空き家活用のための外壁リフォーム、外壁修繕のポイント




はじめに

外壁は建物の外観の印象を左右すると共に、生活空間を風雨から守るという重要な役割があります。また、外部からの遮熱や遮音、防火、プライバシー保護など、屋根よりも多くの性能が求められています。

一方、雨や紫外線の影響を受けて劣化しやすい場所でもあるので、定期的なメンテナンスが必要になると共に、外壁には耐久性が欠かせません。

今回は外壁のリフォームや修理のポイントについてご紹介したいと思います。

外壁に求められる性能

外壁に求められる性能は数多くありますが、代表的なものは以下の通りです。

1.美観

外壁は屋根と比べても人目につきやすい部分です。外壁の素材や色・柄で建物の印象がガラリと変わります。

また、老朽化して汚れた外壁では、建物全体がみすぼらしく見えます。
美観の上でも、汚れにくく、色あせしにくい素材を選ぶ事が重要です。

2.防水性

外壁からの雨漏りは、実は屋根からの雨漏り以上に多いものです。

そして外壁から雨漏りしていても気が付きにくく、気付いた時には構造躯体まで腐食していたというケースも珍しくありません。

屋根と同じように風雨にさらされている外壁には、高い防水性と耐久性が求められます。

3.防火性

外壁には、生活空間を災害から守る役割もあります。万一近所で火災が発生しても、火が燃え移らない防火性能を持っていることが必要です。

住宅密集地などの準防火地域の木造建築物の外壁には、建築基準法で一定の防火性能が求められています。

4.断熱性

外壁は建物の中で面積が最も大きい部分なので、遮熱・断熱性能に大きく左右します。
外壁の断熱性能の良し悪しで、建物の冷暖房効率や快適性がほぼ決まってしまいます。

より快適な住環境を整える上でも、外壁の果たす役割は重要です。

5.遮音性

外部の騒音を遮断するためには、外壁の遮音性能が欠かせません。
外壁の工法や素材を決める上でも、騒音対策は必須です。

6.防風性

外壁に隙間があると雨水ばかりでなく、隙間風が侵入します。
快適に生活する上では、外壁の防風対策も欠かせません。

7.耐震性

外壁リフォームの素材や工法によって、建物の耐震性にも影響があります。
リフォームすることで必ずしも耐震性が向上するとは限りません。

建物の重量が極端に増えることがない様、素材や工法は慎重に検討する必要があります。

8.プライバシー

建物の中で他人の目を気にせずに暮らせるのは、外壁があるからです。
外壁にはプライバシー保護という大切な役割があります。

このように、建物にあって当たり前の外壁なので、普段はあまり意識することがないと思いますが、外壁は私たちが快適で安全に生活する上で欠かせないものです。

外壁をリフォームするにあたって、つい見た目のデザインなどで何気なく素材や工法を選んでしまっていないでしょうか。

外観が良くなっただけで建物内部の快適性や安全性が変わらないのであれば、そのリフォームは残念な結果にもなりかねません。

外壁リフォームの際には、外壁の性能やリフォームしたことによって建物に与える影響にも目を向ける様にしたいものです。

外壁の種類と特徴

外壁の素材には様々な種類がありますが、素材を選ぶ基準は人によってそれぞれです。

デザイン重視、コスト重視、機能性重視、耐久性重視、メンテナンス性重視などどれも大切なことですが、全てを満足するものはありません。

ここでは代表的な外壁の種類とその特徴をご紹介します。

1.モルタル

モルタルとは砂とセメントと水を混ぜ合わせた材料で、木造のモルタル外壁は下地板の上に張ったラス網に、モルタルを数回に分けて塗り付けたものです。

湿式工法(水を使用する工法)なので乾燥期間が必要になるほか、乾燥にともなうクラックが発生しやすい工法です。

下地板を木の柱に直接取り付けている場合と、柱と外壁の間に通気層となる隙間を設けたものに分かれますが、近年では通気層を設けた工法が多くなっています。

モルタル外壁は、以前の我が国の木造住宅では主流でした。

外壁材として十分な防火性能があり、曲面などどんな形状の外壁でも施工できるので、デザインの自由度があり意匠性に優れています。

