空き家不動産トピックス|鑑定評価額とは何か?

鑑定評価額とは何か鑑定評価額とは何か




空き家問題でよく耳にする「鑑定評価額」とは?

鑑定評価額とは、不動産鑑定士によって鑑定基準に沿った鑑定によって導き出された、個々の不動産に対しての価額のことです。

不動産の鑑定評価に関する法律である「不動産の鑑定評価に関する法律」第2条第1項には、「土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」とあります。

不動産の買取業者や仲介業者が見積もる金額に関しては、不動産鑑定の項目からは除外されていて、不動産鑑定士・鑑定士補が業として報酬を得て行う鑑定が不動産鑑定であると法では定義され、これら資格者以外のものが不動産の鑑定評価を行うことは法により禁じられています。

不動産の流通は、現実的には様々なニーズや事情などによる個別的要因で価額形成されるのが一般的なので、指標だけでは測れない複雑な要素を多分に含んでいます。

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このような中で個別の不動産対する適正な価額を契約当事者である売り主・買主だけで測ることは相当に困難であることから、鑑定士による鑑定価額の必要性が定義されています。

不動産鑑定士による鑑定手順

不動産鑑定の手順としては、

  1. 基本調査
  2. 物件確認
  3. 資料収集・整理
  4. 検討作業
  5. 鑑定評価方式の適用
  6. 試算価額の調整
  7. 鑑定評価額の決定
  8. 鑑定評価報告書の作成・鑑定評価額の表示

と言った順番にて行われ、依頼者に対し鑑定評価書が交付されます。

不動産鑑定評価の具体的手順

先に少し触れた不動産鑑定評価のプロセスを、もう少し詳しくみてみます。

1.依頼の受付及び鑑定評価の基本的事項の確定

クライアントから依頼を受けたら、不動産鑑定士(補)はどんな不動産をどんな条件の下で鑑定するかという「前提条件」を明確にする必要があります。

2.依頼者・提出先及び利害関係等の確認

先出の前提条件と共に、鑑定評価の依頼者・提出先・開示先について確認を行います。
当該不動産の鑑定評価に関与する不動産鑑定士、所属する不動産鑑定業者、対象不動産、依頼者等との利害関係有無について明らかにする必要があります。

利害関係が不正に絡むと、不当に鑑定評価を釣り上げることが可能となってしまいますので、それを防ぐためのプロセスといえます。

 3.処理計画の策定

この段階になると鑑定評価に必要な作業量が定まってくるため、これに応じた処理計画を策定しはじめます。
具体的には、鑑定評価の各手順に必要になる具体的作業内容と日程を、不動産鑑定士及びその補助者の処理能力を勘案して、分担決定していきます。

 4.対象不動産の確認

実際に対象となる不動産を現地確認しつつ、権利関係についても居住者や関連人物にヒアリングしたり、公的資料から確認を行ったりします。
賃貸物件に不法に居座っている人物などがいる場合や、競売物件や隣家との境界問題などで権利関係が複雑化している物件などは、この段階で内容が整理されることとなります。

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5.資料の収集及び整理

不動産の鑑定評価の妥当性は、その鑑定評価に採用された資料に大きく左右されます。
鑑定作業において、資料の収集及び整理は、適切かつ合理的な計画に基づいて、豊富に、秩序正しく、かつ誠実に行う必要があります。

5.資料の検討及び価格形成要因の分析

このステップでは、収集された資料が鑑定評価作業に必要かつ十分なものであるか否か、その性格が偏向的でなく信頼性が高いかどうかについて考察します。
価格形成のために信用が足らない資料については、この段階で除外されていきます。

 6.鑑定評価方式の適用

鑑定評価の方式には、(1)原価方式、(2)比較方式、(3)収益方式の三方式があります。原則的には三方式を併用しますが、細かく言うと価格を求める手法と賃料を求める手法に分かれます。

7.試算価格又は試算賃料の調整

複数の手法により求められた試算価格(賃料)の再吟味と説得力の判断を通じ、鑑定評価額を決定します。

再吟味とは、特に各手法に共通する価格形成要因について、繰り返し検討した結果を踏まえ十分に整合性がとれていることを明確にすることになります。

要は様々な角度から算出価格が合理的であると判断できるまで、たった1度の計算で終わりにすることなく、何度も手法を入れ替えしつつ計算を繰り返すということになりますね。

 8.鑑定評価額の決定

前記の手順を十分に尽くした後、専門職業家としての良心に従い、適正と判断される鑑定評価額を決定します。

 9.鑑定評価報告書の作成

鑑定評価額及び対象不動産の内容等が記載された鑑定評価報告書の作成によって、鑑定評価の手順は完結することとなります。

不動産鑑定とは不動産の価値を貨幣で具体的に表すこと

そもそも不動産鑑定とは不動産の経済価値を金銭に見積もる行為を指すということです。
そこで考えてみると、取引当事者がその取引を行おうとしている空き家等の不動産について、自身の主観で値段をつけることや、仲介業者や買取業者が物件調査を経て独自の方法で物件価額をはじき出して買取査定や売却価額の提案やアドバイスに利用したりするような行為についても、同じように鑑定評価と言えるように思えます。

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不動産鑑定評価はプロである有資格者「不動産鑑定士、鑑定士補」しかできない

