそうになります。

新築住宅の場合であれば、玄関を吹き抜けにして上部から光を取り入れるのがよくある手法ですが、リフォームの場合は簡単ではありません。

玄関ドアをガラス入りのものにする、袖にガラスを入れる、ランマ付きの玄関ドアに交換するなどの方法で解消できます。

2.内装

玄関ドアの取り換えや収納の増設工事と同時に、内装のリフォームは良く行われます。

玄関は家族以外の人がたびたび目にする場所なので、天井や壁がうす汚れていたり、壁紙が剥がれて老朽化していると印象があまり良くありません。
ビニールクロスの貼り換え程度なら、比較的手軽に綺麗にすることが可能です。

また玄関は、靴の臭いなどが充満しやすい場所なので、消臭効果のある機能壁紙などで貼り換えを行うと良いと思います。

そして玄関には住む人のセンスが表れるものです。
機能面のみでなく、デザイン性も欠かせません。壁一面のみ壁紙を変えてアクセントにしたり、飾り棚を作ってちょっとした小物や花を飾るだけでも高い演出効果があります。

壁の厚みを利用して「ニッチ」と呼ばれる飾り棚にするのも良いでしょう。
工夫次第で効果的なインテリアの演出が可能になります。

3.手摺の設置

高齢者がいる家庭では、玄関で靴を履いたり、靴を脱いだりする際の動作が身体の負担になります。動作を補助するための手摺や壁付けの折りたたみ収納ベンチがあると便利です。

折りたたみ式ベンチは、使用しない時はスッキリ壁に収納できるので、玄関先で場所をとりません。また、ちょっとした腰掛けとして利用することも可能です。

3.照明器具

夜、帰宅時や来客時に暖かい雰囲気で迎え入れるためには、照明器具の役割は思った以上に重要です。

玄関のリフォームをするなら、照明器具も見直してみましょう。玄関の照明の明るさは、夜道を歩いてきた人が眩しく感じすぎない様に、あまり明るくなりすぎないことが大切です。

通常では、リビングよりも少し暗めの方が適しているといわれています。
人を感知して自動的に点灯するセンサー付きの照明器具を付ければ、暗いところでスイッチを探す必要がなく便利です。

また、飾り棚やニッチをスポットライトやダウンライトで照らせば、より演出効果が高まります。

玄関収納の下や、壁のくぼみなどに間接照明を入れるのも、玄関を印象的な空間にするのに役立ちます。

5.鏡の設置

玄関に鏡があると、外出前に身だしなみのチェックができるので非常に重宝します。
できれば全身が写る縦長の姿見を設置したいものです。

壁に鏡を設置する場所がなければ、玄関収納の扉に設置する方法もあります。
住設建材メーカーの既製品の玄関収納にもそのような商品があります。

6.玄関廻り外壁の改修

玄関ドアを従来の工法で交換する場合には、玄関廻りの外壁の補修工事が必要になります。

また、カバー工法で交換する場合でも、選んだ玄関ドアと外壁が合わなくなってしまうこともあります。

古い家の場合には、玄関廻りの壁だけがタイル貼りになっていることも多く、玄関ドアのデザインによっては、おかしな外観になってしまうことも珍しくありません。

そんな時には、思い切って玄関廻りの外壁もリフォームしてしまった方が満足度が上がります。

まとめ

玄関は、設備の交換や部屋の用途を変更することもないため、住まいの中でもリフォームを行う機会が少ない場所です。

玄関リフォームで最も需要の高い玄関ドアの交換も、ドアの耐久性が向上しているので、一度リフォームすれば今後再び交換を行う可能性は高くないでしょう。

それだけに玄関リフォームでは失敗が許されません。

一方では、家の出入りの際に家族全員が絶対に利用する場所なので、家族みんなの使いやすさを考えてリフォームプランを立てる必要があります。

そして長く快適に利用するためには、家族構成の変化や高齢化、生活スタイルの変化など、将来の変化を見通したリフォームを行うことができるかどうかが成功の鍵といえるでしょう。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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