空き家再活用のためのキッチンリフォーム、修繕の必須ポイント




はじめに

キッチンのリフォームは、浴室、洗面、トイレのリフォームと同様に人気の高いリフォームです。

私が勤務していたリフォーム会社では、最も依頼が多かったのが戸建住宅でもマンションでもキッチンリフォームでした。

キッチンリフォームは、配管等の更新や内装工事が伴うため、大工のほか水道業者、ガス会社、電気工事業者、内装業者など複数の職種の職人が必要になります。

また、毎日の生活への影響が大きいので、予定の工期が延びると施主様のストレスが高まるため、工程管理に非常に気を使う必要がありました。

依頼者側としても、工事中に変更が発生しない様に、事前に十分な計画を練って工事に着手することが重要になります。

また、キッチンは形状やグレードによってリフォーム費用が大きく変わります。

素材や収納、調理器具の種類などでキッチン本体の価格が変わるのみでなく、キッチンリフォームでは配置の変更や設置場所の移動を伴うことも多いので、作業の流れや使い勝手を十分に検討した上でリフォームしないと、無駄な費用をかけてしまうことにもなりかねません。

そこで今回はキッチンリフォームを行う上で抑えておきたいポイントをご紹介したいと思います。

キッチンリフォームの前に知っておきたいこと

キッチンは、毎日水や火を使用するため水や油が飛び散ったり、煙が出る場所なので、家の中でも最も汚れやすく、傷みやすい場所です。

古くなったキッチン設備では、水漏れや汚れ、悪臭などの問題が起きやすくなります。また、排水管の詰まりや換気扇の油汚れなどでお困りの方も多いでしょう。調理する場所だけに、衛生面に不安があるとリフォームを検討したくなります。

しかしこうした目に見える問題以上に最も怖いのが、老朽化したキッチンが原因で起きる火災です。

皆さんは「伝導過熱」というのをご存知でしょうか。「伝導過熱」とは、コンロや鍋から放射した熱が長い間に壁の木材や石膏ボードなどに蓄えられ、徐々に炭化させて木材が発火する現象です。

内装材の表面には特に異常がない様に見えて、いきなり壁の内部から火災が発生するので、非常に怖い現象です。

実はこうした火災が住宅では頻繁に発生しています。

「伝導過熱」が発生するのは、コンロと壁との距離が近いことが原因で、古いキッチンではこの様なタイプも珍しくありません。

こうした家では、リフォーム工事で既存の壁材を剥がすと、中の木材が炭のように真っ黒になっていることもあります。

もう少し放っておいたら、いつ火災が発生してもおかしくない状態です。
コンロと周辺の壁が近い場合には、早急に何らかの対策が必要です。

この様にキッチンは、火気、電気、ガス、水が集中している場所だけに、ちょっとした不具合でも火災や大事故に発展する可能性があります。

キッチンでは日常の使用で少しでも異常を感じたら、早めに処置することが大切です。また、キッチンをリフォームする際には、伝導過熱対策が重要になります。

キッチンの主なチェックポイント

  • 吊戸棚のガタツキや変形
  • シンクのひび割れ
  • 排水口やシンク下排水トラップ、排水ホースの損傷、漏水
  • 食器洗い乾燥機の煙や焦げくさい臭い
  • 電気加熱調理機器の異臭・異音・煙
  • ガス調理機器の異臭や異常燃焼、温度センサーの作動不良や汚れ
  • レンジフードの振動や異音

このような異常を放置しておくと、発火や漏水、ケガなどの重大事故につながる可能性が高いので、不具合が発見されたら使用を中止し、メーカーや専門業者に相談する必要があります。

これらの点検項目はリビングアメニティ協会がチェックリストを作成しているので、参考にすると良いでしょう。

ウェブサイトでも公開されています。

自分で点検! ハンドブック | ジュウテン
『自分で点検!ハンドブック』とは?住宅の設備や建材(以下、住宅部品と呼びます)の事故につながる不具合や異常の有無を、居住者の方がご自分で、手間をかけずにチェックするためのハンドブックです。

キッチンの種類

現在のキッチンセットは、収納や調理台・ガス台・流し台などを組み合わせ、天板(ワークトップ)を乗せてひと続きのものとして作り付けたシステムキッチンが主流になりました。

