空き家再生のための洗面・水回りのリフォーム、修繕ポイント




はじめに

洗面室は、脱衣室や洗濯室を兼ねて浴室の隣に設けられることが多く、湿気がこもりやすいため、採光や通風にも十分に配慮する必要があります。

洗面室のリフォームで気を付けるのは、床・壁・天井の下地が傷んでいないかどうかを事前に良く確認することです。

床がブヨブヨしていたり、壁紙がカビで真っ黒な場合は、最低でも床の合板や壁の石膏ボードの貼り換えが必要になります。

木造の場合には、シロアリ被害にあっている場合もあるので、これを機会にシロアリ駆除などの対策工事を行っておくと良いと思います。

空き家のシロアリ対策 - 予防法から発見したときの対策、被害箇所の修繕方法まで。
長い間空き家だった築30年ほどの家に久しぶりに入ってみたら、洗面所の床がブヨブヨしていて、柱のまわりに木のくずのようなものが見られま...

また北面に面していることが多いので、建物の断熱性が低いと、冬場はまるで屋外の様な寒さになることもあります

脱衣室を兼ねている場合には、特に高齢者にとって厳しい環境になりがちです。快適な洗面室を目指すなら、寒さ対策も必須です。

一方、洗面化粧台は使用頻度の高い設備なので、家族構成に応じたスペースと設備・機器の選定が大切です。

洗面化粧台にはタオル類や歯ブラシ、歯磨き粉、ドライヤー、整髪料などの収納が必要な他、洗剤や柔軟剤、浴室で使用するもののストックなどの収納場所も必要になるケースも多く、洗面室のリフォームの際には収納計画も重要になります。

今回は洗面・水回りリフォーム・修理のポイントをご紹介したいと思います。

洗面・水回りリフォーム計画の留意点

1.洗面化粧台の設置条件

ミラーキャビネットとセットになった洗面化粧台ユニットの高さは、1,950mmが多いので、設置場所の高さの確認が必要です。特にマンションでは梁下の高さが不足する場合があるので、商品の選定に注意する必要があります。

洗面化粧台の奥行は600mmが一般的なので、ドア開口に干渉しない様に確認が必要です。
干渉する場合には、奥行きが浅い商品を選定します。

また、スライド収納の洗面化粧台を壁際に設置する場合、収納を引き出すと建具枠にぶつかって引き出せなくなることがあるので、注意が必要です。

その他では洗面台の高さにも注意したいものです。

高すぎると洗顔時に水が腕を伝わってヒジから落ちて床を濡らし、低すぎると腰痛の原因になることもあります。

使いやすい高さは「身長÷2」cm程度が目安になりますが、家族の身長がバラバラな場合には、中間的な高さにするなど工夫が必要です。

尚、洗面ボウルの高さを変えられる商品もあります。

2.換気ルートの確保

洗面室では浴室からの湯気などにより湿度が高くなるため、換気設備が不可欠です。
窓がある場合でも、換気扇を設置しておくことをお奨めします。

効率よく換気を行うためには、空気の流れを考慮した給気と排気が必要で、特に給気は忘れがちなので注意しましょう。

洗面室のドアをアンダーカット(下に隙間を開ける)するか、ドアにガラリを付ける、壁に吸気口を設けるなどの配慮が必要です。

3.寒さ対策

快適な洗面室にするためには、換気と併せて冬場の寒さ対策は欠かせません。冬でも暖かい洗面室なら、脱衣の時はもちろん、朝の洗顔時も快適です。

また寒い洗面室は、高齢者がいる家庭ではヒートショックによる事故にもつながります。

ヒートショックとは、寒い脱衣場から熱いお風呂に入るというような急な温度差によって、血圧や脈拍が大きな変化を起こすことをいいます。
身体に大きな負担を与え、高齢者の家庭内における死亡事故の原因のひとつになっています。

断熱材を充填する、窓を複層ガラスにする、内窓を設置するなどの他、床暖房の設置も有効です。

断熱工事や床暖房工事などの大がかりな工事が難しい場合には、簡単な工事で、輻射熱により洗面室全体を温める壁パネル(クリナップ HOTウォール)なども商品化されているので、検討してみると良いでしょう。

コンセントがあれば簡単な電気工事で設置でき、タイマー機能がついているので、入浴時や朝の洗面タイムなどちょうどいい時間に部屋をあたためておくことが可能です。

4.内装仕上げ材

洗面室は湿気が多く、洗面化粧台周辺では水はねも多いので、水に強く防湿性の高い仕上げ材を選定します。

床材にはクッションフロアなどの耐水性、清掃性の高いシート系の床材、壁・天井材には防カビ性のあるものを使用します。フローリングの床にしたい場合には、耐水加工したものを選びましょう。

