共有名義(持分)空き家不動産の売却方法、分筆、売却後の確定申告

共有名義(持分)空き家の売却方法と売却後の確定申告

空き家となっている不動産は名義が自分一人だけになっているのであれば問題なく売却することができますが、共有名義なら話は違ってきます。

もしも空き家を兄弟間などで共有名義にしている場合、自分一人の意志で空き家売却を行うことができないので、売却方法そのものが変わっていく上、自分以外の人間が名義を持っているということが多くのケースで多大なトラブルを生むことも珍しくありません。

また、所有権の問題や持分、売却した後の確定申告など多岐に亘って注意点があるので、それらに関するルールを全て忘れないようにする必要があります。

ストレートに言って、共有名義不動産の処理は非常に複雑で面倒な事態に陥る典型的なケースであるといえるでしょう。

そこで、共有名義となっている空き家の不動産の売却方法やその後の確定申告などについて、必ず知っておいてほしい知識を今回はご説明いたします。




目次

空き家の不動産における「持分」の本当の意味と、あなたの正確な持分割合の調査方法

そもそも不動産がなぜ共有名義となるのか、それは相続が原因だったり、不動産を夫婦、もしくは両親や兄弟などと一緒に購入したことによることが挙げられます。

基本的に空き家不動産でも所有権を持つのは一人だけですが、共有名義ともなれば、その共有している人達が所有権を持つことになります。

もちろん不動産が空き家となったからといって所有権の問題が消滅するわけではなく、その後の扱いについて兄弟間で話し合う必要性があるでしょう。

初心者が誤解しやすい共有名義不動産の基本知識

空き家の不動産が共有名義になったとしても特に問題はないと思っていませんか?
共有名義に関する問題は初心者が誤解しやすいものであり、何も知らずに共有名義にすると後で様々なトラブルに発展することになりかねません。

共有名義不動産の売却は共有者全員の承諾が必要

共有名義の初心者に多い誤解の一つとして、他の誰かと共有して所有している不動産の扱いは自分一人でどうにかできると思っているケースが挙げられます。

もちろん空き家でも共有名義になっていれば自分一人でどうにかできるわけもなく、共有している人達の全ての承諾 (※ここが最重要) がなければこちらからは何もすることはできません。

つまり、自分一人が空き家を売却したくても他の共有者が売りたくないと言えばこちらは空き家を売却することができなくなります。

共有者との関係が良好であればそれほど大きな問題はないかもしれませんが、持分の問題や兄弟間とのトラブルによって事態が悪化することも珍しくないでしょう。

もしも共有名義となっている空き家を売却したいのであれば、他の共有者を説得する必要があるので気を付けてください。

共有不動産の売却については、相続をきっかけとする話が多く事例としてあげられますが(本サイトの記事でも相続を主に事例としています)、離婚をきっかけに共有名義の財産にしていたマイホームを売却する方もいるでしょう。

この場合でも、やはり(元)夫婦双方の同意がないと、共有名義のついたマイホームは売却することができません。離婚に至った場合は、なかなか双方腹を割って公平に話をすることが難しい状況になりがちですので、時には代理人(弁護士)を双方立てて、冷静に売却処理を進めることが必要です。

※余談ですが「空き家」と「マイホーム」は税務的にも取り扱いが異なります。「マイホーム」は主として居住用に使われている自宅であることが条件となりますので、空き家とマイホームでは、関連する税制特例なども色々と違ってくるのです。
持ち分が多くても不動産売却は自由にはならない

さらに誤解しやすい問題の一つとして、自分が持っている持分が多くても空き家を売却することができないことが挙げられます。

例え空き家でも持分を自分が多く持っていても自由にできないのが厄介なところで、自分がより多くの持分を持っていたところで、一番持ち分が少ない人が売却に反対しただけで空き家不動産の売却ができなくなります。

