空き家の実勢価格、公示地価、路線価、なぜ違いがでる?

土地の売買を検討するうえでよく耳にする言葉が『公示地価』『実勢価格』『路線価』の3つがありますが、これらを詳しく知っている人は少なく、不動産会社の営業マンでも本質を理解していない人もいるようです。

公示地価と実勢価格のどちらも、売買価格を決めるうえで、参考資料として非常に重要な『土地の価格』です。

しかし、これらの価格の間には、価格差があります。

これは一体どういうことなのでしょうか。

実際の取引で損をしない為に『公示地価とは何なのか』『実勢価格の本質』と価格差が生じる理由を理解することは非常に大切です。




実勢価格とは

実勢価格とは一言でいうと実際に市場で取引されている価格の事です。

土地の価格以外で例えるとスーパーで売られている生鮮食品などは、季節によって全く異なる値段がついているでしょう。

各小売店によって値段は上下しますが、その物の全体としてはある程度の相場が形成されており、消費者が考えているよりも高ければ購入を見送り、安ければ購入が促進されます。

これと似たような性質でよく目かけるのが、家電商品の『オープン価格』があります。

つまり、定価で販売されないものはもちろんとして、定価がある商品であっても小売店の安売りなので価格は変わります。

こうした日々価格が変動する実勢価格が日常的に存在し、私たちは実勢価格が高いか安いかで判断し、商品購入の決め手にしています。

土地も同じように周辺の類似物件の取引事例を集めてみると安い取引や高い取引が混在する中、㎡単価や坪単価は似たような価格になっているのがわかって頂けると思います。

これが実勢価格と言われるものです。

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土地の実勢価格の特徴

普段我々が日常で買い物をしている時に、実は実勢価格に接しているのです。

通常の商品には「同じものに異なる価格」が付いているため、その判断は価格を基準にする事が可能です

高いか安いかの判断は、商品の定価を知っているからです。

しかし、土地の場合には「異なる土地について異なる価格」が付いているからで判断が難しいので、実勢価格は単に異なる土地の価格を寄せ集めた結果にすぎません。

また、実勢価格は実際の取引での価格ではありませんので、成立する価格は当事者同士の自由な交渉の変動で実勢価格と近いとは限りません。

土地の実勢価格とは過去の取引事例から求めた平均的な価格であって、将来の取引で成立しそうな価格ではありません。

他の商品と同じように考えないことが重要です。

また、集めた取引事例の平均値を求めることは可能ですが、平均値に縛られるのではなく、幅のある価格帯として捉えておくべき価格です。

例えば、同じような物件が3件あったとします。

それぞれ坪単価が19万円、20万円、21万円だった場合、平均は20万円となります。

平均が20万円だからと言って、実勢価格を20万円に設定して販売するよりも、19万円~21万円の幅を持たせておくという方法が正しいのです。

公示地価・基準地価と実勢価格の差

国土交通省の公示地価や、都道府県の基準地価は、公的な地価水準として知られており、土地の取引においても参考になるべき地価と言えます。

地価は毎年1月1日に公表され、不動産鑑定士の鑑定浮揚を基準とします。

しかし、土地には定価というものが存在せず、買主と売主の双方の合意があればいくらで取引しても構わないものです。

したがってお互いが納得できる金額で取引ができ、公示地価に拘束されるものではありません。

また、買主と売主は利益合判の関係にあるので、公正な取引がされるほど合理的な適正価格は公示地価に近づいていくはずです。

ただそれでも公示地価と実勢価格は時に大きく乖離してしまうことが知られています。

公示地価とは

公示地価とは国土交通省が定めた地点を対象に、地価公示法に基づき、毎年1月1日に時点における価格を公示するものです。

不動産業界の人でない限り、一般の人が土地の売買取引を行う機会はなかなかあるものではありません。

さらに土地の売買には「早く売りたい」「あのエリアの物件がどうしても欲しい」など、当事者同士の事情により取引価格も左右される傾向があります。

そのため正確な土地の適正価格がわかりづらくなるという問題が生じてきます。

そこで一般の人にもわかりやすいように、当事者間の特殊な事情を除いた自由な取引において通常成立するであろうと予測される客観的な土地価格の目安を決めたものを『公示地価』といいます。

