老朽化した空き家によるトラブル事例とその対策

実家の空き家が老朽化で崩れ落ちそうとの連絡が入った方から相談を受けました。
結論から言うと、空き家対策特別措置法の施行以来、もしも建屋老朽化が原因で地域住民や通行者等に迷惑や損害が生じた場合、空き家所有者が具体的に管理責任を問われることになっています。

今回は老朽建屋となった空き家が引き起こす可能性のあるトラブルの種類と対策について、初心者の方にも分かりやすく解説します。




老朽建築物が周辺住民から問題視される理由

家屋は空き家となって管理放棄されることで急速に老朽化が進展します。
建物がが老朽化する原因を正しく把握しさえすれば、空き家状態の家屋でも老朽化を大幅に遅らせることが可能となります。

空き家が老朽化しやすい理由とは?

空き家の老朽化が急速に進む要因を大別すると「メンテナンスの不在」「住人の不在」と言う2つの不在に起因します。

1.メンテンナスの不在による急速な老朽化

空き家として放置されている家屋は、空き家になった時点で大多数は築年が経過している物件がほとんどです。
経年変化により、パッと見では外観上の問題はなくとも、実際はダメージを受けている状態だることも多いでしょう。
割と綺麗な屋根なのに実際は部分的に雨漏りがはじまっている…など、見た目には解らない欠陥が多数ある可能性も考えられます。

空き家とは その定義について
不動産業界の最もホットな話題は、銀座の一等地の地価がバブル期の価格を超えたことなんかではなく「空き家問題」なのかもしれません。 ...

千里の堤も蟻の穴からという諺があります。
微細な欠陥に対して注意を払わないと重大な事故に至るという意味ですが、元々は土手(堤)に小さな穴が生じたら、それを起点にして欠陥が拡大し、土手も破壊する、ということが起源です。

空き家もそれと同様に見えない欠陥が多数ある可能性があり、その状態で放置しておくと重大な事故に繋がります。

住人が居れば、雨漏りが発生しても、そのまま放置することはありませんが、空き家状態では壊れた雨漏り状態のままで更に何年も風雨に曝されます。
結果、小さい被害で防げたはずの雨漏りが拡大化し、室内が雨と湿気で大きく毀損します。

特に木造住宅が多い日本では湿気は大敵です。一箇所でも欠陥が生じると、風雨や温湿度変化でその欠陥は拡大していきます。メンテナンスの不在が急速な劣化につながります。

2.使用者の不在による急速な老朽化

引用:厚生労働省(http://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo59_1.html)

機械や設備の老朽化は故障率曲線で規定されます。
これは、一般的にはバスタブ曲線と言われていますが、3つのステージに分かれています。

最初に現れる故障は、初期故障期と言い、寿命の中間期が偶発故障期、そして終盤期は摩耗故障期と言われています。

初期故障は、時間の経過と共に故障率は減少しますが、これは部品などの製造上の欠陥によるものであり、そして、寿命の中盤期に現れる故障モードは突発的な事象による故障です。
更に時間の経過と共に増加していく故障要因に、摩耗や損耗による故障があります。

空き家で急速に老朽化が進展する原因は、上記の摩耗・損耗に相当するモードが急速に進行するからです。

摩耗や損耗を急速に引き起こす要因には温度(高温状態・温度の上下)と湿度(高湿度状態)があります。

大多数の空き家は窓や戸を閉め切られたまま戸締りがされています。
窓や戸が長期間閉め切られてしまうと、建屋の内部の換気は大幅に制限されますし、高湿度で高温状態が続くような温度状態だと、特に木造家屋は急速に劣化していきます。