他に兄弟などが出資して不動産を購入した場合でも、出資額が多い人の意見が優先されるわけではありません。

この問題は相手の方が出資額が多かったり、持分が多くても同じことです。

自分の持分だけを売却する分には一向に構わないので、どうしてもというわけではないのであれば自分の持分だけを売却するのも一つの選択肢でしょう。

「持ち分2分の1」とは「面積」ではなく「権利」の2分の1

そして第三に誤解しやすいのが、持分と所有不動産の面積割合が一致しているというわけではないことです。
つまり、「持ち分2分の1」という場合は不動産面積の2分の1を所有しているというわけではなく、単に「土地全体に関する権利の2分の1」を持っているという概念になってきます。

共有名義不動産の持分

所有権が持分となって共有名義人に分けられていますが、あくまで不動産は共有者全員の所有物であり、持分によって面積が分けられているわけではありません。

よって自分が多く持分があるからといって、やはり空き家不動産を自由に活用したり処理、売却できるわけではないので覚えておきましょう。

持分調査について

もしも誰がどのくらい持分を持っているのか分からない場合、持分の調査を行う必要性があるでしょう。

これから売却する空き家の共有者がどのくらい持分を持っているかが分かれば、その後の対策がやりやすくなり、自分の持分が分かることで売却しやすくなります。

持分の具体的調査方法は、土地の登記簿(登記簿謄本、登記事項証明書とも言います)を確認するのが最も簡単で正確です。
土地の登記簿は土地管轄エリアの法務局や法務出張所などで600円(平成28年現在)の印紙を購入して取得可能です。

登記簿には共有者それぞれの持分割合についても明記してありますので、素人でも簡単に内容を理解することができでしょう(※空き家を相続した場合、相続登記を終了させていないと登記簿への持分記載は当然行われていませんので、念のため気を付けてください)。

筆者所有の不動産登記簿に記載されていた共有持ち分割合

筆者所有の自宅不動産登記簿に記載されている共有持ち分割合(所有者は筆者と妻)

土地登記簿で持分調査を行い、所有者それぞれの持分割合がはっきりしたところで、実際にどのように空き家不動産を処理するかを決定しますが、大きく分けてその方法は3種類あります。

共有名義の空き家売却3パターン

1.空き家と土地を丸ごと売却する
2.自分の持ち分のみを売却する
3.分筆して自分の持ち分を売却する

実家の相続では、共有名義不動産を作らない努力をする

これは筆者も自分自身で経験している話なのですが、共有名義の不動産は後々様々な諍いや心理的経済的衝突を相続人である家族間にもたらすことが多いのですから、そもそもできるだけ共有名義の不動産は相続時に作らないように努力するという考え方があります。

筆者の場合は、実家不動産(土地+家屋)を母(2分の1持分)、妹(4分の1持分)、筆者(4分の1持分)で共有相続する流れになった時に、妹と私は相続を一旦放棄してすべての財産を母親一人に相続してもらうことにしました。

これで実家は共有名義にはならず、母親一人の名義財産となったわけです。

結局は、将来的に母親がなくなる際には筆者と妹が不動産をはじめとする財産を相続するのですから、私と妹が急いで今相続をする必要はありません。

一番大切な「相続税をできるだけ抑える事」「親族間で争いの火種になるような名義の財産を作らないこと」とテーマを絞って、相続登記をした次第です。

これは私の母自身が実の妹と遺産相続時に骨肉の争いを演じてしまった反省からくる、母なりの善後策でしたので、私も妹も全く異論なくこの方針に賛同しました。結果的にこの判断は非常に正しかったと思っています

ただし自宅マイホームに関しては、妻への感謝のつもりで共有財産としております。今後離婚さえしなければ問題ないはずです…離婚さえしなければね(笑)

空き家と土地を一旦丸ごと売却し、売却代金を所有者で分割するには、共有者全員の同意と同席が必要

空き家となった不動産を売却する前に様々なトラブルを起こしたくないのであれば、一旦不動産を全て売却してから持分の割合だけ共有者全員に現金を分ける方法がお勧めです。

これなら難しいことを考えずに済み、全て売却してから現金を持分の割合だけ分けるだけでいいのでややこしいトラブルになる可能性が最も低い方法といえるでしょう。

ですが、この方法は他の共有者が了承していなければ行えない方法であり、1人でも反対していると実行できません。

共有者全員の承諾を得たら、何を準備すればいい?