また、調湿効果のある壁材(LIXIL エコカラット等)を部分的に使用するのも良いと思います。現在の壁紙の上から施工可能な100%自然素材の塗り壁もあります。

自然素材も調湿作用があるので、カビを防いで快適な洗面所にしてくれます。

ただし、塗り壁にした場合には風通しが悪いと逆にカビが生えやすくなってしまうこともあるので、注意が必要です。

内装材は、狭い空間なので少しでも広く感じる様、色の濃いもの、柄の大きなものは避け、明るく清潔感のあるものを選びましょう。

5.照明計画

洗面室では、手洗いや洗顔だけでなく髭剃りやメイクもするので、照明は重要です。
暗かったり、顔に影ができると支障があるので、照明器具の設置場所や明るさ、色は軽視できません。

理想は自然光がたくさん入るようなプランにすることですが、壁面は鏡や収納でふさがってしまい、大きな窓を設置するのは難しいケースが多いと思います。

その様な場合は、ミラーキャビネットの上部にランマ窓を設置したり、天窓を取り付ける方法もあります。

窓を設置するのが難しい場合には、LED照明で明るさを確保した上で、天井照明とミラー上部の照明を組み合わせることをお奨めします。

顔を明るく照らすようにすることがポイントです。

また色はお好みですが、洗面台で化粧もするなら、昼光色(白色)の方が適しています。
電球色は洗濯するにも不向きです。

6.バリアフリー

洗面室全体をリフォームするなら、将来に備えてバリアフリー化しておくと安心です。洗面室入口の段差解消や引き戸への変更が有効です。

また、洗面室から浴室への動線上に、手摺を設置するための壁下地をいれておくのも高齢化に備えた対策として良いでしょう。

他には滑りにくくて柔らかい床材使用による転倒防止対策があります。

7.収納

洗面室は家の中でも、数多くの収納スペースが必要になる場所です。

タオルや歯ブラシ、コップ、歯磨き粉、髭剃り、ドライヤー、化粧道具などだけでなく、洗濯室や脱衣所を兼ねていれば洗剤や柔軟剤、石鹸、シャンプーなどのストックや風呂の掃除用具、バケツなどの保管場所も必要になります。

市販のシステム洗面台には収納力を重視したものが増えていますが、それだけではとても十分とはいえません。

家族それぞれの使い勝手に応じて、必要なものをスッキリ収納できるスペースを確保できるかどうかで、リフォームの満足度が大きく変わります。

壁の厚みを活用した壁埋め込み収納や、壁面に取り付けた奥行5cm程度の棚があると収納した小物が一目で見渡せ意外と便利です。

工夫次第で使い勝手に合わせたオリジナルの収納にすることも可能です。

どれ位収納スペースが必要なのか、あらかじめ収納計画をきちんと立ててリフォームに着手する様にしてください。

8.コンセントの数

洗面室ではコンセントが不足しがちです。リフォームする際には、コンセントの数と位置を見直しましょう。

髭剃り用、ドライヤー用、充電用などの他にも、暖房器具用や予備コンセントを設置しておくと便利です。

洗面室を家事室としても利用する場合には、さらにアイロン用や照明スタンド用なども必要になります。

造作洗面台のメリットとデメリット

洗面室のリフォームを行う際に、既製の洗面化粧台ユニットではなく、インテリア雑誌などに登場するオリジナルの造作洗面台を希望される方が少なくありません。

木製やタイル貼りのカウンターにしたり、輸入品のお洒落な洗面ボウルや水栓、鏡、照明器具などを組み合わせたりして、デザイン性の高いオリジナルの洗面台をつくることが可能です。

まるで海外の住宅の様なインテリアを演出できるので、一部の方から根強い人気があります。

しかしデメリットを考えずに、デザイン重視で選んでしまうと、使い勝手が悪かったりお手入れが大変で、後々後悔することにもなりかねません。

そこで、造作洗面台のメリットとデメリットをご紹介します。

メリットは、洗面台を構成する部材のひとつひとつにこだわった世界でたったひとつの洗面台になることです。インテリア志向の高い方にとっては、最高の空間を演出することが可能になります。