老朽化空き家が引起す問題の影響4パターン

老朽化した空き家が放置されていると種々の問題を引起します。
その多くは管理者不在が要因で、近隣への悪影響として分析されている問題となります。

以下に空き家が引起す問題を4種列挙します。

問題1:近隣の景観への影響

雑草の繁殖、庭木の枝が塀越しに隣家や公道へとはみ出すので近隣の景観が悪化します。
また、窓の破損した家屋があればスラム街と見間違われますので、(後述する)近隣土地価格下落への影響にも間接的につながります。

空き家初期でも雑草や水たまりが猛烈に成長する

空き家の初期段階では、庭の雑草が成長したまま放置されるケースが目立ちます。
春から初夏にかけて雑草は庭一面に生い茂り、雑草に加えて水たまりや古タイヤ古鉢植えなどにたまった汚水からは蚊などの害虫が発生するようになります。

この段階で近隣住民から「雑草や水たまりから蚊が大量発生している」、とのクレームが寄せられることもありますが、空き家管理者への連絡方法がわからないなどの理由で放置され続け、更に状況悪化が進むことも珍しくありません。

庭木の樹形が大きく変形、隣家への浸食を始める

枝打ちを1シーズン行わないと庭木は枝を大きく伸ばします。
庭木の樹形を美しく保つには植木職人による剪定が必須ですが、空き家状態2シーズン目以降になると、大きく伸びた枝が公道や隣家の敷地に枝が侵入し始めてクレームの元となります。

特に隣家の境界を侵入した枝は公道よりも大きなクレーム原因になります。
隣家の庭木が境界を越えて侵入してきたときは、自ら枝を切断することできず、隣家の所有者に切断を要求できると民法第233条で規定されています。

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例えば庭木が桜(ソメイヨシノ)であれば夏季には毛虫類が枝や幹のいたるところに現れます。
また、木の根元や枝の下一面に毛虫類のフンが落ちてきますので、隣家の悩みも非常に深くなり、クレームも激しさが増すでしょう。

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電球切れでお化け屋敷化します

セキュリティ目的で、庭や軒下に対人センサー付きの電灯を設置している家も多くなりました。
ところが空き家状態が1シーズンを過ぎる頃には、外灯はのきなみ電球切れとなってしまい、夜間は真っ暗になり不用心な状態となってしまいます。

住宅街にポツンと真っ暗な家屋が浮かび上がる、近所の子供達が喜ぶ(?)ようなお化け屋敷化の始まりです。
更に台風などで窓、屋根、外壁が壊れると本格的なお化け屋敷的な外見と化しますので、近隣住人からは「不気味だ」「怖い」「撤去すべきだ」という感情を持つ人々が出てきます。

近隣景観影響問題への対策

雑草繁殖や庭木生い茂りの問題に関しては、住人が存在すれば日頃何気なく行なっている草取りや庭木手入れで対処できる問題です。
これが近隣からクレームがでる程の問題へと発展するのは、手入れ不在期間があまりに長期に及ぶためと言えます。

空き家所有者本人、又は、所有者親族などの関係者が定期的に空き家管理に訪問して草刈や庭木伐採などの対処を行えば、周辺環境問題の発生は大幅に抑制することよういです。

ただし、現住所と空き家所在地が物理的に離れている、多忙で時間が取れないなどの理由で管理が疎かになることがあります。

そういった空き家所有者のために、ホームセキュリティ会社やサブリース会社などが空き家の見回りサービスを行なっています。

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提供しているサービスは、植栽への水遣りや室内換気などのサービス内容をチョイスできるメニュー選択方式で自分に適したサービスを選べますので、予算と空き家物件の実態に合ったサービスを少ないコストで依頼するのは賢い対処方法と言えます。

問題2:近隣の安全への影響

近隣安全面への影響は4つの側面があります。

第1は雑草が生い茂り、庭木が大きく育ちすぎると見通しが悪化して周囲から目立たないデッドスペースが発生するので不審者を呼び寄せやすくなります
結果的には近隣の安寧な生活環境を悪化させてしまうでしょう。

