ズバリ、空き家リフォームには費用がいくらかかる?- 事例と金額目安-




はじめに

所有している空き家をリフォームしたいと思った時に、やはり気になるのはお金(リフォーム費用)のことではないでしょうか。

数社からリフォームの見積もりをとると、全く同じ要望を伝えたはずなのに、リフォーム業者によってだいぶ見積金額に開きがあるという話を良く耳にします。

ではなぜ、業者によって見積金額に違いがでるのでしょうか?
単にリフォーム会社によって、利益が違うためでしょうか?
そこにはきっと、他にも何か理由があるはずです。

また、素人には同じ内容に見えても、工事内容にどこか違いがあるのかもしれません。
一方では、あまり安すぎるのも、手抜き工事をされそうで心配になってしまいます

そこで今回は、リフォームの費用についてご紹介させていただきます。

なぜ、見積価格に違いが出るのか、安すぎる業者には発注を避けるべきなのか、そもそもリフォームの工事代に適正価格などあるのかなど、リフォーム費用についての疑問にお答えします…がその前に、築古物件のリフォームにおいて非常に参考になる動画がありますので、ちょっと視聴してみてください。

リフォーム費用の構成

まず初めに、リフォームの工事費用の構成についてお話したいと思います。
リフォームの工事費用は以下の様に構成されています。

工事費用 = 材料費 + 手間(施工費) + 諸経費(現場管理費+一般管理費)

材料費とは、工事を行うために必要な建材や建具、住宅設備機器、壁紙やタイルなどの仕上げ材等、「モノ」の費用の事です。

完成すると見えなくなってしまう木材や合板、セメントや電線、配管材なども材料費の中に含まれます。同じ材料でも、会社によって仕入れ価格が異なるため、見積もり金額に差が出ます。

手間(施工費)とは、作業を行う大工さんや職人さん達の人件費(手間賃)です。

また、工事を行うために必要な釘やビス、接着剤などの副資材もこの費用に含む場合もあります。

会社によって、職人さん達に支払う日当にも差があるので、見積もり金額に違いが出ますが、高い日当だからといって必ずしも腕が良い職人とは限りません。

尚、見積書では、上記の材料費と手間代を合わせた価格を施工面積(㎡数)で割って、㎡あたりの金額で表示する場合(材工共価格)もあります。ビニールクロス貼りや塗装工事などでは一般的な表示方法です。

諸経費とは、現場管理や会社を運営するために必要な費用の事で、現場管理費一般管理費があります。

リフォーム現場では、これらの経費まで現場ごとに細かく積算する事はなく、一般的には工事費(材料費+手間)に対する割合として見積書に計上する会社が多いと思います。

現場管理費

職人の手配、工事進捗状況の確認、施工品質管理、スケジュール調整など、現場を管理するリフォーム会社の現場監督や工事管理者の人件費や法定福利費、交通費、通信費、駐車場代など

一般管理費

会社を運営するための経費で、総務・経理担当者などの事務職の人件費や事務所の家賃、水道光熱費、事務用品費、広告宣伝費など

諸経費は、リフォーム会社の利益とか、不要な費用などと思われ、値引き交渉の対象とされがちですが、工事を適切に管理する、または会社を運営していくために欠かせない費用です。

会社によって見積もり金額に差が出る理由とは?

リフォームの費用を構成する要素については、何となくでも理解していただけたと思います。それではなぜリフォーム会社によって見積もり金額が違ってしまうのでしょうか?

ここでは、その疑問についてお答えします。

1.仕入れ価格の違い

同じメーカーの同じ商品でも、リフォーム会社によって商品代の見積もり金額が違う事は良くある事です。これは会社によって利益率(儲けの額)が違うという事ばかりではありません。

複数のリフォーム会社が、同じメーカーの同じ商品を仕入れる場合でも、会社によって仕入れ値が異なります。

通常では、リフォーム会社が住設メーカーや建材メーカーから商品を直接仕入れる事はありません。

商社や代理店、建材屋さんなどを通して、仕入れを行っています。

そして、仕入先や取引量などによって、仕入れ値が異なるのです。
中にはメーカーのカタログ定価(上代ともいいます)の3割くらいで仕入れを行っている事もあります。

一般的には、取引量(仕入れ量)が多ければ多いほど、取引年数が長ければ長いほど、取引条件は有利になるので、安く商品を購入する事ができる様になります。

また近年では、小規模リフォーム工事では、ホームセンターやインターネットなどで、材料を購入するケースも増えている様です。

この様にリフォーム会社の仕入れ原価の違いによって、見積もり金額が変わってしまうのです。他には、現場までの搬入コスト(運送費など)の違いにより、価格差が生じる事があります。