また、継ぎ目がなく、仕上げ塗装の工法によって多彩な表情を演出できるのが他の素材にないメリットです。

モルタルの最大の欠点は、ひび割れが発生しやすいことで、ひび割れは家の耐久性に大きな影響を及ぼします。

モルタルそのものの耐用年数は、適切な施工のもとでは30年以上といわれていますが、外壁塗装の塗膜によって保護されているので、定期的な塗り替えが欠かせません。

また、他の工業製品の外壁材と異なり、職人の手による現場施工なので、左官工や塗装工の腕の差や、現場での品質管理の良否によって、仕上げや耐久性に大きな差が出るのが特徴です。

2.窯業系サイディング

窯業系サイディングとは、セメント質と繊維質などの原料を板状に形成した工業製品です。

コスト、機能性、デザイン性など他の外壁材と比較しても総合的に優れていて、色柄も豊富、施工も比較的簡単なため、現在の新築木造住宅のほとんどに採用されています。

また工場塗装品では、超高耐久塗料の採用や雨水で汚れを落とす親水性加工技術の進歩などで、再塗装工事の期間を大幅に伸ばすことが可能になっています。

しかし、サイディングには継ぎ目があるので、継ぎ目に使用するシーリング材の経年劣化が欠点です。

最近ではシーリング不要のシーリングレス工法や長寿命のシーリング材なども開発されていますが、コスト面や信頼性の上で懸念があります。

また重量があるので、リフォームで使用する場合には上貼りには不向きで、既存の外壁材の撤去が必要になります。

3.金属系サイディング

金属サイディングはアルミや鉄などの金属を成形・加工して柄付けし、断熱材で裏打ちした外壁材です。

表面材には、溶融亜鉛メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、アルミニウム合金、ステンレス鋼板などが使用されています。表面材により、大きな価格の幅があります。

どれも窯業系サイディングよりも高価ですが、水の浸み込みやひび割れ、凍害の心配がないため、メンテナンス周期は長めになります。

また外壁材としては軽量なので、リフォームではモルタル外壁の重ね貼りに使用されるケースが多くなっています。

窯業系サイディングと比べて質感が物足りない点や、沿岸部では塩害を受けやすいこと、金属片からの「もらい錆び」を受けやすいことなどがデメリットです。

4.木質系サイディング

天然の木を加工して作られたサイディングで、木目の質感や味わいがあります。
しかし、材質が木なので火や水に弱く、腐食しやすいので、こまめなメンテナンスが必要です。

5.樹脂系サイディング

塩化ビニル樹脂が使用されたサイディングです。
寒さや酸性雨に強く、ひび割れが起きにくいのがメリットです。

アメリカやカナダでは高いシェアがありますが、日本ではあまり採用されていません。

6.ガルバリウム鋼板

鉄をベースにした合金の板に金属メッキ加工を施したもので、亜鉛だけでメッキしたトタンとは異なり、アルミニウム、ケイ素(シリコン)などが使用されています。

特殊なメッキによる効果で、錆びにくくて耐久性が高く、軽量なため建物の構造体に負担をかけずに地震に強いのがメリットです。

しかし、酸性雨の影響やもらい錆び、潮風の影響を受けるので、時々水洗いするのが効果的です。

また、ガルバリウム鋼板には断熱性能がないので、建築本体の断熱材で断熱性能を確保する必要があります。

7.タイル

タイルは粘土を板状にして焼き固めたものです。

屋外の紫外線や風雨の影響をあまり受けず、他の工業製品や現場塗装のように色あせることもなく、タイル自体の寿命は半永久的です。

タイルを外壁に張る工法には、モルタルの上に貼り付ける湿式工法と専用金物に引っ掛けるように施工する乾式工法があります。

メンテナンス性や耐久年数の面では乾式工法の方が優れています。
また乾式工法にすることで、通気層を確保することもできます。

しかし建物の重量が重くなることと、値段が高いのがデメリットになるので、外壁全面がタイル張りになっているケースはそんなに多くありません。

また目地のシーリング部分は劣化するので、注意が必要です。

8.木材(無垢材)