第2に老朽化した空き家は白アリや地震をきっかけに倒壊しやすくなります
突然の建物倒壊は通行人などを巻き込んだ人身事故発生の可能性が高まります。
また、地震や台風の際に建物倒壊した場合、前面道路をがれきでふさいでしまって救急車や消防車の通行を妨げるなど、非常時救助活動の妨害となります。

第3に空き家(特に木造家屋)は放火の誘因となりやすいことがわかっています。
住民がいない木造家屋ならば、放火魔が好きなタイミングで好きなように着火することが事実上、可能となってしまいます。

第4に、空き家は粗大ごみなどの不法投棄には絶好の場所となることです。
最初は空き缶などの小さなゴミ投棄から始まり、家庭ごみや大型家電の不法投棄へと状況は深刻化していくのが普通です。

空き家の管理者不在が災いして、いざゴミがたまっていることを周辺住民が発見しても、清掃が長期間行われないままで放置されているケースも目立ちます。

そしてゴミの不法投棄は、上記の「放火」や「不審者の侵入」を更に招く悪循環へとつながっていきます。
この段階になると不審者が近隣で散見され夜間の一人歩きは注意、との回覧板が町内会から回覧され始めますが、多くの人は「あの空き家が原因では?」と噂をするようになります。

管理責任が追及される

台風や不審者の仕業で窓や外壁等の建築物が破壊されると、一気に老朽化した建屋の姿へと進行してしまいます。

破損個所は更に別の台風や大風によって破損悪化が進行し、屋根瓦や塀ブロックの飛散や倒壊が生じ、通行人や隣家住民を巻き込んだ人身事故が発生する可能性がでます。
その場合は、当然に空き家所有者が管理責任を問われることになります

民法第717条では「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」という定めがあります。
これは、敷地内にある建物や塀が老朽化で倒壊して通行人が怪我した場合においては、不動産所有者が被害者に対して損害賠償の責任があることを明確に定めています。

この定めにより、人身事故を引き起こした空き家所有者は被害者に対して損害賠償をしなければなりません。

管理放置の空き家がいかに危険かを物語ります。

近隣安全問題への対策

近隣安全への問題についても、前項と同様に所有者やその関係者が定期的に訪問管理することで対応は十分可能です。

本人が時間的・費用的に対応できなければ前項の見回りサービスの利用で、多くの安全管理問題は解決します(費用は一般的に月額5千円~1万円程度)。

また、空き家見回りサービスのメニューとして、室内換気を選択すれば家屋の急速な老朽化防止も可能となります。

長期間の空き家放置で老朽化が進展しており、特に屋根や外壁の破損によって、台風などの自然災害時に屋根瓦飛散や外壁倒壊が危惧されるレベルの空き家状態であれば、空き家の解体除去の検討が必要となるでしょう。

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後述する空き家対策特別措置法において、倒壊危険性のある空き家を行政は「特定空き家」とし、最終的には行政主導による解体除去の強制代執行が可能となりました(解体費用はオーナー負担となります)。

また、特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の軽減措置の適用を解除できる権限を市町村自治体が履行してきますので(単純に固定資産税が6倍になることを意味します)、敷地に家屋を残しておく価値そのものが無くなります。

また、近い将来に空き家不動産の活用を考えている場合ならば、リフォームやリノベーションを行って不動産価値を修復することも選択肢となりえるでしょう。

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問題3:近隣の衛生への影響

生い茂った雑草や老朽家屋は、シロアリ、ゴキブリ、蚊、ハエなどの害虫や鼠、野良猫など小動物の住処となります。

これらが繁殖すると近隣の衛生状態に悪影響を及ぼします。
特にシロアリ発生を放置すると、シロアリは他の(空き家でない)家屋に集団飛来していきますので、訴訟沙汰に発展する危険もあります。