空き家の不動産を売却する為には共有者全員の承諾を得なければならないので、まずは共有者全員を納得させる必要性があります。

全会一致でなければならないので、一人でも売却に反対している状態だと空き家を売却することができません。

無事に共有者全員から承諾が得られた場合は以下の必要書類を用意しましょう。

  1. 共有者全員の身分証明書
  2. 共有者全員の実印、押印
  3. 共有者全員の契約書への記名
  4. 共有者全員の印鑑証明
  5. 共有者全員の住民票
  6. 不動産の登記済権利書、または登記識別情報
  7. 土地測量図と境界確認書
これらの書類が一つでも欠けていれば空き家の土地や建物などを丸ごと売却することができなくなるので注意しましょう。

ここで注意しておきたいポイントは、売却契約の際に共有者全員が同席していなければならないことです。

手付金の授受がある契約の日と決済の日には必ず共有者全員が集まらなければならず、全員が揃わない時点で売却契約が成立しない可能性があるでしょう。

しつこいようですが、大事な点なので以下をもう一度お読みください。

既に上記で説明した通り、空き家となった不動産を丸ごと売却するには共有者全員の同意がなければできません。

共有者の同意なしに空き家の不動産を売却することもできますが、その場合は違法となり犯罪行為とみなされてしまいますので、重々注意しましょう。

【疑問】共有者があなたの持分不動産を相続登記前に勝手に譲渡(売却)してしまった場合はどうする?

お恥ずかしい話なのですが、庄屋の出自で代々かなりの土地持ちだった筆者の実母と叔母(母の妹)は、遺産相続の際に共有不動産と空き家の売却で非常に揉めに揉めました。その1つの大きな原因が叔母の夫と叔母の共謀による、他共有名義人に無断で土地を売却してしまうという犯罪行為でした。

結果的から言うと私の母は実の妹(とその夫)を刑事事件で訴えるには忍びないということで、金銭のやり取りで結末を迎えましたが、事後かなり年月が経った今でも、母と叔母の間では心情的わだかまりが残っているように見えました。

自身の身内の恥をさらすようで恐縮ですが、あなたが私の母と同じような苦い体験をしないためにも、下記の相続分取戻権については少々知っておいた方が良いと思います。

既に長い間同じ土地を共有し合っている間柄ならまだしも、突然の相続などで空き家や土地の法定持分を相続した場合、その取扱いに困ってしまった挙句、相続不動産の全てを(法律を知ってか知らずか)他の共有者に相談なく売却してしまったというケースはたまにあるようです。

もしあなたの同意なく、共有者が相続不動産を相続登記前に勝手に第三者へ譲渡(売却)してしまった場合はどうすればよいのでしょうか?

結論から言いますと、相続分取戻権を行使することによって、譲渡(売却)分不動産相当の対価を支払うことで、第三者からその不動産を取り戻すことが認められています。

ただし譲渡より1か月以内に行使しなければなりません。

相続分取戻権の要件は下記のようになっています。

  1. 共同相続人が自己相続分を他の共同相続人に無断で譲渡した。
  2. 共同相続人全員で行った場合や他の共同相続人の同意を得た譲渡の場合は、相続分取戻権は行使することができない。
  3. 相続分の譲渡が第三者に対して行われた。
  4. 相続分の譲渡が遺産分割前に行われた。
  5. 遺産分割が完了後では、相続分の譲渡は問題となりません。

この相続分取戻権は、相続人に財産が遺産分割される前に第三者が介入してくることによって、相続が複雑化してしまう事を防ぐための権利です。

ただし、第三者に譲渡(売却)されたのが相続不動産の全てであることが権利行使の条件であって、共有者が自身の持分のみを譲渡した場合は問題とならないという解釈があるので注意です。

こうなると、私の母のケースと同じように裁判で決着をつけるしかなくなるという、親族間の泥沼の戦いに陥ってしまいますので、本当に注意が必要です。

【疑問】共有者が疎遠で連絡がつかない、全く知らない他人が共有者だった場合はどうする?