またリフォーム会社には、商品を安く仕入れる事ができるメーカーとそうでないメーカーがあります。

定価がほぼ同じで、グレードや機能が同等の商品でも、メーカーを変えると見積もり額が下がる事があります。

2.施工体制による違い

建築工事では、元請の建設業者が、全ての工事を自社の社員(職人)だけで施工する事は、ほとんどありません

これは、大型ビルの新築工事でも、住宅の新築工事でも、住宅のリフォーム工事でも同じです。

建築工事は、仕事の一部または全部を、数多くの下請け業者を使いながら、元請業者が現場を取りまとめて完成させるものです。

大手、中堅のリフォーム会社も例外ではなく、ほとんど自社施工していません。(自社で工事を行わない)

一方、部分的なリフォーム工事の場合には例外があります。

塗装工事業者や屋根工事業者などの専門工事店が、元請としてエンド客から直接仕事を請け負っている場合です。この場合には、ほとんど全ての工事を自社の職人のみで施工します。

しかし、これらの業者の多くは、リフォーム会社の下請けとしても工事を行っているケースが多いので、話が少し複雑になります。

例えば、塗装業者A社がいます。

A社がエンド客のBさんから外壁塗装の見積もり依頼を受け、80万円で見積書を提出しました。施工するのは、もちろん自社の職人さん達です。

一方、Bさんは大手リフォーム会社のC社にも見積もり依頼をしました。

C社は下請業者のA社に見積もり依頼をし、A社から同じ80万円の見積書が上がってきました。

さて、C社はBさんへ、いくらで見積もりを出すでしょうかという問題です。

C社がBさんに、80万円の見積書を出す事は絶対にありません。80万円では、C社の利益が1円もないどころか、会社の経費を考えれば大赤字です。

当然100万円以上の見積書を提出するはずです。
差額は最低でも、20万円以上になります。

こうした事は、新築工事ではあまりありませんが、リフォーム工事では珍しい事ではないのです。

3.手間賃による違い

リフォーム会社によって職人に支払う手間賃が異なるという事は既にご説明しました。
そして、手間賃が高いからといって、必ずしも腕の良い職人とは限らないというのも前述した通りです。

しかし、手間賃は安ければ良いという訳でもありません。
安すぎれば、手抜き工事が行われる可能性があります。

また、職人への仕事の精度や、技術レベルの要求度が高いので、高い手間賃を支払っているというケースもない訳ではありません。

同じ仕事をする場合でも、工程をひとつ増やしたり、ひと手間余分にかける事で、仕上がりが格段に良くなるという事は、リフォーム工事では良くある事です。

また、現在の日本は職人不足です。

安い手間賃では職人が集まらず、着工予定や工期が守られない可能性もあります。
相場よりも手間賃が格段に安い場合は、注意が必要です。

4.粗利益率、経費による違い

見積金額(請負金額)から工事原価(材料費+手間)を引いたものを粗利益といいます。
粗利益から経費を差し引いた残りが、リフォーム会社の利益です。

リフォーム工事では、現場ごとに詳細な経費を計算するのは難しいので、現場ごとの収支を判断するのには、一般的には粗利益を指標にしています。

粗利益を見積もり金額(請負金額)で割ったものを、粗利益率といいます。

リフォーム工事は、住宅の新築工事と比較して1件単価が小さく、その割に手間がかかって生産性が低いため、会社の経営を維持していくためには、粗利益率が最低でも30%以上必要だといわれています。

見積金額100万円の工事なら、30万円以上がリフォーム会社の粗利益です。

一方、経費は、一般的には会社規模が大きくなるほどかかります。

事務系スタッフや営業マンの人件費、本店、支店、営業所、駐車場などの賃料、ショールームの運営費、広告宣伝費、パンフレット・カタログ代などです。

よって必要となる粗利益率も、大きな会社ほど当然上がってしまいます。
全く同じ工事原価だったら、見積の合計金額は会社が大きくなるほど高くなる傾向がある事を覚えておくと良いでしょう。