シロアリと近隣トラブル
近隣トラブルへの考え方

害虫や小動物は感染症の原因となるウイルスの媒体となります。
例えば蚊が媒体となる感染症として、日本国内では日本脳炎がよく知られていますが、近年はデング熱といった危険な蚊媒体感染症の例が報告されています。

【2015/5/8】 連休明け デング熱流行シーズンへの準備を|医師紹介会社研究所
2015年5月7日、デング熱を媒介する「ヒトスジシマカ」の活動シーズンになり、注意喚起を促すニュースが報道された。

万が一あなたの不動産から蚊が大量発生し、それがデング熱のような感染症原因であると名指しされたならば、ニュースに出るような大問題に派生するだけでなく、空き家不動産の資産価値は奈落の底に堕ちていくのは間違いありません。

近隣衛生問題への対策

空き家不動産が害虫や小動物の住処となり、近隣衛生環境に悪影響を与える状況を回避するには、ゴミ捨てサービス、定期掃除サービス、害虫侵入チェックをしてくれる空き家見回りサービスの導入で防止できます。

空き家見回りサービス、巡回サービスの業務内容は、簡単な外観のみの定期チェックだけだったり、害虫侵入チェックや定期清掃といったきめ細やかなサービスを含むものだったりと、各提供会社によって内容が大きく異なるので注意です。

「なんでもしてくれる」タイプの巡回サービスは案外少ないので注意です。

不動産物件が空き家となったら、いち早くこれら巡回見回りサービスに加入することで、近隣からのクレーム発生も無く、空き家老朽化も効果的に抑止することが期待できます。

問題4:社会的・経済的・精神的な損失

上記問題の1~3を関節原因として、近隣土地価格が下落したり、地域から退去する住人が増える、または、精神的不快感を我慢しながらの居住を強いられる隣家住人が出てきたりすること等により、地域コミュニティは大きな損害を被ります。

これは、本来なら取引され、新たな富が生まれる可能性や新たな価値が創造される可能性が失われています。

つまり、住宅地家屋が空き家のまま放置されている状況は、土地や家屋という貴重な資産が塩漬けにされ活用されていない状態にあることを意味するからです。

地域にとっての社会的・経済的な損失

本来なら、住宅地にある一戸建て物件を賃貸物件として利活用していれば数十万円以上の経済的な価値を生み出すことが期待できます。
また、この不動産(土地・家屋)が売買市場に上市されたならば、該当エリアの不動産市場そのものの活性化に繋がります。

「空き家状態=流通停止」の状態ですから、その地域にとっても社会的・経済的な損失と算段されてもしかたありません。

空き家所有者自身の経済的損失

ご存じの通り、不動産は、購入・保有・売却という不動産流通ライフサイクルの各段階において、種々の税金が課せられます。

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所有する不動産を利活用していないとうことは、所有者にとって固定資産税の無駄払い状態が続くということを意味します。
また、後述の空き家対策特別措置法の施行によって、市町村は固定資産税の軽減措置を解除することが可能となりました。

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これは本来、敷地に建物があると敷地の固定資産税が、200㎡以下であれば1/6に軽減されると言う制度であり、空き家でも対象となっていました。
この税金特例が解除されるということは、単純に空き家所有者の固定資産税が6倍に増える可能性を示唆しています

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社会的・経済的・精神的損失への対策

空き家の基本的な定期管理はもとより、リフォームやリノベーション、時には建屋解体で更地にするなどの方法を選択して、不動産価値を下げないように対策することにつきます。

これらの対処にはそれなりのコストがかかってしまうため、誰も住んでいない不動産に資金を投入するのは馬鹿らしいと考える方々が多いのも同意できます。

そういった場合は、スッパリと空き家不動産を売却してしまうのが良いでしょう。
ご自身の空き家不動産がいくらで売却できるかは、インターネット上から速やかに無料査定することができますので、下記ページのようなサービスを利用して、最も経済的に間違いがない空き家対策方針をチョイスしてみるのが良いといえます。

