目次
はじめに
所有している空き家を有効に活用したいと思った時に、何らかのリフォームが必要になる事が多いでしょう。
そして、リフォームを行う際には、まずリフォーム会社を何社かリストアップして、見積依頼をすると思います。
でもその時に、どの様にしてリフォーム会社を選んだら良いのかわからない方は多いのではないでしょうか?
リフォーム会社を見つける方法は、最近ではインターネットのリフォーム会社検索サイトや各リフォーム会社のホームページなどが良く知られていますが、他にも
- 新聞折り込みチラシや、ポスティングチラシ
- 雑誌の広告
- 住設機器メーカーや新聞社などが主催するリフォーム相談会などのイベント
- リフォーム会社が行う完成現場見学会やリフォーム相談会、セミナー
- 友人、知人の紹介
- 近所の口コミや地元の評判
- 新築した時のハウスメーカーや工務店
など様々です。
一昔前なら、業者を探すのも一苦労でしたが、現在は黙っていても様々な情報が入ってくるので、逆に迷ってしまうのではないでしょうか。
そこで今回はリフォーム会社の選び方をご紹介したいと思います。
リフォーム会社の正しい選び方とは?
リフォーム工事の費用は、決して安くはありません。ちょっとしたリフォーム工事でも、新車が1台買えるくらいの金額になってしまう事は珍しくありません。
誰もが失敗したくないのは当然です。
少しでも安く、高品質なリフォームを行いたいと思うのが普通でしょう。
一口にリフォーム会社といっても、その出身業態や業種は様々な事は以前お話しました。そしてそれぞれに得意な分野と苦手な分野があります。
リフォームには、数万円の工事から1000万円をはるかに超える工事まで、また外壁塗装工事から内装工事、住宅設備機器の交換、間取り変更工事、断熱改修、耐震補強工事、増築工事・・・など、規模や工事内容も様々です。
また、工事を行う建物も、木造から鉄骨造、鉄筋コンクリート造などがあり、同じ木造でも在来軸組工法と2×4工法では、必要とされる知識や技術も異なります。
私も約23年間、住宅会社のリフォーム部門で事業責任者をしていましたが、どんなリフォーム工事をしても、他社よりも安価で、品質も優れているなどというリフォーム会社はありません。
もし、「どんなリフォームでも他社には絶対に負けません」などと声を大にしていう業者がいたら、その業者の話はあまり信用できないと思って良いでしょう。
一方では、「どんなリフォームでもお任せください」は嘘ではないでしょう。
住宅の新築工事、またはリフォーム工事で、元請業者が全ての工事を自社の社員(職人)だけで施工する事はほとんどありません。
建築の仕事は、工事の一部または全部を、下請け業者を使いながら行うものなので、施工可能な下請け業者さえ手配できれば、どんなリフォームでも行う事は実際に可能です。
しかし、工事全体を適切に管理しながら進めるのと、下請け業者任せで進めるのとでは、施工品質に大きな差が出るのは明らかです。
「任せて安心」は、残念ながらこの業界には滅多にありません。
この様な事情から、施工品質でリフォーム業者を選ぼうとする場合には、業者の選び方に正解というものはありません。
施工品質は、職人の腕と現場監督の施工管理能力でほとんど決まってしまうからです。大手だからといって安心できるとは限りませんし、たとえ会社規模が小さくても、良い仕事をする会社はたくさんあります。
同じ会社に工事を依頼しても、現場ごとに職人も現場監督も異なります。
そして、優秀な現場監督のもとには、腕の良い職人が集まる傾向があります。よって、同じ会社の中でも、現場によって品質のバラツキが生じてしまうのです。
そしてどんな職人や現場監督が担当するのかは、注文主には事前にわかりようがないためです。
STEP1.リフォームの目的にあったリフォーム会社を選ぼう!