ただし、これをどうとらえるかは、人によって様々だと思います。

大手リフォーム会社には、保証制度やアフターサービス体制が整っている、下請け業者への教育や社員への研修が行き届いている、信用があるので下請け業者や職人の確保がしやすい、商品を大量に仕入れる事が可能なので、安く仕入れる事ができる、ショールームや打ち合わせスペースなどが充実しているなどのメリットもあります。(ただし、これらの事がコストアップの要因になっています)

5.施工内容による違い

リフォーム工事は、新築工事と異なります。

新築工事が、全く何もない状況から新たに建物を建てるのに対し、リフォーム工事では既にあるものに手を加えて、より使い勝手を良くしたり、性能を向上させたり、不具合を解消したりするものです。

リフォームの目的を果たすために、「どこまで既存部分に手を加えるべきか」の考え方が会社によって異なるため、見積もり金額に差が出る事があります。

例えば、「結露でカビだらけの壁を綺麗にしたい」という施主の要望に対して、壁紙だけを貼り替えるのと、壁紙の下の石膏ボードも貼り替えるのとでは、当然工事費用が異なります。

また、それだけでは近い将来、カビが再発してしまうと判断して、結露防止対策を併せて行う様に見積もりをする会社もあるかもしれません。

また他の例では、キッチンセットの交換工事の際に給排水管の交換をするかどうかや、外壁を塗り替える際の下地処理の方法など、仕上がってしまうと見えなくなってしまう部分の処理については、会社により異なる事も珍しくないのです。

こうしたリフォーム会社の判断によっても、見積もり金額が違ってしまう事がある事を覚えておくと良いでしょう。

空き家リフォームの工事種類べつ目安金額

リフォーム費用は、会社によって見積もり金額に幅がある事を理解していただけたと思います。しかし、全く同じ工事内容であれば、適正価格の目安となる価格帯は存在します。

ここでは、空き家リフォームで良く行われているリフォーム事例の費用の目安をご紹介いたします。

費用は、一般的なリフォーム専門会社(総合的なリフォームに対応できる会社)の価格として、参考にして欲しいと思います。

尚、費用は税別価格で、リフォーム会社の諸経費を含みます。

1.戸建スケルトンリフォーム

スケルトンリフォームとは、住宅を基礎や柱、梁などの構造躯体のみを残して一度解体し、新築同様につくり直す工事です。

配管、電気配線などの設備や、玄関ドアやサッシ、外壁、屋根などの外装も全て刷新し、併せて耐震補強や断熱改修、間取り変更なども行います。

費用は木造2階建、延床面積25坪程度の住宅で、約1,200万円~が目安です。

2.戸建全面リフォーム

戸建住宅の外装、内装、水回り設備などを全面的にリフォームする工事です。

スケルトンリフォームとの違いは、外壁・屋根は既存のものを塗り替え、内装については、既存の床、壁、天井の下地はそのままに、仕上げ部分のみをやりかえます。

サッシ交換や、間取り変更、耐震補強などは行いません。
主に表層のみのリフォーム(化粧直し)と、住宅設備機器の交換がメインです。

費用は木造2階建、延床面積25坪程度の住宅で、約500万円~が目安になります。

3.外装リフォーム

化粧スレート屋根と外壁の塗り替え(木造2階建、延床面積30坪)

足場代、シーリング代を含んで約120万円~が目安です。

現在はシリコン系塗料を使用するのが一般的ですが、塗料の種類によっても金額が異なります。また、塗装工事の専門工事店で工事を行う場合には、これよりも安くなります。

外壁の塗り替え(木造2階建、延床面積30坪)

足場代、シーリング代を含んで約80万円~100万円が目安です。

化粧スレート屋根の塗り替え(木造2階建、延床面積30坪)

足場代を含んで約40万円~50万円が目安です。

瓦屋根の葺き替え(木造2階建、延床面積 30坪)

足場代、野地板補強を含んで約200万円~が目安です。

化粧スレート屋根をカバー工法(重ね葺き)で金属屋根に葺き替え(木造2階建、延床面積 30坪)

足場代を含んで約150万円~が目安です。

外壁モルタルを重ね張りでサイディング張りに変更(木造2階建、延床面積30坪)

足場代を含んで約180万円~が目安です。

外壁モルタルをサイディングに張り替え(木造2階建、延べ床面積30坪)