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自分でできる、空き家老朽化のチェックポイント

窓ガラスの破れ、屋根瓦の飛散、外壁や塀の倒壊など外部からわかりやすい老朽化だけでなく、よく調べないと発見が難しい老朽化ポイントも多数存在しています。

とはいえ、しっかりと不動産所有者が自分の目で確かめることを怠らなければ、案外いろいろと老朽化ポイントが容易に発見できるものです。

ここではご自身でできる、空き家老朽化進行状況の主要チェックポイントをご説明いたします。

外壁・外回りの点検

建屋の外壁や塀を含む外回りのチェックポイントを列挙します。
空き家の外回りは離れたところから全体を俯瞰、更に、できるだけ近づいて隅々まで目視することで、様々な劣化状態を早期に察知することができます。

外壁の外観チェック

家屋の外壁は種々有りますが、代表的な例1~8を以下に示します。
これらの外壁で空き家の老朽化が問題となりやすいのは1~4となります(劣化しやすい外壁素材であるということです)。

  1. トタン張り…亜鉛めっき鋼板
  2. 土壁…土・ワラ・竹
  3. 羽目板(木張)…杉・松・檜
  4. モルタル…セメント・金網・樹脂(塗料)
  5. サイディング…陶器・金属・樹脂(塗料)
  6. ALC…発泡軽量セメント
  7. タイル貼り…焼き物
  8. RC…コンクリート・鉄筋

外壁材料は、金属、木材、土、セメントが主な材料で、それに副資材を混合したり塗装したりされています。

外壁外観チェックでの重要点は、見た目の異常の有無を目視で見分けることです。
クラックやタイルのズレ、落下など、異常がある外壁は外部から見て素人でも判別つきやすいのが一般的です。

もしもあなたが新築の頃から住んでいた方ならば、外壁がもともとどのような状態だったかが記憶にあるはずでしょうから、更に異常チェックは簡単です。

異常と判断できる主現象は、錆び、亀裂・ヒビ、腐食、汚れ、タイル等外壁材のズレや剥落となります。

これらを放置すると、毀損した外壁から湿気や雨そのものが屋内に入り込んだり、コウモリや鼠などの侵入経路となることで、空き家不動産のさらなる老朽化の引き金となる可能性があります。

まずは目視で外壁チェックを定期的にチェックを行ってください。

尚、単純な外壁の汚れに関しては、ただ単に砂や土埃が付着しているのかと、カビや苔が付着・繁殖しているかでは対応が大きく異なります。
カビや苔は見た目も悪いので老朽化レベルが高くなり、害虫発生の要因の1つになりかねないため、より注意しておくことが必要となります。

モルタル外壁の塗面チェック

モルタルの外壁には塗料がコーティングされています。
塗面を良く見ると細かい白い泡が噴いたような状態が観察されるときがありますが、この部分を触ると白い粉が指についてきます。

これはチョーキングという現象で塗料が紫外線や温湿度の影響で劣化したものです。
塗面にチョーキング現象が現れると塗料が寿命に達したサインです。
これを放置すると塗面の剥離や亀裂が発生し、水分の壁面への侵入を許し壁材の劣化を促進します。

タイル壁面の打診によるチェック

外壁がタイル張りの場合には、重要なチェック法としてタイル面打診という方法があります。
これはスイカを購入するときにスイカをポンポンと叩き、その音により美味しさを判断する方法と同類の手法です。

タイル外壁を軽くポンポンと叩き、接着されているはずのタイルが浮いてしまったり、その場で崩れ落ちたら注意です。
1か所そのような状態を見つけたならば、他のかなりの場所でも同じようなタイル剥離が起きる経年劣化時期にきていると考えてもよいでしょう。

タイル張りの建屋は雨や温度変化に強い耐性がありますが、建屋の本体部とタイルの間の接着層に剥離(浮き・剥がれ)や割れが発生すると、そこから水分の侵入が始まります。
これが端緒となり老朽化が進行します。