しかし先出の「不動産の鑑定評価に関する法律」にとって定義されているのは「他人の求めに応じ報酬を得て、不動産の鑑定評価を業として行うこと」が「不動産鑑定業」と定義されていて、不動産鑑定士・鑑定士補以外の人間がこれを行ってはならないと、法により定義されています。

仲介業者や買取業者が自らの仕事を遂行するためにきっかけとして行う値付け相談や無料査定などの行為は、法的には不動産の鑑定評価とは違うものであることを知っておきましょう。

不動産の価額を構成する要因は本当に複雑だよ、だからプロの力が必要ですよ…と、国土交通省の「不動産鑑定評価基準」は述べている

不動産鑑定士が不動産鑑定評価の仕事をするための実務指針、いわゆるルールブックのようなものとして、「不動産鑑定評価基準」というものが国土交通省より定められています。

https://www.mlit.go.jp/common/001043585.pdf

この不動産鑑定評価基準の中の記述において、

「不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。それは、この社会における一連の価格秩序の中で、その不動産の価格および賃料がどのようなところに位するかを指摘することであって、

  1. 鑑定評価の対象となる不動産の的確な認識の上に、
  2. 必要とする関連資料を十分に収集して、これを整理し、
  3. 不動産の価格を形成する要因及び不動産の価格に関する諸原則についての十分な 理解のもとに、
  4. 鑑定評価の手法を駆使して、その間に、
  5. 既に収集し、整理されている関連諸資料を具体的に分析して、対象不動産に及ぼ す自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の影響を判断し、
  6. 対象不動産の経済価値に関する最終判断に到達し、

これを貨幣額をもって表示するものである この判断の当否は、これら各段階のそれぞれについての不動産鑑定士の能力の如何及びその能力の行使の誠実さの如何に係るものであり、また、必要な関連諸資料の収集整理の適否及びこれらの諸資料の分析解釈の練達の程度に依存するものである。し たがって、鑑定評価は、高度な知識と豊富な経験及び的確な判断力を持ち、さらに、 これらが有機的かつ総合的に発揮できる練達堪能な専門家によってなされるとき、初めて合理的であって、客観的に論証できるものとなるのである。 」

とあります。

要は、(不動産以外の)他のものと比べ、不動産価格の根拠となる要素がコロコロ変わるため、不動産の値段をつけることは非常に難しい。従って、不動産鑑定評価のは高度な知識、豊富な経験と的確な判断力によって鑑定士だからこそ成せる仕事なのだ、ということを言っています。

世の中に流通する他の商品の価格は、比較的自由な価格構成のもとで価格が形成されますが、不動産の価格構成は個別的であることが非常に多く(一物五価)、1つの不動産物件に複数の評価基準価格が乱立してしまいます。
そこで国では、有資格者による不動産鑑定評価をもって「不動産価格の基準値」を公的に算出できる道筋を建てているといえるでしょう。

財産としての不動産(土地)の特性

至極当然の話ですが、不動産(土地)は新たに供給(生産)することが出来ないという本質的な特徴を持っています。
土地は一般的な財のように、価格が上昇すれば新たに供給(生産)が生じるということはほとんどなく、不動産の所有者が様々な動機によって売り出し、物件として市場に現れてくるいう構図しか持ちません。

また、空き家をはじめとする売り物件は、単純に地価が上がったからと言ってすぐに世の中に出回るわけではなく、不動産所有者の販売動機(資金繰り等)が生じないと、市場に商品が出てきません。

このように、「新たに供給(生産)することが出来ない」「この世に2つと同じものが存在しない」という2つの特性が、不動産の価値メカニズムを他の財産とは全く異なる形にしているといえるでしょう。

特に「空き家を売却したい」と強く考えているあなたのために、最低限の予備知識として以下に鑑定価格に影響を与えてる不動産の財としての特をまとめてみました。

土地は新たに生産できない

土地は、埋め立てのような例外を除いて、新たに生産することが出来ません。
なので供給できる土地の面積は有限です。
しかし、地の利用形態の転換(地目を変えたり造成をすること)は可能であり、特定の用途で土地を所有していても、将来必要に応じて変えることもでき、特定用途での土地の供給量というのは長期的に見れば可変的といえます(農地を住宅地に地目変更するといった例ですね)

土地の移転

土地は新たに別の場所に移転することはできません。

土地は連結している

土地は境界で区切られていますが、実際には連結して関連しあっています。
これは、ここの土地で営まれている経済活動(生産要素としての土地利用)において連鎖し、互いに影響しあう要因となります。
このことによって種々の外部効果が発生します。

インフラがあって初めて土地は価値を成す

土地がその価値を生かすためには、道路や鉄道などの交通網や、上下水道・電気・ガスなどの社会資本(インフラ)が必要不可欠です。
各種インフラが整っていて、利用が可能だからこそ土地は経済的価値を持つことになります。
山奥の原野にはインフラがないため、土地価格は二束三文になりがちですね。

土地の使い道は、不動産価値に大きな影響を及ぼす

土地はその置かれている位置によって適した使い道が違います。
そのため市街化区域ではその用途が区域によって分けられています。
このように、都心からの距離・交通施設・その他都市施設の利用可能性やその施設からの距離、またその土地が持つ歴史的環境的な背景、地理的条件や周辺環境によって、不動産の経済的な価値はそれぞれ異なります。

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空き家隊長

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実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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