複雑な家庭事情などにより、「疎遠になってしまった兄弟親族」、隠し子のように「全く血のつながりがない人物」だったり「そもそも全く知らない人物」だったりするケースも実際はあるために、共有者の所在地そのものが不明というケースがあります。

その場合はどうするべきでしょうか。

こういったケースでも、相続不動産を売却するには共有者全員の同意が必要なのは変わりませんので、まずは何とかして所在地不明の共有者を追跡調査して探し出すことが必須となります。

所在地不明共有者の探し方1:土地登記簿住所からの追跡調査

オーソドックスですが土地登記簿住所の所在地から共有者本人の所在地をつかみ、本人に相続不動産の売却意思があるかどうかを直接確かめることとなります。

土地登記簿は法務局、法務局出張所に直接出向くか、政府の登記情報提供サービスを使うことでインターネットからも取得できます(ただし利用登録に郵送のやりとりが必要です)。

登記情報提供サービス
登記情報提供サービスは,登記所が保有する登記情報をインターネットを通じてパソコン等の画面上で確認できる有料サービスです。

所在地不明共有者の探し方2:「住民票の除票」を入手する

土地登記簿の住所を頼りに、次は該当共有者の住民票を取得することになります。
転居していなければ住民票はそのまま現存しています。
もし転居したか死亡しているならば「住民票の除票」にその旨が記載されますので、除票の写しを役所に請求して入手します。

住民票の除票(見本)

住民票の除票(見本)

尚、住民票や住民票の除票を役所に交付請求できるのは、共有者やその家族などに限られていますが、仮に共有者が全くの他人の場合でも、民法上で相続不動産の持分権利がある方は、住民票、除票どちらも交付請求できる権利(共有物分割請求権の行使のため)があるので安心してください。

しかし、住民票を移すことなく諸事情で転居を繰り返しているような風来坊的人物が(本人もよく知らないまま)共有者だった、などという話が世の中には存在しています。

こういうケースは自己負担で興信所などを雇ってでも、どこに本人が所在しているかを何としてでも確かめて相続手続きの場に引きずり出してこなければならなくなります。

所在地不明共有者の探し方3:万策尽きたら裁判所の「失踪宣告」を申し立て、失踪者の財産を処分できるように認めてもらう

民放25条では、従来の住所または居所を去ったものがその財産の管財人を置かない場合、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所がその財産の管理について必要な処分を命じることができると記されております。

したがって、どうしても共有者の所在地がわからない場合は、裁判所に対して行方不明者の財産を処分する旨を請求する手段に出て裁判所に「財産管理人」を選定してもらいます。

共有者の失踪が正式に裁判所で認められれば(失踪宣告)、失踪から7年たった時点で「認定死亡」が確定し、共有者本人は死亡したとして取り扱われることになります。

所在地不明者ですので、彼もしくは彼女の財産管理人は捜索開始の段階では、ほぼ存在しないと考えてよいでしょう。

これらの手続きは当然、弁護士を代理人として行うこととなります。
1度もあったことがない共有者等のために、余計な相続コストがかかってしまうのは災難ですが、所在地不明者が共有者に1名でもいるならば、避けられない対処となっています。

効果的な税金対策を合わせて行いたい

更に、支払う税金を少しでも軽減させる為には税金対策が欠かせませんが、相続した空き家を売却する際に税金の特別控除を受けられる可能性があります(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。