近年では外壁の防火性能の規制などもあって、ほとんど見られなくなりましたが、一昔前の家の外壁はほとんどが木材でつくられていました。

防火指定のある地域では、使用したくても使用できないのが現状です。

断熱性に優れ、自然とも良く調和して、木のぬくもりを感じて暮らせるのが木材の最大のメリットです。年月を経た木材には、工業製品にはない独特の味わいや風格があります。

一方、木材は湿気を嫌うので、長期間湿った状態が続くと腐食や変色につながります。
長く良い状態を保つためには、こまめなメンテナンスが必要です。

リフォームが必要?不要?外壁不具合チェックポイント

ここまで外壁に求められる性能や外壁の種類についてご紹介してきました。
さて、ここからが本題になります。

外壁にはどの様な不具合が生じるのでしょうか。
そしてどの様に修理を行えば良いのでしょうか。

ここでは外壁の不具合別に、修理のポイントについてご説明したいと思います。

私たちホームインスペクターが建物調査(ホームインスペクション)を行う際、外壁のチェックポイントがあります。

  • 下地材まで到達するひび割れ、欠損、浮き、はらみまたは剥落の有無
  • 複数の仕上げ材にまたがるひび割れまたは欠損の有無
  • 金属の著しい錆びまたは化学的浸食の有無
  • 仕上げ材の著しい浮きの有無
  • 外壁のシーリング材や防水層の破断、欠損の有無
  • 屋外に面する建具や建具廻りの隙間や破損、開閉不良の有無
  • 建具廻りのシーリング材の破断の有無

少し難しい表現になっていますが、何となくおわかりでしょうか。この中にひとつでも該当する項目があれば、「劣化事象あり」と判定します。

他にも、こけや変退色、水染み跡、白華(エフロレッセンス)なども劣化事象の対象です。全て必ずしもすぐに対処が必要とは限りませんが、必要なアドバイスを添えてご報告するようにしています。

それでは主な不具合についてひとつずつ見ていきましょう。

1.外壁のひび割れ

モルタル壁の不具合に多いのがひび割れです。
また稀に、窯業サイディング壁にもひび割れが発生する場合があります。

モルタルの乾燥収縮以外に、地震による振動や建物の不同沈下で発生します。

すぐに室内に雨漏りする可能性は低いですが、長い間放置していると雨水がモルタル壁の裏側に侵入し、ラス網が錆びて壁が浮き、最悪の場合には壁一面が剥がれ落ちてしまう事もあります。

ひび割れ幅が小さい場合はシーリング材を擦りこんで塞ぎ、幅が1mmを超える場合には工具でU型の溝を切ってシーリングを充填します。シーリングの上から再塗装して完了です。

ただしこの方法は、あくまでも応急処置なので、仕上がりには難があります。

2.コケや藻の付着

家の北面の壁や風通しの悪い壁面には、コケや藻が付着していることがあります。家の見栄えが非常に悪くなってしまうので、気になる方も多いと思います。

コケや藻は高圧洗浄で洗い落とすことが可能です。特別の工事は必要ありません。

しかし、塗膜が劣化して防水性が低くなると、コケや藻が発生しやすくなるので、同時に塗膜の変退色やチョーキングが起きている様なら、塗り替えを検討しましょう。

3.外壁の浮きやはらみ

外壁のモルタルやタイルに部分的な浮きが見られたり、サイディングがはらんでいることがあります。そのまま放置しておくと、落下事故につながる可能性があるので、非常に危険な状態です。

いずれの場合も、ひび割れ部分やシーリングの隙間などからの雨水の侵入が原因です。

寒冷地では、目地やタイルのひび割れからタイルと下地の間に雨水が侵入し、凍結・膨張してタイルが剥離する現象が生じることもあります。

浮いている部分やはらみがある部分を詳しく調査し、撤去してやり替えを行います。

不具合が広い範囲に渡っている場合には、外壁全体を作り直す必要があります。その際には、別の外壁材に変更するという選択肢もあります。いずれにしても、被害が拡大しないうちに早めに手を打つことが大切です。