公示地価が公示される標準地とは、その地域内の利用状況や環境、形状、面積が標準的であろうと思われる土地を国土交通省の土地鑑定委員会によって決められます。

そのほか、土地の周辺の状況以外に電気水道ガス駅までの距離などの状況も加味されています。

よって土地の面積が小さすぎる場合や、変わった形の土地は標準的とみなされない為、標準地として選ばれることはありません。

また、建物の築年数の古さや建築費の違いが価格に反映されてしまうと、土地の価値を判断することが難しくなるため、土地そのものの価値を示すために、建物が建っている状態ではなく更地の状態としての評価が下されます。

公示地価の決め方

公示地かはいつ決まるの?

毎年1月1日時点の公示地価が、3月中旬ごろに発表されます。

公示地価は誰が決定するの?

公示地価は法律で2人以上の不動産鑑定士に調査をしなければならないと定められております。

不動産鑑定士がそれぞれ各自で現地の調査を行い、取引事例や土地の収益の見通しなどを分析して評価を行います。

不動産鑑定士が出した結果を国土交通省の土地鑑定委員会が審査や調整を行い、総合的に判断して正常価格として公示されます。

公示地価は国が認めた価格となるので、正確でなければなりません。

その為、複数の不動産鑑定士が下した鑑定評価を、さらに土地鑑定委員会で精査することにより、正常価格を算出するという複雑な仕組みとなっております。

公示地価はどんな時に使う?

公示地価はあくまでも土地の取引の際の指標となるもので、実際の取引価格とは差がでてきます。

例えばこれから取引しようとしている土地が、公示地点よりも駅に近いと土地は高くなり、道幅が狭いから公示地価よりも安くなるといった条件を照らし合わせながら比較を行い、おおよその土地の価格を判断する場合に用いる価格です。

その為、公示地価で取引が行われるという確実なものではありません。

その他にも、国土交通省が公示地価の役割を以下のものだと位置づけしております。

  • 不動産鑑定の基準となる
  • 公共事業用地の取得価格算出の基準となる
  • 土地の総億評価及び固定資産税評価についての基準となる
  • 国土利用計画法による土地の価格審査の基準となる

公示地価には、不動産鑑定士などの鑑定評価や、公共用地の取得価格などを取り決める際の重要な基準や、相続評価、固定資産税評価の目安に、また企業会計における資産の時価評価になるなどの役割を持ち、様々な場面で活用されています。

公示地価と路線価の違い

路線価とは

路線価(相続税路線価)とは、相続税や贈与税を算出する評価額の事です。

しかし、すべての土地を計算するのは非常に難しく、土地の価値は面する道路に大きな影響を受けるため、税務署(国税局)が市街地の道路に価格を設定し、その道路に接する土地の評価をすると定めたものです。

路線価では、一定の距離を持った道路を路線とし、その路線に面する宅地の価格はすべて同じとするという考えが基準となっています。

しかし、大都市のような場所では、道幅の広い路線などの条件によってはその限りではありません。

路線価と言えば一般的に『相続税路線価』を指しますが、相続税路線価と固定資産税路線価というものもあります。

固定資産税路線価とは、土地の固定資産税評価額を決める場合の基準となる価格で、地方税に分類され市町村が決定するものです

相続税路線価とは、相続税お飛び贈与税の算出基準となる土地評価額で、公示地価の8割程度が目安とされております。

調査方法は相続税法に基づいて実施され国税庁が価格を決定します。

敷地についての価格を公示地価と呼ぶのに対して、路線価は一定の距離を持つ路線に対しての価格とされます。

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路線価はいつ決まるの?

路線価の決定は毎年1月1日時点の路線価が、7月に国税庁から発表があります。

公示地価よりも発表がかなり遅いのは、公示地価よりも調査する地点が多いということが原因です。

なお、固定資産税路線価は固定資産税の評価替えに伴い3年に1回、1月1日時点の価格が4月頃に市場損から発表されます。

路線価は誰が決定するの?