足場代を含んで約230万円~が目安です。

3.玄関ドア交換(カバー工法)

約30万円~が目安です。

玄関ドアの種類によって金額が変わります。

4.水回りリフォーム

水回りのリフォームは、採用する住宅設備機器のメーカー、機種、グレード、機能、オプション品の有無などによって大きく金額が異なります。

ここでは、主に建売住宅やローコストハウスメーカーの住宅などで採用されている、スタンダードな商品(オプション品なし)を想定しています。

システムキッチン(間口2400mm)、システムバス(0.75坪)、洋風便器(洗浄便座付)、洗面化粧台セットの交換

約200万円~が目安です。

システムキッチン(間口2400mm)交換

約70万円~100万円が目安です。

在来工法の浴室をシステムバス(0.75坪)に変更

給湯器(追い炊き付)の交換も含んで約100万円~が目安です。

在来工法の浴室(0.75坪)の改修

既製品のシステムバスにするのと比べて、タイルや浴槽を自由に選ぶ事ができるので、オリジナルデザインの浴室にリフォームする事が可能です。

給湯器(追い炊き付)の交換も含んで約150万円~が目安です。

システムバス交換(0.75坪)

給湯器の交換を含まずに約60万円~が目安です。

洋風便器(温水便座付)交換

トイレ内の内装工事を含んで約20万円~が目安です。

和式トイレを洋式トイレに変更

トイレ内の内装工事を含んで約30万円~が目安です。

洗面化粧台セット(間口750mm)交換

洗面所内の内装工事を含んで約15万円~が目安です。

6.内装リフォーム

和室から洋室に変更(6帖)

床をフローリング貼りにして、天井・壁のクロス貼り、ドア交換、押し入れからクロゼットへの変更を併せて行います。

約40万円~が目安です。

京壁の塗り替え(6帖)

約8万円~が目安です。

天井、壁ビニールクロス貼り換え(6帖)

約5万円~が目安です。

カーペットから複合フローリングに変更(6帖)

約8万円~が目安です。

畳から複合フローリングに変更(6帖)

約12万円~が目安です。

畳の表替え(6帖)

普及品で約4万円~が目安です。

階段手摺取り付け

約3万円~が目安です。

7.メンテナンス工事

白蟻防除工事(延べ床面積25坪)

約13万円~が目安です。

外壁、サッシ廻りシーリングの補修(木造2階建、延べ床面積30坪)

足場代を含んで約35万円~が目安です。

外壁モルタルの部分補修

足場代を含んで約20万円~が目安です。

破損瓦の差し替え(5枚程度まで)

約3万円~が目安です。

雨樋の交換(木造2階建、延床面積30坪)

足場代を含んで約30万円~が目安です。

8.エクステリア工事

門扉交換(両開き)

約15万円~が目安です。

カーポート屋根新設(車1台分)

約30万円~が目安です。

9.耐震補強工事

現状の耐震強度によって様々ですが、平均施工金額はおよそ150万円前後になります。

以上が、空き家リフォームで要望が多い工事項目の費用の目安です。

実際の工事では、諸条件により上記の金額と異なる場合もあると思いますが、特別な理由がない限り、大きく異なる事はないと思います。是非、参考にしてください。

まとめ

リフォーム工事には、新築工事の様に坪単価などの目安がないため、リフォーム会社から見積書を受け取っても、それが適正価格なのかどうかを判断するのは、一般の方には難しいと思います。

また、既存の建物状況などによって、費用が変動しやすいため、私たちプロでも正確な見積書を作成するためには、必ず現場調査を行います。

それほど厄介なリフォーム工事の見積もり。普段から希望に近いリフォームの実例をたくさん見て、相場観を養っておく事が大切です。

その際に参考となるのが、一般財団法人経済調査会発行の「積算資料ポケット版 リフォーム編」や、各メーカーから公表されている設計価格(材料代に工賃を含めた定価の様なもの)です。

「積算資料ポケット版」は書店やアマゾンなどで購入する事ができ、設計価格は各メーカーのホームページなどで確認する事ができます。

一般的にはリフォーム会社の見積単価は、メーカーの設計価格よりも安く表示されるのが普通なので、それよりも高い金額になっていたら要注意です。

こうしたツールや、上に挙げたリフォーム費用の目安を上手に活用して、リフォームの予算組に役立てる様にしてください。

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益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
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