この特別控除の下記条件を満たしている場合にのみ3000万円もの税控除を行ってくれる制度となっていますが期限が定められているので注意してください。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された
  • 相続になるまでは自宅であり、相続発生後に空き家になった
  • 相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までの相続である
  • 相続から空き家以外の使用履歴がない
  • 売却額が1億円を超えない
  • マンションなど、区分所有建物ではない
  • 役所や行政から要件を満たす証明書などが発行されている
  • 平成28年4月1日から平成31年12月31日までに相続物件を売却する必要あり

以上の条件を全て満たしていれば3000万円の控除が受けられるので、条件を満たしているか確認してみましょう。

この3000万円の控除は共有者一人一人が行うことが可能であり、売却した時の金額を全員で持分ごとに分けた上で3000万円を下回っていれば、全額控除できるので税金を支払う必要性がなくなります。

ですが、空き家とその土地の両方を共有者全員が引き継いで売却しなければならないので、共有者が別々に引き継がなければ3000万円の控除を受けることができないので注意しましょう。

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自分の持分だけを売却したい場合には共有者の同意は不要。様々なパターンでの売却処理方法がある

共有名義となっている空き家の不動産を売却するのではなく、自分の持分だけを売却するという方法もあります。自分の持分のみを売却する場合は、共有者全員の同意は不要となりますので、あなた自身の意志のみで決定ができます。

しかし、自分の持分だけを売却したい場合でも様々な注意点があります。

当然ながら元々共有名義として自分の持分を赤の他人に売却するので、他の共有者から見れば全くの第三者である他人が共有部分に入ってくることになる為、非常にトラブルになりやすいでしょう。

加えて、更地の不動産ならばまだしも、建屋(空き家)が残っている場合は新たな所有者が現れることに対して、一層の心理的拒否反応を他の共有者から受ける可能性も強まります。

それでも自分の持分だけ売却したいというのであれば、トラブルがないように人間関係のケアを行いながら様々な方法をシミュレーションしてから実行に移すことをお勧めします。

1.共有名義となった不動産の持分を専門に買い取ってくれる業者に仲介してもらう

参照サイト:センチュリー21

全くの無関係な他人であるにもかかわらず、空き家不動産の持分のみを買い取ってくれる買主はほぼ現れないのが現実ですが(他の共有者による買取が9割以上を占めています)、仲介業者の中には共有持分の買取を専門としている会社があります。

この会社では自分の持分を売却したいだけでなく、自分の提案によって共有者と揉めてしまっている場合や、誰がどのくらいの持分があるのかが複雑で把握できない等、様々な問題に対するアドバイスを行ってくれます。

→ 不動産「共有持分」の専門家による無料相談

共有不動産は夫婦間、親族間、兄弟間で名義を分けていることが多いですが、兄弟親族間の関係が良好なら問題がないものの、現実的に多くの共有者は相続や離婚など様々な問題を抱えています。

そんな中でスムーズに話が進められないことも大変多い為、第三者である業者に仲介に入ってもらうのも、共有者とのトラブルを避ける有効的な手段の一つとなるでしょう。

2.別の共有者に買い取ってもらう

自分の持分だけを現金化する為の方法の一つとして、他の共有者に買い取ってもらうという方法があります。

この方法は他の共有者に自分の全ての持分を渡す代わりに現金を直接支払うという方法であり、スムーズに事が進めば短期間であなたの持分を現金化することが可能です。

ただし、他の共有者全員が買取を了承しなければならず、さらに持分を売却する相手が現金を持っていること、持分を買い取る意志があること、そして共有者の中で誰か1人でも持分の現金化を了承してくれない状況だと、この方法を活用することができなくなるので注意しましょう。

3.不動産の持分割合を分筆する

自分の持分だけを売却したい時には持分割合に応じて分筆をする方法があります。

この方法は他の共有者が持つ持分割合の境界線を明白にするものであり、分筆することで自分と他の共有者が持つ持分を物理的に土地面積で切り離すことができます。

これなら切り離した自分の名義となっている持分だけを売却することができるので、他の共有者の了承をもらわなくても売却できるようになります。

ただし建屋(空き家)が残っている場合、空き家そのものを複数に分割することはできないので困りどころとなってしまいます。
現実的には、空き家は解体したうえで解体費用を共有者で折半。その後に土地のみを分筆処理していくというプロセスが必須になってくるでしょう。