それではどうすればよいのでしょうか。
ただ運に任せてリフォーム会社を選べば良いのでしょうか。
インターネットのリフォーム会社検索サイトや、一括見積サービスサイト、住宅雑誌などでは、リフォーム会社を選ぶポイントとして、経験や実績豊富な会社、アフターメンテナンスの体制がしっかりしている会社などと書かれているのを良く目にします。
これはあながち間違いではないと思うのですが、いまひとつピンときません。
どうすればそれを確かめる事ができるのかが、よくわからないためです。
リフォーム会社の施工実績を確認する時、まずは会社のホームページやパンフレットなどで施工例を確認すると思いますが、希望する工事の施工例が数多く掲載されていても、決してその工事が得意とは限りません。
部分的な内装仕上げ工事ばかり行っているリフォーム会社が、リノベーション工事の販売促進を目的に、数少ないリノベーションの施工例をホームページや会社案内のトップに掲載するケースなどは良く目にします。
見栄えが良くて、金額の高い工事などは、数少ない施工例でも強調されがちです。
リノベーションがメインの会社だと思って依頼したら、実際には施工実績が数件しかなかったなどという事もあります。こうしたケースが多いので、注意する必要があります。
また、会社案内などに書かれているアフターメンテナンス体制なども、社外の人には本当の事なのかどうかは、なかなかわからないものです。
こうした営業ツールに書かれている事を、鵜呑みにしてしまうのも危険です。
しかし、リフォーム会社を選ぶ上で、自分の希望するリフォーム工事の工事実績は非常に重要な選定基準になります。
実績が多ければ様々なノウハウが蓄積されていて、施工に手慣れた下請け業者も数多く抱えているはずです。また、工事に必要な材料や資材も安価で調達する事ができるので、コスト面でも有利です。
この様な施工実績や会社の得意分野は、それぞれのリフォーム会社の出身業態からある程度目安がつきます。
元々が塗装、内装、屋根工事などの専門工事会社や電気、水道、ガスなどの設備工事店であれば、それぞれの専門工事が得意で、間取り変更や耐震補強などの建築工事や大規模なリノベーション工事などは、あまり施工実績がないでしょう。
逆に、ハウスメーカーや建設会社のリフォーム部門であれば、建築一式工事の施工実績は豊富でも、外壁塗装工事や屋根工事、床暖房工事などの施工は、下請けの専門工事店に発注するので、コスト面では不利になると思います。
これらの出身業態は会社概要や会社経歴書を見ればだいたいわかります。
また、建設業許可から得意分野を判断する事も可能です。
建設業の許可には、建築一式工事や大工工事、屋根工事など29業種あり、工事種類ごとに業種別の許可制度となっています。
29業種の中にはどの様な業種があるのか、インターネットなどで調べておくと良いでしょう。
そして、工事を発注する際には、発注する工事内容がどの工事種類に該当し、発注したい業者がその許可を有しているかどうかを確認する事は重要です。
この様に、リフォーム会社を選定する際には、計画しているリフォーム工事がどの工事種類に該当するのかを知った上で、その目的にあった会社を選ぶのが最初のステップになると思います。
しかし、リフォームの目的や内容によっては、価格の安さが業者選定の最優先になる場合もあると思います。
リフォーム会社を費用で選ぶ際には、以下の事を参考にしてください。
住宅の建築やリフォームでは、安くて品質も良いという例はそんなにありませんが(高くて品質が悪い例は多い)例外もあります。
たとえば故障した給湯器の交換などの修繕工事であれば、どこに依頼しても商品はメーカー品を使い、施工の難易度も高くないので、品質はほとんど変わりません。
普段から商品を大量に仕入れている専門工事店が最も安価になると思います。
一方、大手のリフォーム会社ほど金額が高くなる傾向があります。様々な媒体に広告を打ち、ショールームや営業所を全国に配置すれば、多額の経費がかかります。
こうした経費は見積価格に必ず反映されるので、コスト面ではどうしても不利になります。
コストを最優先する場合には、はじめから大手リフォーム会社は外して考えた方が良いでしょう。
STEP2.担当者との相性を重視して業者を観察する
自分が希望するリフォーム内容に合いそうなリフォーム会社を3社程度セレクトしたら、相見積もりを取得します。
すると、依頼を受けたリフォーム会社から、担当者が現場調査と要望のヒアリングを行うために訪問してくると思います。
