空き家再生のためのトイレリフォーム、修繕ポイント




はじめに

誰もが毎日使用するトイレ。
トイレは住まいの中でも欠かせない空間です。

また完全なプライベート空間といえども、トイレの汚れや臭いは気になるもの。来客時や他の人の家を訪問した際には、トイレの状態を気にせずにはいられません。

一方、キレイで快適なトイレに入ると、気分までリフレッシュできます。

昨今のトイレリフォームには、機能性やデザイン性にこだわった居心地の良い快適な空間が求められています。

これを受けて、近頃のトイレはユーザーの多様なニーズに対応した新しい機能が付いた商品が数多く開発されるようになりました。

暖房、温風乾燥機能付の洗浄便座をはじめとして、消臭機能や汚れ防止機能が付いたもの、洗浄タンクのないタンクレス便器や、隙間の少ない一体型便器、従来の約半分以下の水で便器を洗浄する節水機能が付いたもの、センサーでフタを自動開閉したり、自動で洗浄水を流すものまで、様々な商品が販売されています。

またトイレのリフォーム工事では、単に高性能の便器に交換するだけでなく、バリアーフリーやヒートショック対策など、高齢者が安全に使用できるよう配慮したリフォームプランの作成が不可欠です。

わずか1坪にも満たない小さな空間にも関わらず、トイレリフォームには解体工事や天井・壁・床の造作工事、給排水や電気、換気などの設備工事など、多くの工種が必要で、床の段差解消や手すりの設置など、抑えるべきポイントも多数存在します。

今回は様々なトイレリフォームの費用相場やリフォームのポイント、費用を節約するポイントなどをご紹介したいと思います。

トイレの洗浄方式と特徴

トイレに対してどんな機能を求めるのかは、それぞれの家庭や人によって様々です。しかし何も知らずに便器を選んでしまって、リフォーム後に後悔するのは避けたいものです。

どうせリフォームするのなら、自分好みの機能・デザイン・内装にこだわって、居心地の良い快適なトイレにして欲しいと思います。

そこで、初めにトイレの排水方式の種類と商品選びのポイントや注意点についてご説明します。

便器には床上排水型(壁排水)床下排水型(床排水)の2つの排水方式があります。便器を交換する場合には、現在設置されている便器がどちらの排水方式なのかを確認し、同じ排水方式の便器を選ぶ必要があります。

一般的にはマンションには床上排水型が多く、戸建住宅には床下排水型が採用されていることが多いです。

また、同じ排水方式でも、便器によって床から床上の排水管中心までの高さや、壁から床排水管中心までの距離が異なります。

床下排水型の場合には、リフォーム専用便器を選べば既存の排水管を移動しなくても接続が可能です。

また便器には洗浄方式によって、洗浄力・脱臭・静音・節水の能力に差があります。それぞれの特徴をよく理解して便器を選ぶようにしてください。

主な洗浄方式と特徴は次の通りです。

1.洗い落とし式便器

水の勢いを利用して汚物を排出する方式。
構造が簡単なので安価ですが、洗浄時に水はねや洗浄音が発生しやすい。

また、溜水面が小さいのが特徴で、汚物が付着しやすく、臭いが上がりやすい。
現在では、新規に使われることは少なくなっています。

2.サイホン式便器

排水路を屈曲した形状とすることでサイホン現象を発生させて、その吸引作用で汚物を排出する方式。溜水面が広く、臭いの発散や汚物の付着が少ないスタンダードな方式です。

3.サイホンゼット式便器

サイホン式をベースに、便器上部と便器底のゼット孔からの水勢を利用して、より強力なサイホン作用で汚物を排出する方式。

溜水面が大きいので汚れがつきにくく、臭気も少ないのがメリットです。

4.サイホンボルテックス式便器

便器とタンクが一体になったワンピース型。
サイホン作用と渦巻作用を併用して汚物を排出する方式。

洗浄時に空気の混入が少なく洗浄音が静かで、汚れがほとんどなく、臭気も少ないのがメリットですが、洗浄水量が多く、タンクの水圧が一般よりも多く必要になります。

以上が代表的な洗浄方式ですが、他にもメーカー独自の改良を加えた便器が市場に多く出回っています。

一見同じ様に見えるトイレの洗浄方式ですが、技術の進化があらわれる部分で、掃除の手間や水道代に大きく影響します。

タンクレストイレのメリットとデメリット

トイレ空間全体をスッキリとした印象にするシンプルなデザインのタンクレストイレが人気の様です。でもメリットばかりではないはず。

タンクレストイレのメリットとデメリットをご紹介します。

タンクレストイレとは、文字通り従来便器の後ろ側にあったロータンクがない便器のことです。タンクがない分、奥行き約10cm、高さ約30cm程度、従来よりもトイレ空間が広がります。