一方では、実用性やメンテナンスを無視するわけにはいきません。
特に洗面ボウルは、使い方に応じて大きさや深さに気を付ける必要があります。

洗髪は勿論のこと、手洗いで洗濯することがある場合には、水はねのしない深さや形を選ぶ様にしましょう。

木製カウンターにする場合には、水分で傷みやすいのでこまめなお手入れが必要です。タイルは水回りには適していますが、目地が汚れやすくカビが生えやすいので気を付ける必要があります。

また、洗面器で使用する歯ブラシやコップ、ドライヤーなどの収納場所も確保しておかないと、カウンターの上が次第に小物で溢れ、雑然とした印象になってしまうので注意しましょう。

造作洗面台では収納スペースが不足しがちなのがデメリットです。

他には、輸入品の水栓金具を使用する場合、故障した時に部品が入手できないこともあるので要注意です。

既製品の洗面ユニットのメリットとデメリット

機能性や実用性優先で洗面化粧台を選ぶ場合には、やはり住設メーカー既製品の洗面化粧台ユニットが便利です。

メーカーのシステム洗面化粧台には、収納も組み合わせることが可能なので、豊富な収納量は大きな魅力になります。洗面化粧台と色・柄をそろえた統一感のある大容量の収納スペースが確保できます。

また、近年の洗面化粧台は汚れにくく、手入れが簡単になる工夫が多いのもメリットです。

一体型の洗面ボウルや、掃除がラクな排水口、ビルトインタイプの水栓など、メンテナンスがラクに行える商品が増えています。

一方、寸法が規格サイズなので、左右や上部に隙間ができたり、色や素材、デザインが自由にならないのがデメリットですが、近年ではセミオーダータイプのカウンター式洗面台なども商品化されているので、ショールームなどで一度実物を見てみるのも良いと思います。