分筆については下記でもう少し詳しく見てみます。

分筆して空き家不動産をを売却する際のプロセスと注意事項について

自分の持分だけを現金化する方法の1つとして分筆売却を挙げましたが、分筆売却には適切なやり方や注意事項が多くあります。

境界線に沿って土地を切り離すだけの簡単な作業に思えますが、適当な切り方だと境界線の問題など様々なトラブルが起こる可能性がでてきます。

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あなたの空き家、隣地との境界はきっちりと登記されていますか? 空き家に限らず、不動産の難しいところというのは、人と人との関係や約束事を...

分筆売却を詳しく解説

土地は筆という単位で計算するものであり、1筆ごとに登記簿謄本が存在しているので1筆ずつ数えるにあたって逐一固定資産税が課税される仕組みになっています。

既に説明したように、通常は分筆などしなくても空き家となった不動産の土地を売却して持分の割合だけ現金化することができますが、それだと自分の土地としてでなく共有者全員の土地の「権利」を複数人で分割しているに過ぎません。

したがって他の共有者と完全に土地を物理的に分けたい場合は分筆を行って切り離さなければならないのです。

土地を分筆する際には建築基準法によって定められている接道義務と土地の切り方、そして測量による境界線の問題などに注意しなければなりませんので、プロの測量士の力が必要となります。

分筆をやり方によって土地の価値は変化する

土地の分筆を行う際には接道義務と土地の切り方、測量などに注意しなければなりません。

接道義務

まず、接道義務とは敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に間口が2m以上接していることを言います。

この接道義務は火災が起きた時に消化活動をスムーズに行えるように設定された規定であり、この規定が適用されていない一般住宅はほぼありません。

敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に間口が2m以上接していない場合だと建物を建築することができないので、土地の切り方に大きく関わってきます。

土地は切り方で価値が変動する

次に土地の切り方に関する注意点ですが、土地を真っ二つにして売却すればいいというものではないということを覚えておきましょう。

単純に考えると、接道義務を満たすように土地を切り取ることで接道義務を満たしていない土地よりはるかに高く売却できます。

接道義務を満たしていない土地は建物が建築できないことから途端に価値がなくなってしまい、そのまま売却しても二束三文にしかなりません。

この状態を無道路地と言います。

無道路地は二束三文

また、土地の一面にしか接道していない場合、土地形状の都合で一方の土地を旗状地のような「条件の悪い形状」に切り分けなければならないケースもあるでしょう。
その場合は分筆する土地を面積でなく価格で等分する方法を考えるなど、どうしてもプロによる分筆作業が必要となってきます。

分筆とは

このように土地の価値を維持したまま分筆したい場合は、最低限の接道義務を満たすように土地を「面積」ではなく「価値」で公平に切り分ける必要性がでてくるのです。

境界線をハッキリさせる為には、まず「分筆測量」を行わなければならない

分筆を行う為には他の共有者との境界線をハッキリさせなければならないので、まず手始めに分筆測量を行うことになります。

土地の境界が確定していなければ分筆できませんが、同時に境界線の問題も発生しやすいので、分筆測量はプロの手(土地家屋調査士)を借りて十分に注意しつつ行います。

分筆測量

また、土地の境界を確定させる為には、私有地との境にある民々と公道との境にある官民、双方の地権者の合意が必要です。

境界線を確定させるのは双方の地権者の合意を得なければならないので難しく、双方の地権者から実印による押印がある筆界確認書、または境界確認書の存在が境界線を確定させている証拠となります。