実はこの時の担当者の印象が、とても重要なチェックポイントになるのです。
住宅リフォームの不満の中で、工事の仕上がりや不具合など品質に関わるもの以上に多いのが、「いった、いわない」のトラブルと「思い描いていたイメージと違う!」といったトラブルです。
こうしたトラブルを避けるためには、担当者とのコミュニケーションが非常に重要です。
担当者と良好なコミュニケーションがとれて、リフォームのイメージが共有できれば、その時点でリフォームが成功する確率は格段に高くなると思います。
そして、こうした打ち合わせの場面は、業者(担当者)の質を見極める最も重要な機会でもあるのです。
何でも注文者の言いなりになる人、反対に自分の考えばかり押し付けてくる人、話を良く聞いてくれない人、言ったことだけにしか興味を示さない人、メモをとらない人など、何となく意思疎通に違和感がある様なら、要注意です。
次に、見積書が出来上がると、再び担当者が説明のために訪問してきます。(見積もり提出時には、必ずその内容について説明してもらう様にしてください。)
そしてその際には、特に以下の項目について確認します。
最終的に業者を決定する上での最も大切なチェックポイントです。
- リフォームに対する自分の要望が、きちんと見積書に反映されているか。
- リフォームの目的を的確にくみ取って、見積書を作成しているか
- 見積内容に余分な項目や必要のない工事が含まれていないか
- 建材・設備等のグレードや品番等が正しく記入されているか
- 後から予定外の追加工事を請求される事はないか
- 別途工事の内容が明確になっているか
- 二重計上はないか
- 見積書の内容をわかりやすく説明してくれたか
- メリットだけでなく、デメリットも教えてくれたか
- プロとしての提案が盛り込まれているか
…等です。
最後のプロとしての提案の有無は、満足度の高いリフォームをするためには不可欠です。
注文主のリフォームの目的や仕上がりのイメージを良く理解した上で、「こうすればもっと良くなりますよ」などといった顧客目線での提案ができるかどうかで、担当者の顧客への思いやりや実力がわかります。
特に空き家をリフォームして、他人に貸したり売ったりしようとする場合には、予算と目的に合った提案ができるかどうかは、非常に重要なポイントになると思います。
空き家リフォームに限った事ではありませんが、予算をオーバーしてしまった際に、上手にコストダウンしながらどこまで希望を叶える事ができるのかが、リフォーム担当者の腕の見せ所です。
リフォームを成功させるためには、担当者との相性は絶対に軽視できません。
むしろ良い担当者と出会えるかどうかで、リフォームが成功するかどうかが決まるといっても良いくらい、担当者との相性は決め手になります。
しかし、残念ながら営業担当者が工事完成までパートナーになり続けてくれるとは限りません。会社によっては、工事が着工すると現場監督は別の工事担当者に引き継ぐ事もあります。
契約してから完成するまで、どんな人が担当するのかよく確認し、できれば事前に顔合わせをさせてもらっておくと安心です。
SEEP3.最後にココをチェックしよう!~5つのポイント
ここまでで、ある程度リフォーム会社を絞り込む事ができたと思います。いよいよ業者を決める前に、最後に確認しておきたいポイントがあります。
STEP2では、「担当者との相性」が重要という話をしましたが、会社が倒産してしまう、担当者が退職してしまい後任の担当者が物足りないなどという事になってしまっては、後々困ってしまうので、会社の信用度も外せない要素です。
リフォームも建築工事なので、様々なリスクがあります。
前述した会社の倒産以外にも、工事中の事故や火災の発生、近隣とのトラブル、瑕疵の問題などです。
この様な不測の事態では、「絶対に安心」とはいえないまでも、大手のリフォーム会社の方が安心できるのは事実です。
しかし、小さなリフォーム会社だからといって安心できないとも限りません。
ここでは、会社の信用度をチェックする方法をご紹介します。
1.建設業の許可の有無を確認する
建設業法では、500万円未満のリフォーム工事を行う際には、建設業の許可は必要ない事になっています。
しかし、ある程度の規模のリフォーム工事であれば、500万円未満の工事でも、建設業の許可がある方が安心です。
建設業の許可を取得するためには、建築技術者が在籍している事の他に、経営業務の管理責任者がいる事、一定の財産的基礎、金銭的信用がある事などが要件になっています。