地価公示価格の8割を目安として価格を設定しており、売買実例価額や公示価格、不動産鑑定士などのよる鑑定評価額を精査したうえで最終的に国税局長が決定します。

路線価はどんな時に使う?

路線価は相続税や固定資産税の評価額を算出する場合に用いられます。

これらの税金は土地の評価が高くなれば、税金も高額になるため、正確に評価する必要があります。

市街地では公示地価を基にした路線価から正確な評価額を算出することになっているのです。

また、不動産を売却する場合に、近くに公示ポイントがなければ、路線価をもとに算出することが可能です。

公示地価と路線価の違い

公示地価は基準とする標準地のみ公示されますが、路線価は道路ごとに設定されます。

また、公示地価がその土地に対する価格が決められるのに対して、路線価は一定の距離を持った路線によって価格が決定します。

路線価(相続税路線価)は相続税や贈与税を算出するためのものですが、公示地価の主な用途目的は土地取引の指標です。

公示地価と実勢価格の違い

実勢価格とは

実際に土地が取引されている価格を実勢価格と言います。

公示地価がその年の1月1日に鑑定と精査を重ね設定された明らかにされる価格であるのに対し、実勢価格はその問いの周辺の過去の取引事例を元に算出し求められた平均値です。

要するに公示地価が模範的な価格に対して、実勢価格は実際の取引に近い価格というものです。

しかし、実勢価格もあくまでも過去の取引事例を元に算出されたものですから、必ず子に金額で売却ができるというものではありません。

その点では公示地価と同様です。

土地の価格はその時、その瞬間、また当事者同士の事情で価値が変わるものです。

なぜ差が出るのか

地価公示法の代1条の2には、

都市およびその周辺の地域などにおいて、土地の取引を行う者は、取引の対象と地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について、子維持された価格を指標ロして取引を行うように努めなければならない

と定められております。

しかし、何度も記述しているように、土地の取引には当事者間の事情や売り手と買い手の交渉を行いながら売買されるので、「必ずその金額で取引をしなければならないというものではない」ということです。

「少しでも高く売りたい」「知り合いだから安くしてあげたい」などの個人の事情が取引額に大きく左右されるものです。

またその土地の需要により価格が大きく左右されることもあり、実際の取引では公示地価より何倍も上回ったり、下回ったりすることはよくあります。

実勢価格はリアルタイムな価格で、現在の土地の流動的な生きた価格とも言えます。

公示地価の発表は1月1日時点の価格ですから、実勢価格よりも遅れた情報になりますので、どうしても公示地価と実勢価格には差が生じてしまいます。

土地の価格を判断する一つの指標に

土地の売買をする際の土地の価格を決める基準となる公示地価ですが、必ずしも公示地価と同じ価格になるわけではないので、その土地の公示地価が今、上昇傾向にあるのか、それとも下降傾向になるのかを見ながら全体的な傾向を判断し価格を決定します。

実勢価格がわからない場合、公示地価を参考にし価格を決定することも可能なので、土地の売買に失敗しない為にも公示地価を調べて把握しておくことは必要です。

路線価と実勢価格

土地の価格では、公示地価・基準地価のほかに、「相続税路線価」「固定資産税路線価」という2つの公的な指標があります。

土地の路線価と面積がわかれば簡単に評価額を出すことが可能なので、実勢価格を参考にすることを考える人は少なくないでしょう。

公示地価は標準値を定めるものに対し、路線価は面している道路に対して設定されているため、路線価に接している土地は公示地価よりもより詳細に価格を求めることが可能となります。

しかし、路線価も公示地価を基準として設定されているため、実勢価格とは異なります。

  • 相続税路線価:おおむね公示地価の8割
  • 固定資産税路線価:おおむね公示地価の7割

逆に考えると、相続税路線価を使って求められた土地の評価額は、0.8で割ると公示水準に近づき、固定資産税路線価は0.7で割ることで公示水準に近づくということになります。