境界線の問題が発生するケースも多く、一部の境界線だけ筆界確認書が存在しなかったり、何故か境界標が飛んでいるケースなどが挙げられます。

一部の筆界確認書だけ存在しても認められないので、全ての境界線の筆界確認書を用意しなければなりません。

さらに、境界標が飛んでしまっている状態のままでは筆界確認書があっても境界線が曖昧になっているので、再び境界を復旧させて筆界確認書を作り直す必要性があります。

基本的のこういった書面の用意は土地家屋調査士がフォーマットを用意してくれますので、彼らの指導の下に隣人、境界土地所有者、共有者と話合いをすることで作業を進めていくことになります。

以前、筆者実家の土地を分筆した際に作成した測量図面

以前、筆者実家の土地を分筆した際に作成した地積測量図

分筆測量後は「分筆登記」を実施する

測量を終えたら実際に土地登記簿に分筆した内容を登記する作業に入ります。
このことを分筆登記と呼びますが、今度も土地家屋調査士(司法書士ではないので注意)の力を借りて法務局、出張所などで登記作業に入ります。
分筆登記は土地家屋調査士に依頼せずに自分で行うこともできますが、初めて土地登記をする方は時間と手間を節約するためにも、分筆測量を手掛けた土地家屋調査士に併せて相談をした方が良いでしょう。

尚、分筆登記を行う際は

  • 申請書
  • 筆界確認書、または境界確認書や境界の同意書、境界の協定書
  • 地積測量図
  • 代理権限証書
  • 現地への案内図

以上の書類が必要です。

また、分筆登記を行う際には登録免許税が必要であり、1筆につき1000円が課税されます。

土地を切り取るにあたって境界線上に建物があったらどうなる?

土地の分筆登記を行いたいのに、間に建物がある場合だと分筆することができなくなるのではないかと思われますが、全くそんなことはありません。

境界線上に建物があったとしても分筆登記を行うことは可であり、適切な手続きによって分筆することが可能です。

しかし、分筆した後に土地の所有者と建物の所有者が違う場合に建屋の問題が発生します。地上権や賃借権、そして法的に土地上にある建物が保護されるかどうかで建物の扱いが変わります。

もしもそれらの権利が保護されない場合、建物の所有者は建物を取り壊してでも土地を明け渡す必要性があるでしょう。
いずれにしても、境界線上の建物を放置したままの土地分筆は、非常に複雑な形のトラブルが起こりかねる要素となります。

例え建物が空き家だったとして勝手に取り壊すことはできませんし、建物と土地の所有者の話し合いがなかなか終わらない場合は建物収去土地明渡請求訴訟を行う必要性が出てくるので注意してください。

共有名義の空き家不動産売却後は、確定申告の方法に注意する

空き家を売却した際には確定申告を申請しなければなりません。
共有名義の不動産を丸ごと売却した場合、共有権者はそれぞれ確定申告をすることになります。誰か1名が代表で行う訳ではないので注意してください。

確定申告を行うのは空き家を売却した際に利益が出た場合と譲渡損失を損益通算という特例が利用できる場合の2つのケースです。

確定申告を行う為には、以下の方法が挙げられます。

  • 税務署に行って申請する
  • インターネットで申請する
  • 確定申告を郵送する

また、確定申告には以下の書類などが必要になります。

  • 年間の所得が証明できるもの
  • 不動産を取得していた時と売却時の売買契約書
  • 領収書など経費の分かるもの
  • 土地や建物などの全事項証明書
  • 印鑑

初めて確定申告を行うので何をすればいいのか分からないという人は、直接税務署に行くのがお勧めです、懇切丁寧に税務署の担当者や臨時の窓口相談をしている税理士の方が手続きについて教えてくれます。

初めてでも分かりやすく教えてくれるので、ミスのないように確定申告ができます。
空き家を売却するにあたり、忘れてはならないのが売却する際に発生する税金の問題、それ以前に土地付きの空き家を放置していると高額な固定資産税がかかることも覚えておきましょう。

これは空き家対策特別措置法と呼ばれるもので、現在所有している空き家が市町村に特定空き家等と判断されてしまうと、最大で6分の1まで軽減されていた固定資産税の軽減が認められなくなり、最大で6倍の固定資産税を支払う可能性があります。