逆に考えれば、建設業の許可がないのは、建築技術者がいない、金銭的信用がないなどの何らかの欠落事項があると思われます。
建設業許可があれば絶対に安心とはいえませんが、社会的な信用度の客観的な目安にはなります。
2.建築技術者の数
社内に1、2級建築士、1、2級建築施工管理技士などの国家資格者が何人いるのかも会社の技術レベルをはかる重要な指標になります。
リフォーム工事でも、一定の規模以上の工事では、有資格者の存在が不可欠です。
3.施工現場や完成現場に案内してもらう
現場の清掃状態や職人さん達の働く姿、施主やOB客の生の声は、会社のホームページや営業マンの営業トークではわからない貴重な情報になります。
一部のリフォーム会社では、積極的に現場案内を行っています。
現場案内を希望しても、何かと理由をつけて断られてしまう、案内に消極的などの場合には、施工実績に乏しいか、施工品質に自信がないなどの可能性があります。
4.業界団体への加盟
リフォーム業界には様々な業界団体があります。
業界団体では、リフォーム関連情報の発信、リフォームコンテストの開催、会員企業向けの研修などを推進しています。
これらの団体に加盟していないからといって、リフォーム会社の信用度や施工能力が疑われる事はありませんが、団体活動などを通じて、様々な関連情報を積極的に収集し、日々の業務に活かしている業者であれば安心感につながります。
主な業界団体
- 住宅リフォーム推進協議会
- 日本増改築産業協会(ジェルコ)
- 日本木造住宅耐震補強事業者共同組合(木耐協)
- 良質リフォームの会
- リノベーション住宅推進協議会
- ベターライフリフォーム協会
- 古民家再生協会
など
5.保証・アフターサービス
どんなに品質管理を徹底しても、建築工事は人工的に整った環境ではない現場の中で、職人の手作業によって行うものなので、完成後に不具合の発生や、調整・手直しが必要になる事があります。
こんな時に備えて、保証やアフターサービスがあります。
保証やアフターサービスの充実度は、業者を選ぶ上で、関心の高い部分だと思います。
多くのリフォーム会社では、引き渡し後一定の期間(会社によって1年~2年が多い)の間に、保証条項であらかじめ定められた不具合が発生した場合には、無償で修理を行う保証制度を設けています。
しかし中には、保証やアフターサービスがない会社や、口約束だったために実際に修理が行われなかったなどというケースもあります。
その様な事がない様に、保証やアフターサービス内容を明記した書面(保証書、アフターサービス規準書など)で、アフターサービス期間や内容を事前に確認しておく様にしてください。

また、リフォーム会社によっては、定期点検サービスを実施している会社もあります。
しかし、サービスと言っても、その費用(点検作業員の人件費等)はあらかじめ見積価格に上乗せされているので、知っておくと良いでしょう。
これらの各リフォーム会社独自の保証やアフターサービスに加えて、国土交通大臣が指定する保険法人の「リフォームかし保険」を利用できるケースもあります。
リフォームかし保険では、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分に5年間、その他のリフォーム工事部分に1年間、補修費用に保険金が使えること以外に、工事中に保険会社の検査員によって検査が行われるので安心です。(ただしリフォーム会社が倒産してしまった場合を除き、保険金はリフォーム会社に支払われます)
しかし保険料は注文者が負担するケースがほとんどで、リフォーム会社が大臣指定の保険法人に事業者登録している必要があります。
リフォーム会社が事業者登録をするためには、建設業の許可や一定の住宅の建設工事経歴が必要となるので、リフォームかし保険を利用しない場合でも、事業者登録している業者であれば、信用の目安にはなると思います。
まとめ
ここまでリフォーム会社の選び方について、色々とご紹介してきました。
住宅リフォーム業界の参入企業は多種多様で、完成した工事の品質や施主様の満足度のバラツキは、住宅の新築工事以上に大きいと思います。
リフォームを成功させるための秘訣は、良い担当者との出会いと、良い会社選びに尽きると言っても過言ではありません。
デザインやコストも重要な要素ですが、そこにばかりとらわれてしまうと、後悔する事にもなりかねません。是非、リフォーム会社選びの参考にして欲しいと思います。

益子公博

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