また、タイルと外壁本体との剥離があるとタイル脱落が生じる可能性があります。
これは通行人に対するタイル直撃事故のリスクを高めますし、先の説明と同じく、民法の規定により所有者に管理責任が問われる事故となります。

サイディングの注意点

サイディングは金属や陶器のパネルを外壁として建物外側にセッティングしていきます。
その際にパネル同士を結合するため、繋ぎ目にシーリング材を充填します。

このシーリング材は、他の外壁材と同様に紫外線と湿度や温度変化に曝されるために劣化し、亀裂が発生しやすいとされており、これが水分の侵入起点となると建物内部への浸食と劣化が始まってしまいます。
歳でぃんぐ外壁の外観検査際には、シーリング部分の亀裂を中心に劣化状態を見逃さないよう注意しましょう。

家屋内では上を見あげて老朽化チェックを

普通に生活しているとあまり隅々までチェックすることがないのが天井。
もし天井裏の点検ができる構造なら、雨漏りの痕跡を探しましょう。

屋根はダイレクトに風雨に曝されますので最も傷みが激しくなりやすい部位です。
室内・室外の双方から家屋上部を見上げてチェックすることで劣化の兆しを素早く発見できます。

室内から天井を見上げてチェック

雨漏りがあると天井にはっきりと痕跡が残ります。
雨水が天井裏に滴下し天井裏に水溜りを作りますが、それは時間の経過と共に乾燥します。
乾燥と同時に水分は天井の材料に吸収されて、水溜りの乾燥染みを形成します。

室外から軒下を見上げてチェック

ベランダ下の軒下は、その他の軒下に比較してヘビーデューティな環境に置かれています。
室外からのチェックはベランダ下の軒下をチェックして下さい。
室内の天井と同様に乾燥染みの有無を確認することが大事です。

床や基礎といった建物下も要チェック

家屋にとって基礎は最も重要な部位ですが、地面に直結しているため湿気や害虫(シロアリ)の被害に会いやすい部分です。
また、給排水系の配管の損傷で水漏れが生じても発見が遅れがちな場所です。

床下のチェック

台所、風呂場、洗面所などの水周りの床下をチェックしましょう。
床面を見て水分浸食による床材腐食の有無を確認して下さい。

また、床面に顕在してこない老朽化所の発見のため、できれば床下の目視確認もあわせて行いたいところです。
特に配管系からの水漏れの証拠である水溜りや乾燥跡を探して下さい。

基礎部のチェック

石場建ての基礎(引用:http://kino-ie.net/tsukurite/piece/wadayoko_5)

今では住宅の基礎と言えば布基礎やベタ基礎構造が一般的ですが、空き家状態となるような古い家屋は、束石や礎石の上に柱を立てる石場建ての基礎構造が多く用いられています。
この構造であれば縁の下を覗けば、反対側まで見通せます。

石場建ての基礎は、礎石の上に柱が載っているだけであり柱がむき出しの状態ですので、直接風雨に曝される個所となります。
また地面に近いのでシロアリの侵入口となりやすい箇所とも言えます。
必ず湿気による腐食やシロアリの寄生の有無をチェックして下さい。

行政の空き家対応 – 老朽化を放置すると空き家対策特別措置法により行政代執行が行われる可能性

ご存じの通り、空き家の数は年々増加しており、当記事でふれたように様々な悪影響を周辺環境に及ぼしています。
そのため、行政でも空き家対策特別措置法を施行し、周辺住民にとって迷惑極まりない空き家を「特定空き家」と指定し、最終的には行政代執行による解体へと持ち込むことが可能となってきています。

行政代執行による空き家解体のコストは、物件所有者に請求されます。
空き家不動産が増加する背景と空き家問題対策の今
空き家増加問題の背景として、日本は高齢化と人口減少が同時に起きているから、空き家が増えるのは当然――と思っていませんか。 高齢...
空家対策特別措置法における自治体立入調査の実態とは?
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、これまで管理放置状態でも特に誰からも文句を言われなかった空き家オーナーがざわついています...