したがって多くの固定資産税を支払うことにならない為にも、ほったらかしにせずに早めに売却する必要性があるのです。

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確定申告を行う際には贈与税が発生しないようにしよう

空き家を売却した時、譲渡所得税と住民税を売却する際に支払うことになります。

特に譲渡所得税は不動産を所有していた期間によって金額が変わるので、空き家となった今でも金額が大きくなっているのです。

この譲渡所得税は空き家を売却した年の1月1日の時点で不動産の所有期間が5年を超えていた場合、長期譲渡所得となります。

長期譲渡所得なら譲渡所得税と住民税を合わせて譲渡所得のおよそ20%もの税金がかかるということになりますが、不動産を所有していた期間が5年以下の場合だと短期譲渡所得となり、譲渡所得の約40%もの税金を支払うことになってしまいます。

このことから税金対策は必須とも言えるでしょう。
また、忘れてはならないのが自分の持分に応じた売却金額が記録として残っているかどうかです。

売却益が出た場合には持分に応じて売却益を共有者全員に分けることになりますが、この時に受け取った金額が記録として確認できる状態でないと贈与としてみなされてしまい、贈与税を支払うことになります。

なので現金での授受は避け、銀行口座を通じた金銭のやり取りを心掛けて通帳に公正な資金移動の記録を残しておきましょう。

尚、居住用の不動産は所得してから5年以内に売却をすると39.63%の税金を取られます(短期譲渡所得税)が、5年を超えてからの売却ですと20.315%に税金を抑えられます(長期譲渡所得税)。更に10年を超えると軽減税率の特例が受けられることになり14.21%まで税率が下がってます。

尚、ここでいう「所有期間」とは不動産を譲渡した年の1月1日現在で何年が経過しているかを計算しますので注意してください。

所有期間 判定
5年超える土地、建物等 長期譲渡所得
5年以下の土地、建物等 短期譲渡所得
所有期間
判定区分 短期 長期
期間 5年以下 5年超所有 10年超所有軽減税率の特例
居住用 39.63%(所得税30.63% 住民税 9%) 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%) 課税譲渡所得6,000万円以下の部分

14.21%(所得税10.21%・住民税4%)

課税譲渡所得6,000万円超の部分

20.315%(所得税15.315%・住民税5%)

非居住用 39.63%(所得税30.63% 住民税 9%) 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)

※空き家は通常「居住用」としてみます
※平成29年8月30日現在、上記は復興所得税込

まとめ

空き家でも所有者や兄弟間が共有名義になっている場合は、そのまま売却できるわけではありません。共有名義になっている不動産を売却するには他の共有者を説得しなければならず、共有者が多いほど解決するまでの期間が長くなるでしょう。

分筆したい場合でも様々な準備が必要になりますし、確定申告に至っては様々な税金を軽減させる為に多くの税金対策が必要になり得ます。

きちんと何が必要なのかを調べ、他の共有者が納得できる方法がないか、いくら税金がかかってどんな書類が必要になるのかなどを調べておきましょう。

実際、筆者の実母が経験したような兄弟間や親族間での壮絶な遺産相続トラブルにつながりやすいのが、不動産の共有名義問題です。
私も母が長い間揉めていた自分をはっきり覚えていますが、親族間の財産を巡ったトラブルは本当に心が蝕まれるような嫌な気持ちになるものです

結局は実母と叔母の間の相続トラブルが原因で、私が子供時代には毎夏お互いの家を行き来して一緒に遊んていた従妹たちとも、一切の交流がなくなってしまいました。
その原因は、相続不動産の共有名義に端を発したトラブルに他なりません(本当は1つの土地だけでなく、様々な相続物件や遺産で同時多発的に揉め事に発展したのですが…あくまで私事になりますので、ここでは詳細割愛します)。

是非皆様には、そのようなトラブルがなく円滑に空き家や不動産の共有名義問題を解決できるように祈っております。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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