システムキッチンには、大きく分けて部材型簡易施工型があります。

部材型は、キッチンの形状や寸法、レイアウトなどを細かく自由に決めて、ひとつひとつの部材を組み合わせていきます。

一方簡易施工型は、ワークトップやシンクなどの各部材があらかじめパターン化されていて、その中から選んだものを組み合わせていくものです。

部材型がオーダーメイドなら簡易施工型はセミオーダー型といえます。

また、システムキッチンにはメーカーごとにいくつかのグレードがあり、高級グレードのものは、扉の質感やデザインなどの見た目だけでなく、様々な部材や調理機器を選んで組み合わせることができる様になっていて、簡易施工型でもよりオーダーメイドに近くなります。

昨今は、国内メーカーから様々な機種やグレードのシステムキッチンが販売される様になると共に、輸入システムキッチンも手軽に購入できる様になりました。

また、キッチンのレイアウト次第で使い勝手も大きく変わります。

選択の幅が広がるのは嬉しいことなのですが、反面何を選んだら良いのか迷ってしまいます。

そこで、システムキッチンの種類とそれぞれの特徴をご説明したいと思います。

レイアウトによる分類

1.壁付け型

壁付けキッチンとは壁に向かって作業するキッチンで、以前の住宅のほとんどがこの形式でした。

キッチンのすぐ後ろにダイニングテーブルを置いて、キッチンスペースを複数の用途に使える、配膳がラク、キッチンの上が散らばっていても目につきにくい、料理に集中できるなどの理由で、一部の人からはいまだに根強い人気があります。

2.対面型

対面型キッチンとは、キッチンに立った時にダイニングやリビングを見渡せるようなつくりになっているキッチンです。

料理をしながら子供の様子やテレビを見られる、家族と会話をしながら調理することができるので孤独にならないなどの理由から、近年は新築住宅のほとんどが対面キッチンを採用していて、壁付けキッチンから対面キッチンへのリフォームも盛んです。

対面キッチンの中でも、キッチンから見て何もさえぎるものがないものをオープンキッチン、キッチンの前にカウンターや下がり壁があるものをセミオープンキッチンといいます。

また対面キッチンは、さらに細かく分類することができます。

ペニンシュラキッチン

片側が壁に面し、もう一方がオープンになっているものはペニンシュラ型(半島)と呼ばれます。

比較的間取りの制約を受けずに採用しやすいため、オープンキッチンでは最も多いタイプです。

コンロの横に壁があるので、アイランドキッチンほど油汚れや臭いはありませんが、手元は丸見えになるので片付けが重要になります。

アイランドキッチン

キッチンの四方が全て壁から離れ、部屋の真ん中に島(アイランド)の様に置かれたキッチンです。複数人での作業のしやすさや、デザイン性の高さが魅力です。

油はねや臭いが部屋に広がりやすく、手元も丸見えなので、常に綺麗にしておく必要があるのが難点です。

お洒落な反面、デメリットも多いので、採用する際には欠点もしっかり考慮しておく必要があります。

I型キッチン

I型キッチンを対面式にする場合には、キッチンの前に腰壁を造作します。腰壁の上にカウンターを設置するケースもあります。

壁やカウンターがあるので、ペニンシュラキッチンやアイランドキッチンほどオープンではありませんが、腰壁の高さを調整して、ワークトップの上や手元が丸見えにならない様に隠すことができるメリットがあります。

さらには腰壁部分にコンセントを設置できるので、ミキサーやトースターなどの家電製品を使用する際には便利です。

吊戸棚を設置しないで下がり壁をなくせば、かなり開放的になるので、対面キッチンとしての機能を損なわずに、使い勝手の良さを求める場合には最適です。

L型キッチン

L型キッチンのシンクをダイニングやリビング側に向けて対面キッチンにすることもできます。

I型キッチンと同様に、キッチンの前に壁の造作が必要です。

3.その他

コンロとシンクを分けて2列に配置したⅡ型キッチンや、3方向をカウンタートップで囲んだU字型キッチンなどがあります。

Ⅱ型キッチンは、シンクを対面式にしながらコンロを壁側に設置できるので油煙や臭いの問題がおこりにくい、U字型キッチンは収納が多く確保でき、作業動線が短くなるなどのメリットがあります。