洗面カウンターのみメーカーの既製品を使い、鏡や照明器具などを別注にするなど既製品と組み合わせてオーダー気分を味わうこともできます。

また、近年ではデザインにもこだわった高級仕様のシステム洗面化粧台なども販売されているので、いろいろと見比べてじっくりと商品を選定して欲しいと思います。

洗面化粧台の選び方

既製品でも種類が豊富な洗面台。
中でも収納スペースのある洗面化粧台がもっともスタンダードです。

リフォームする際に知っておきたい洗面化粧台選びのポイントをご紹介します。

1.洗面台の寸法を決める

交換の場合は、現在使用している洗面台の間口(幅)、奥行き、高さを測ります。
設置スペースに余裕がある場合には、設置可能な幅や奥行、高さを計測し、寸法を決めます。

2.ベースキャビネットの仕様を決める

ベースキャビネットには主に次の3タイプがあります

スライドタイプ

デッドスペースができにくく、収納力が格段に上がります。

引き出しタイプ

引き出しと開き戸収納を使い分けて収納するタイプです。

開き戸タイプ

大きなものを収納することができます。

3.扉カラーを決める

洗面台の扉カラーで洗面室全体のイメージが大きく変わります。

商品によって様々なカラーバリエーションがあるので、できればメーカーのショールームで現物を確認する様にしましょう。

4.ミラーキャビネットの仕様を決める

3面鏡

鏡の裏側が収納棚になっていて、歯ブラシや化粧品などの小物が収納できます。

1面鏡

大きな鏡が1面のみに取り付けられているタイプ。
鏡のサイドに小物棚が付いているものが多いです。

5.水栓を選ぶ

メーカーによって多様な機能、形状の水栓があるので、使い勝手の良い好みの水栓を選びます。

また水栓の取り付け位置によって洗面ボウルの使い勝手やお手入れのしやすさが変わるので、良く比較検討する必要があります。

6.周辺機器を選ぶ

収納を充実させたい場合は、オプションでサイドキャビネットやアッパーキャビネットを選びます。

家事室としての洗面室

洗面室に洗濯機置き場がある場合には、洗面室を家事室にすることもできます。

洗濯機のそばに作業カウンターや大き目のボウルがついた洗面台があると、洗濯物の仕分けや下洗いができます。

洗面室の天井に物干しユニットを設置すると、洗濯機から出した洗濯物をそのまま干せるので便利です。

さらに洗面室リフォームの際に、面積を広げてカウンターを設置しておけば、アイロンがけや洗濯物をたたむことが可能になります。

洗面室を単に脱衣所や洗顔・手洗いのためのスペースとするだけでなく、家事室として利用できるようにリフォームすれば、より有効に活用できます。

洗面室の点検と不具合

洗面台は使用頻度が高いので普段から定期的に点検を行い、不具合があれば早めに対処したいものです。

最近の洗面化粧台に設置されている洗髪用のシャワー水栓は、シャワーを使用する時は伸ばし、使用しない時は中へ差し込んでおくものですが、時々水漏れが問題になります。

シャワーに水滴がつくと、中へ差し込む際に水が入るので、洗面化粧台の中が水浸しになってしまうことがあります。

洗面化粧台の中には水滴の受け皿が付属しているものもありますが、ないものもあります。受け皿があっても溢れない様に定期的に点検する必要があります。

一般的に洗面化粧台の寿命は20年程度です。

20年以上経過して、水栓からの水漏れや排水栓の作動不良等の不具合が生じたら、そろそろ交換を検討する必要があります。

また、洗面器のまわりは水が飛び散ることが多いので、水が入らない様に周囲の隙間にはシーリング打ちされています。

シーリングが切れると水が入ってしまい、壁や床の傷みの原因になります。
時々シーリングが切れていないか点検しましょう。

一方、洗濯機置き場も洗面室に設置されることが多く、洗面室の床下には多くの排水管が交錯しています。

洗濯排水は毛や糸くずなどが流れてしまうので、排水管の中でも最も詰まりやすい排水です。

排水の流れが悪くなった様に感じたり、排水の臭いが強くなった時には何らかの異常が生じているので、専門業者に点検を依頼しましょう。

その他洗面所は、床の傷みや腐食、シロアリ被害などが発生しやすい場所です。床がブヨブヨしていたり、羽蟻を見かけたら早めに専門家に相談しましょう。

洗面室の手抜きリフォームに注意

中古住宅のホームインスペクション(建物診断・調査)を行っていると、洗面室のリフォームが行われていることが少なくありません。

築20年以上経っている住宅では、すでに洗面化粧台が交換されていることがほとんどです。しかしリフォーム済の建物を詳しく調査すると、工事の不具合を時々見かけます。

1.床断熱材の不始末

一昔前の住宅では床下に断熱材が入っていないことが普通でしたが、2000年以降に新築された住宅のほとんどは、床の断熱施工が行われています。

断熱材は隙間なく敷き詰められていないと十分な断熱効果を発揮することができませんが、洗面化粧台交換を行う際に、既存の床下の断熱材を部分的に撤去してしまっていることがあります。

これは新設する洗面化粧台に合わせて給排水管を所定の位置に移設する時に、断熱材を取り外してしまったためですが、ずさんな工事といえるものです。

設備工事業者によるリフォームで、この様な工事が多い様に思います。床下を覗いて確認しないとわからない部分なので、注意が必要です。

2.床下の湿気対策の不備

床断熱材の不始末と同様に多いのが、給水・給湯・排水管立ち上がり部分の床を大きく開口してしまっているケースです。

通常では給排水管それぞれの径に合わせて丸く穴をあけるべきですが、四角い大きめの穴を開けて、その中に配管を立ち上げています。

この方法だと床下の湿気が上がってきてしまうので、次第に床板が傷んでしまい、最悪のケースでは床が抜けるなどという事態にもなりかねません。

また、床下にいる害虫なども部屋の中に侵入してしまいます。
手間を惜しむとこうした施工になりがちなので、要チェックポイントです。

上記はほんの一例ですが、不適切なリフォームによって欠陥住宅になってしまうことがあるので、注意が必要です。

まとめ

家族みんなで毎日使用する洗面台はトイレと同様、常にきれいにしておきたい場所です。

また洗面室は、洗面・手洗い以外にもメイクや髭剃りなど身だしなみを整えたり、脱衣、洗濯など多目的に利用されるので、清潔さはもちろんのこと、快適さや使い勝手、収納量など同時に多くの事が要求されます。

一方洗面室は、北側の風通しが悪くて湿気が多い場所にあることが多く、環境的には決して良くないのが一般的です。

当然傷みが激しく、カビや木材の腐食、シロアリの食害なども気になります。

洗面室をリフォームする際には、事前の調査・診断で建物の傷み具合をきちんと把握しておくことが必要です。

単に洗面化粧台を交換するだけのつもりだったのに、既存の洗面台を撤去したら床も壁もシロアリ被害にあっていて、予想外の高額の費用がかかってしまったなどということは決して珍しくありません。

リフォーム実施にあたっては、是非留意しておいて欲しいと思います。

また、今回ご紹介した洗面・水回りリフォーム・修理のポイントを参考にして、リフォームに役立てていただければ幸いです。

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益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
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