奥行たった10cmでも、元々狭いトイレでは、思いのほか広さが実感できます。

凹凸のないシンプルなデザインなので拭き掃除が簡単で、今までタンクが邪魔で掃除しにくかった便器の裏の床掃除もラクになります。

また、水道直結式なので、タンクに水が溜まるのを待たずに連続して水を流すことができます。

一方デメリットは、水道直結のため必要最低水圧がないと、使用上支障をきたすことがある点です。マンションリフォームで採用する場合などでは、水圧が不足している可能性があるので、事前に確認が必要です。

そしてつい忘れがちなのは、今まで手洗い付きのタンク式トイレを使用していた場合には、手洗い器の設置が新たに必要になることです。

洗面室がトイレに隣接していない場合には、要注意です。

他には、温水洗浄便座と一体式なので、故障しても便座部分のみの交換ができないことや、価格が高いことなどメリットばかりではないので、十分に検討した上で採用する様にしてください。

便器の故障と対策

便器はほとんどが丈夫な陶器で作られています。(パナソニックのトイレは陶器ではなく、独自開発の有機ガラス系の新素材です。)

便器自体は、ひびが入ったり割れたりしなければ、寿命は50年以上です。

しかしタンクの中の部品や、温水洗浄便座は10年以上経過すると不具合が生じることが多くなります。

家族みんなで毎日使用するものなので、トイレのトラブルは生活に支障をきたします。良くあるトラブル事例と対処方法をご紹介します。

タンクの故障で多いのが「水が流れない」トラブル

タンクの中の浮き球が引っかかっていたり、浮きゴムの鎖が外れているか切れていることが多い様です。

タンクのふたを開けて自分で修理することも可能です。鎖が外れていたらレバーの金具に掛け、鎖が切れていたら新しい鎖と交換します。

次に多いのが「水がとまらない」トラブル

タンクの中のゴムフロートの劣化や、ごみが挟まっている可能性があります。
ゴムフロートと排水口の間にごみがはさまっていたら取り除けば正常になります。ゴムフロートを触って手が黒く汚れる様なら、交換が必要です。

他にはボールタップの故障やピストンバルブのゴムパッキンの老朽化が原因の場合があります。

タンク内の部品は意外と寿命が短いので、普段からタンク内の構造を知っておいたり、止水栓の閉め方を覚えておくと慌てずに対処できます。

原因がわからなければ自分で無理して修理せずに、専門業者に修理依頼しましょう。

そして、今や付いているのがあたり前の様になった温水洗浄便座のトラブル

温水洗浄便座の寿命は、使用頻度や機能などによっても異なりますが、早いものでは10年以内で故障してしまうものもあります。

リモコンの故障や洗浄ノズルの故障、便座の暖房が効かないなどの症状が出たら寿命と考えましょう。

家電製品なので、当たりはずれがあるのは仕方のないことです。
最新の温水洗浄便座には様々な機能がついていますが、機能が多いほど故障する可能性が高くなります。

必要な機能のみの商品を選ぶ様にしましょう。

その他のトイレトラブル

また、排水の臭いがひどくなった、排水の流れが悪くなったなどの場合は、便器の溜水面が小さくなっていたり、サイホンゼット式便器のゼット孔が汚れで詰まっていることがあります。

掃除で直ることもありますが、そろそろ交換を検討する時期です。

便器の取り換えは20年程度が目安になります。急に壊れて困らないように、5年に一度程度は点検を行う様にしましょう。

10年から15年を過ぎると便器やタンクが変色し始め、汚れや臭いもとれにくくなります。タンクからの水漏れや給排水管の詰まり、腐食などが発生したらそろそろ交換時期です。

トイレリフォームの種類と費用の目安

1.便器交換

便器交換を検討するきっかけは、便器の故障の他、臭いや汚れ、お掃除の大変さなどが多いと思います。

便器を交換する場合には、最低でも既存の便器の解体撤去費、排水管の移設工事費、便器の取り付け費と床面の工事費が必要になります。

最新の便器は節水化が進み、従来の便器の1/2から1/3程度の水でトイレの洗浄ができる様になりました。

普通に使用して水道代が節約できるので、節水型便器へ交換する方も増えています。

また、黒ずみや水アカが付きにくい新素材の採用、お手入れがラクなフチなし形状、抗菌加工や除菌水など各メーカー独自の防汚技術を採用し、汚れがつかない、臭わないなどより美しく快適なトイレ空間を目指した便器がたくさんあります。

他にも便フタが自動で開閉するオート開閉機能や、便座から立ち上がると洗浄水が流れるオート便器洗浄機能が付いた商品など、トイレは用を足すだけの役割ではなくなりました。

便器の値段はメーカーや機種によって異なりますがリフォーム会社の見積価格は一般的にはメーカー定価の20~35%引き程度です。

便器の目安価格は、温水洗浄便座付のスタンダードな組み合わせ便器で、メーカー定価が17万円~20万円、洗浄便座一体型のタンク式トイレやキャビネット付トイレなどが定価23万円~25万円、タンクレストイレで定価25万円以上です。