ワークトップの形状による分類

I型

コンロ・調理台・シンクがまっすぐ横並びになったベーシックな形のキッチンです。

横移動しかないことから作業動線が長くなりやすく、最大でも2,700mm程度にするのが目安です。

L型

コーナーを活かしたL字の形のキッチンで、I型に比べて調理・作業スペースが広くなり、移動もラクです。

コーナー部分がデットスペースとなり、収納として使いにくいのが難点です。

L型キッチンを設置する場合には、キッチンにある程度の広さが必要なので、ダイニングやリビングが狭くならない様注意が必要です。

またワークトップの材質には、主にステンレスと人造大理石があり、ステンレスの中にもヘアライン仕上げとエンボス加工されたものがあり、人造大理石もポリエステル系とアクリル樹脂系(高級)に大別されます。

ワークトップでキッチンの印象を左右すると共に、熱や水に強く、掃除がしやすいといった機能が求められます。

キャビネットの材質による分類

木質系キッチン

メラミン化粧板やMDFなどの木質系のキッチンは、色・柄が豊富で価格も手ごろなものが多いので、最もポピュラーなキッチンです。

天然銘木をスライスした突板を扉に貼り付けたものから、MDFにウレタン塗装したもの、塩化ビニール樹脂のシートまたはフィルムを貼り付けたものなど様々な種類があり、価格帯も幅広いため、予算にあわせて選ぶことが可能です。

ステンレス製キッチン

ワークトップだけでなく、扉やキャビネット、引き出しの底板、排水口部分までオールステンレス製のキッチンは、丈夫で耐久性が高く、手入れがしやすいのがメリットです。

ステンレスは、汚れ、臭い、熱、衝撃に強いので、水回りには最適な素材です。

値段は高めですが、価格に見合うだけのコストパフォーマンスがあります。

ステンレスの中でもモノによって品質が異なり、クリナップのSSシリーズには最高ランクのステンレス(SUS304)が使用されています。

ホーロー製キッチン

ホーローは金属にガラス質をコーティングさせて超高温で焼いた素材で、「金属の強さ」と「ガラスのお手入れのしやすさ」を併せ持っています。

非常に強く、傷がつきにくいのがメリットです。

一方、デザイン性に欠けるのが欠点です。見た目のデザインよりも実用性や耐久性を重視する方に向いています。代表的なホーローキッチンメーカーとして、タカラスタンダードが有名です。

フロアーキャビネット収納による分類

キッチンのフロアーキャビネットの収納は、従来は開き扉が主流でしたが、現在ではスライド収納が増えています。

開き扉は、手前のモノをどかさないと奥のモノを取り出すことができないのに対して、スライド収納は楽な姿勢で奥のモノを取り出すことができる、フロアーキャビネット内の隅々まで収納できるので収納量が増える、などのメリットがあります。

高級グレードのキッチンには、引き出しがゆっくりと静かに閉まるソフトクローズ機能がついています。

キッチンリフォームを行う上で覚えておきたい数字

キッチンリフォームを行う上で、リフォーム後の使い勝手は非常に重要です。

動きやすい配置や作業に適した高さにしないと、リフォーム前の方が使いやすかったなどということにもなりかねません。

キッチンの使い方は人それぞれですが、一般的に使いやすいとされる数字があります。これらを覚えておくことは、リフォームの計画を立てる上で役にたちます。

まずはキッチンの高さです。

キッチンの高さが低すぎると、毎日無理な姿勢で作業することになるので、「腰痛」の原因になります。

またキッチンが高すぎると、野菜を切る時に力が入らないなど、作業するのに何かと支障が生じます。快適にキッチンを使用するためには、キッチンの高さが重要です。

一般的に、キッチンの高さは「身長÷2+5cm」が目安となります。

身長160cmの人なら、85cmの高さが最適とされています。国内のシステムキッチンでは、高さ85cmが主流です。

家族で身長差が大きい場合には、最も多くキッチンで作業する人に合わせて高さを決めると良いでしょう。また、スリッパなどで高さを調整する方法もあります。

尚、キッチンを交換しなくても、いまあるキッチンの台輪の高さを調整して高さを合わせる方法もあります。

次にキッチンのレイアウトを考える上で、冷蔵庫、シンク、加熱調理機器(コンロ)の三つを結ぶ三角形(ワークトライアングル)が重要で、三辺を合計した数値は3.6~6.6mが適当とされます。