増加し続ける空き家数に行政も重い腰を上げた

住宅や土地に関する統計調査として、5年ごとに行われる「住宅・土地統計調査」とういものがあります、これは不動産の国勢調査といった類でとらえてください。
最新版は平成25(2013)年の調査で、全国平均の空き家率は13.5%に達しています。

統計局ホームページ/空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について
総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計職員に専門的な研修を行っています。

この調査に過去13回分の住宅・土地統計調査における住宅総数・空き家数及び空き家率のデータがあります。

1953年の調査では空き家率は1.3%と僅かな率でしたが、調査の回を重ねるごとに空き家率は増加していることが分かります。

国の取組み(空き家対策特別措置法)

ここまで何度か書いてきましたが、着実に増加する空き家と深刻化する近隣への影響を受けて、平成27(2015)年に空き家対策特別措置法が施行されました。

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空き家対策特別措置法における「国」の役割

空き家問題には住宅政策と地方税制が密接に絡んでいるため、空き家対策特別措置法の主務大臣は国交大臣と総務大臣となります。
この法律において国土交通大臣及び総務大臣は、以下の3項目の施策を実行します。

  1. 空き家等に関する施策の基本指針の策定
  2. 空き家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充
  3. 税制上の措置等

空き家対策特別措置法における「都道府県」の役割

都道府県は、市町村自治体に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助を行なうサポート役となります。
ただし、技術的・法律的な要素が強い対策ですので、市町村の行政能力を超える場合があるケースにおいては、都道府県がサポート役になります。

空き家対策特別措置法における「市町村」の役割

空き家対策特別措置法において、市町村自治体は実質的な「実動部隊」となります。
もしあなたの空き家が周辺から問題視された場合、是正勧告や行政代執行を執り行う直接的な窓口は市町村自治体となることを知っておきましょう。

上記が何を意味するのかというと、空き家所在地の自治体によって、応対態度がまるっきり変わって可能性があるということを意味します。
ある自治体は空き家に対して非常に厳しい態度で臨むでしょうし、そうでない自治体もあるでしょう…。

ただし、どの自治体がどれくらいの強硬性方針を実行に移してくるかまでは、今の段階では全く予測不能ですから、あくまで「無責任な空き家管理の放置は、将来的に必ず所有者責任を取らされる可能性が高い世の中になった」ということを自覚しておくべきです。

尚、市町村の策定する空き家対策計画の内容としては、以下の4項目となります。

  1. 空き家等の所在や所有者の調査
  2. 固定資産税情報の内部利用等
  3. データベースの整備等
  4. 適切な管理の促進、有効活用

まとめ – 老朽家屋トラブルには管理者責任が付きまとう

老朽化した空き家が原因でトラブルが発生する、所有者の管理責任が行政から問われる世の中になりました。

今までの時代は、建屋解体で更地不動産ににするより、(空き家状態でも)建屋が存在していた方が敷地の固定資産税軽減措置のメリットが享受できた時代が長かったものの、これも空き家対策特別方法施行で大きく様変わりとなりました。

更地にした空き家不動産の土地管理方法
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空き家対策特別措置法は、行政代執行による建屋解体という厳しい面ばかりが注目される傾向にありますが、他方では所有者に責任をただ押し付けるのではなく、空き家の利活用が促進される仕組みもきちんと用意されていることも併せて知っておいてください(空き家バンクなどが良い例です)。

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空き家不動産の所有者の皆さんは、ただ無意味に特定空き家指定を恐れるだけでなく、土地活用の方向性とその支援もあることを念頭にしつつ、地元市町村の空き家対策窓口へとまずは相談することをお勧めします。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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