このように求められた価格が、仮に公示地価と同等だったとしても、公示地価と実勢価格のとの間に差があることには変わりありません。

可能性があるとすれば、公示地価と実勢価格の差が小さい地域で、さらに時価変動の小さい地域なら路線価からでも実勢価格に近い価格が求められるかもしれません。

また、路線価は公示地価に対して低い水準で設定されているため、時価が上昇傾向にある地域では、路線価をそのまま使うと公示地価よりも実勢価格と離れてしまい、反対に時かが大幅な下落傾向にある地域ですと、公示地価よりも実勢価格に近くなります。

路線価は公示地価よりもさらに実勢価格に遅れる

相続税路線価は国税庁が毎年7月頃に公表され、固定資産税路線価は市町村が3年ごとの4月ごろに公表する価格で、どちらも公示地価よりも遅れての発表となります。

その為、それだけ実勢価格とは差が大きくなる傾向にあります。

例えばある年の6月に相続税路線価を使って求めた土地の評価額は、当年の公表前なので前年の1月1日地時点で発表のあった相続税路線価を使うしかありません。

そうなると約1年半前に相続税路線価を使用することになり、1年半前の路線価が実勢価格を反映しているとは思えず、3年ごとの発表の固定資産税路線価ならなおさらその傾向は顕著に現れてしまいます。

路線価を売買価格の目安として使う場合、公示地価水準に戻して使うこと、路線価の改定直後に試算してみるといった工夫をする必要があります。

しかしそれでも依然として実勢価格との差が解消できない場合は、実際の取引事例を多く探して求めるか、査定を受けて出した価格の方が精度は確かです。

実勢価格は土地総合情報システムで調べる

これまでで実勢価格の考え方がわかったところで、実勢価格の具体的な調べ方についても説明します

実勢価格を調べるには、国土交通省が運営している『土地総合情報システム』を利用します。

国土交通省 土地総合情報システム Land General Information System

土地総合情報システムを使うと、日本全国の土地取引の実勢価格を調べることが簡単にできます。

この土地総合情報システムでは土地取引の総額や坪単価以外にもおおまかな土地の形状、面積、土地の利用目的や前面道路の幅員と種類(公道か私道か)、包囲、用途地域や建蔽率と容積率まで調べることができます。

過去の取引事例は四半期ごとに閲覧することが可能です。

この土地総合情報システムを使用しているとわかりますが、実勢価格が非常に少ない、もしくは見つからないという地域があるのがわかると思います。

大都市では土地の取引が頻繁に行われているため、実勢価格を簡単に調べることができますが、地方などの土地の取引がほとんどないという地域では、実勢価格が見つからないという土地もあります。

実勢価格が簡単に見つかる大都市では取引価格の想定に実勢価格は大きな力を発揮しますが、取引事例のほとんどない地方の地域では実勢価格が見つからない為、使用できないということが実勢価格のデメリットとなります。

まとめ

土地の実勢価格を取引事例、公示地価、路線価という3つの視点で説明しましたが、実勢価格は流動的で、公的な地価と差が生じるというのが理解できたのではないでしょうか。

その差の大きさは周辺地域の地価トレンドや個別の取引事例で異なりますので、公的な地価と一律の差があることを前提にして計算してはいけません。

例では実勢価格の方が公示地価よりも高かっただけで、実際は時価の大幅な下落に伴い、実勢価格が公示地価を下回ることも考えられますので、どちらが安いか高いかに注目するのではなく、常に実勢価格を意識して、周辺の地価変動に目を光らせていることが重要です。

そうすることで、いざ自分が売買するときにどのぐらいの価格帯になるかを容易にすいそくできますし、もし不当に取引を持ち掛けられても防止することができます。

資産運用の面でも土地の実勢価格を知っておくことは非常に重要になってきます。

公示地価と実勢価格の本質、この二つの間に生じる価格差についての理解ができれば、不動産取引において非常に大切な知識になります。

これらをしっかりと理解しておけば、「いくらで売買すれば適正なのか」がわかりますので、この2つの違いをしっかりと理解すればよい取引ができることでしょう。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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