各辺が長すぎると無駄な動きが多くなるので疲れやすく、短かすぎると調理や配膳、設備機器、収納などのスペースが不足するため、使いにくくなるといわれています。

いずれの場合でも、ワークトライアングルが不適切だと作業効率が低くなってしまうので、注意が必要です。

これらの数字を参考にして、自分に最適のキッチンを手に入れてください。

キッチン前の壁材

キッチン前の壁には耐火性が求められるので、以前はタイル貼りやステンレス張りが一般的でした。

近年では目地が汚れやすく掃除が大変なタイルに代わって、メラミン不燃化粧板やホーローなどの汚れがつきにくく、手入れのしやすい素材でできたパネルが用いられる様になりました。

ホーローパネルはマグネットを付けることができるので、調理器具の収納やレシピなどが貼り付けられて便利です。

キッチンの移動

キッチンのレイアウトを変更するにあたっては、シンクや換気扇の位置の移動が必要になるケースが多いです。

戸建住宅ではさほど問題ありませんが、マンションの場合には床下に横引き排水管の勾配(1/50)を確保できるスペースがあるか、換気扇ダクトの配管経路が確保できるかなどの確認が必要です。

換気扇

換気扇の油汚れが落ちない、吸い込みが悪い、音がうるさいなど、換気扇の不具合をきっかけにキッチンリフォームを考える様になった人は多いと思います。

特に対面式のオープンキッチンの場合には、換気扇の能力が低いと煙や臭いが部屋中に充満してしまいます。

換気扇は主にプロペラファン、ターボファン、シロッコファンの三つに分類されますが、現在はシロッコファンが主流です。

レンジフードの種類もブーツ型(深型)、スリム型(薄型)、フラット型(浅型)、ファルコン型などがあり、近頃ではデザイン性の高いスリム型の人気が高い様ですが、現場の状況や消防法により取り付け可能なレンジフードが限定されてしまうことがあります。(特にマンション)

また、キッチンのお手入れの中でも最も大変な部分であるレンジフードは、お手入れのしやすさは欠かせない要素です。

汚れたまま長い間使い続けると、換気扇の機能は次第に低下してしまいます。

昨今では、フィルター清掃・フィルター交換が不要なフィルターレスのレンジフードや、セルフクリーニング(自動洗浄)機能が付いたレンジフード、油汚れが付着しにくいコーティング加工されたものなど、清掃性の高い商品も数多く販売されています。

キッチンの快適さを大きく左右するので、レンジフード選びも気を抜けません。

尚、キッチン交換をしなくても、レンジフードのみの交換も可能です。

調理器具、食器洗い乾燥機

システムキッチンには、様々な調理器具や食器洗い乾燥機、浄水器などを組み込むことができます。

ここでは機器の種類や機能の説明は省略させていただきますが、やはりお手入れのしやすさは大切な選定基準のひとつになります。

汚れた部分がサッとふけるIHクッキングヒーターやガラストップコンロは、お手入れがラクになる代表的な商品です。

尚、キッチンをそのままで、既存のガスコンロからIHクッキングヒーターやガラストップコンロに交換することや、システムキッチンに組み込むビルトイン食器洗い乾燥機を後付けすることも可能です。

その他

キッチンリフォームする際に忘れてはならないのが収納計画です。せっかく綺麗にリフォームしても、モノが収納しきれずにあふれていては台無しです。

作業動線に合わせて、使いたいものが使いたい場所近くに収納できるのが理想です。

キッチンの収納スペースは限定されますが、高いところに吊戸棚を取り付けてもあまり活用できないケースが多いので、注意しましょう。

キッチンの扉カラーと揃えたカップボード、家電収納などや、パントリーを上手に配置したいものです。

また、ゴミ箱の設置スペースも忘れてしまいがちです。キッチンでは必ず必要なものなので、ゴミ箱の置き場所を十分に検討しておく必要があります。

まとめ

キッチンリフォームは、I型のスタンダードなシステムキッチンに交換するだけなら60~70万円程度でリフォーム可能ですが、それぞれのご家庭に合った機能やレイアウトを検討していくと、工事が大がかりになることも珍しくありません。

せっかくリフォームするなら、要望を全て満たしたいと思うのが普通ですが、コストは上昇する一方です。

反面、コストを優先しすぎると、リフォーム後の満足度が得られなくなる可能性もあります。

キッチンリフォームでは特に、使い勝手の良さやデザインの良さとコストの費用対効果を十分に考えて計画を立てることが重要になります。この記事を参考に満足度の高いキッチンリフォームを目指してください。

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益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
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