4.シーリングの劣化

サイディング目地やタイル目地などの目地や、サッシ廻りのシーリングが劣化すると、亀裂や隙間、破断、剥がれなどが生じて防水機能が果たせなくなります。

雨漏りや仕上げ材の浮きなどを引き起こす原因になるので、早急に修理する必要があります。

シーリングの補修には、既存のシール材を撤去して打ち直す「打ち替え」と、既存のシールの上から新たにシール材を充填する「増し打ち」の2つの方法があります。

状況に応じて使い分けることが必要です。

また、シーリング材には、塗装しないと耐候性のないものや、塗装しなくても耐候性のあるもの、塗料との相性の悪いものなど様々な種類があるので、施工はプロに任せた方が安心です。

5.外壁の錆び

金属サイディングや昔のトタンの外壁の場合、錆びが発生していることがあります。

放置しておくと錆びが進行して、ひどい場合には外壁に穴があいてしまうこともあるので、錆びを見かけたら至急補修が必要です。

補修方法は、入念に錆びを落として錆止め塗料を塗り、塗装で仕上げます。また、錆びが著しい場合には、部分的に外壁の貼り換えを行います。

外壁全体のリフォーム

外壁は定期的にメンテナンス、リフォームすることで建物の寿命を延ばすことができ、美観を維持して資産価値を高めることにもつながります。

外壁リフォームは大きく分けて「塗り替え」「張り替え」「重ね張り(カバー工法)」の3つがあります。

ここではそれぞれの特徴とメリットについてご紹介します。

1.塗り替え

外壁リフォームの中では、最も安い費用でリフォームすることができます。
詳細は以前ご紹介させていただいた「外壁塗装のポイント」をご参考にしてください。

2.張り替え

既存の外壁材を撤去して、新たな外壁材に交換するリフォームです。

現在はモルタルから窯業サイディングに変更するリフォームが増えています。自由に他の外壁材を選ぶことも可能ですが、板張りにする場合には関連法規のチェックが必要です。

張り替えは一度外壁を剥がして下地から作り変えるので、併せて断熱改修や耐震補強を行うこともできます。

建物の外側から断熱材を入れ、新たに構造用合板を貼ることで、住みながらでもラクに断熱改修と耐震補強を同時に行うことができます。

解体撤去工事が必要なので費用は他の方法よりも高くなりますが、重ね張りの様に建物に負担が増えないので、耐震上も有利です。

3.重ね張り(カバー工法)

既存の外壁の上から、新しい外壁材を重ねて貼るリフォーム方法です。解体を行わないので廃材がなく、張り替えと比べて費用も工期もかかりません。
以前から比較的良く行われていたリフォームになります。

施工する前に、打診などによって既存の壁に浮きや剥がれなどがないことを十分に確認する必要があります。

ただし、建物が重くなってしまうので、耐震上は不利になります。
軽い外壁材を選ぶ必要があるので、選択肢は限定されます。通常重ね張りには、軽量の金属サイディングを使用します。

窯業系サイディングを希望する場合には、張り替えをお奨めします。また建物が古く、耐震性に不安がある場合にはあまりお奨めできません。

外壁が二重になるので、遮音効果や断熱効果は向上しますが、万一雨漏りが発生した場合には、原因究明が難しくなります。

まとめ

外壁リフォームは、建物が存続する限り必ずどこかで必要になります。そして、そのタイミングが非常に重要です。適切な時期を逃してしまうと、予想外の費用が発生してしまうことは決して珍しくありません

もとより外壁リフォーム費用は安いものではありません。

少しでも費用を節約するためには、普段から定期的な点検を心がけ、必要なメンテナンスを欠かさないことが大切です。

また、リフォームする際には、「耐久性の高い材料」や「メンテナンス性の良い材料」を選ぶことも重要です。

初期費用は高くても、メンテナンスサイクルが長ければ結果的に経済的です。リフォームを行う時に大事なのは、「どのレベルまで改修するのか」を明確にしておくことです。

一口に外壁リフォームといっても様々な方法があります。外壁リフォームの計画を立てる上で、この記事を参考にしていただけたら幸いです。

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益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
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