工事費は6万円~7万円くらい(諸経費込)が目安になるでしょう。

2.和式トイレから洋式トイレへの変更

和式トイレから洋式トイレへ変更するリフォームも時々あります。

和風便器を撤去し床の段差を解消、新たに洋風便器を設置するための給排水管の移設や電気工事、床・壁の造作工事を行います。

工期は2~3日間が目安で、リフォーム費用は現況や採用する便器の値段によって大きく変わりますが、工事代の目安は15万円(諸経費込)位~で、便器代金を入れると最低でも30万円程度は見込んでおいた方が良いでしょう。

3.トイレの内装リフォーム

便器を交換する際に既存の便器を撤去すると、それまで見えなかったタンク背面の壁や便器の後ろ側の床の汚れが気になるものです。

せっかくトイレをリフォームするなら、同時に壁や床も綺麗にしたいものです。
トイレの壁材や床材選びで注意したいのは、水に強い素材を選ぶことです。その点では、最もポピュラーなビニールクロスやクッションフロアは安心です。

またビニールクロスは、消臭効果のあるものや防カビ・汚れ防止機能のある機能壁紙がお奨めです。量産品のビニールクロスよりも値段は若干高くなりますが、狭い空間なので差額はわずか数千円です。

天井、壁を貼り替えても、3万円程度(諸経費込)でリフォーム可能です。

また、壁一面だけ色・柄を変えてアクセントにしたり、調湿・脱臭機能のある壁材(LIXIL エコカラット 定価5800円/㎡~)にするのも良いと思います。

床はクッションフロアなら1万円以内(諸経費込)でリフォーム可能。

もちろんフローリングやコルクタイルなどの床材に変更することも可能ですが、水分が浸み込むと傷みが激しくなるので、こまめにお手入れが必要になります。

4.トイレのバリアフリーリフォーム

トイレをリフォームするなら、将来に備えてバリアーフリーにしておきたいものです。

まだまだ必要ないと思っていても、新しい便器は今後20年程度交換する必要がないと思われるので、将来のことを考えて高齢者や車いすでも使いやすいトイレにしておけば安心です。

入口の段差を解消したり、すぐに手摺が必要でなくても、将来手摺が設置できる様に壁に下地を入れておくなど、内装リフォームに併せて行っておく事をお奨めします。

床段差の解消工事は、比較的大がかりな工事が必要になるケースもありますが、「段差解消スロープ」などを利用すれば2,000円~10,000円程度で設置することができます。

また、老後の使い勝手などを考慮して、開き戸から引き戸に変更するリフォームも増えています。(現状の間取りによっては不可能なケースもあります)

控え壁の工事が不要な外付けタイプの引き戸(アウトセット引き戸)を採用すれば、10万円程度で引き戸へ交換可能です。

これらのリフォームを行う際に、家族に介護保険の被保険者で、要支援・要介護に認定されている方がいる場合には、介護保険制度を利用して20万円を上限に工事費の9割までの補助金を受けることができます。

事前にリフォーム会社やケアマネージャーに相談してみましょう。

他にもトイレの立ち座りに配慮したトイレリフトや補高便座も販売されているので、家族に高齢者がいる場合には、リフォーム会社に相談すると良いでしょう。

5.手洗い器の新設

トイレ用手洗い器は、各住設メーカーから様々なタイプが販売されています。

従来からある壁付けタイプや収納付き壁付けタイプ、カウンタータイプ、コーナー置きタイプ、手摺一体型タイプやセミオーダータイプなどの中から、トイレの広さや使い勝手に応じて商品を選びます。

商品代はメーカー定価の20~40%引きが目安で、取り付け費は1万円~2万円(税別)が目安ですが、配管が近くにない場合は新規配管工事代金がかかります。

6.トイレそのものを増設する

「2階の寝室から1階のトイレまで下りるのが大変」、「朝トイレが混みあって、ゆっくりと用が足せない」などの理由で、トイレを増設するケースがたびたびあります。

トイレを増設するためには、まずスペースを確保する必要があります。
一般的には、押し入れなどの収納スペースをトイレに変更するケースが多いと思います。

広さは最低0.75帖ほどのスペースが必要です。

増設希望の場所付近に給排水管があれば良いのですが、ない場合は少し工事が大がかりになります。給排水管の配管経路によって工事費用が大きく変わるので、リフォーム会社に現地調査を依頼して見積もりをとってください。

また最近では、居室などに設置可能な圧送式トイレも販売されています。定位置に固定する必要がないため、移動も可能であり、高齢者対応のトイレ改修に便利です。

トイレリフォームを安く抑えるコツ

トイレは畳1帖ほどの狭い空間ですが、丸ごとリフォームするとなれば、最低でも30万円近くかかります。少しでも費用を抑える方法はないのでしょうか。

ここではトイレリフォームを安く抑えるコツをご紹介したいと思います。

1.リフォーム専用トイレを使用する

各住設メーカーでは、リフォームに特化した便器を販売しています。

リフォーム専用トイレを使用すると、排水アジャスターにより既存の便器の排水管を移動しなくても接続可能なので、床材の撤去や復旧工事、配管移設工事が節約できてコストや工期を抑えることができます。

2.便座のみ交換する

洋式トイレのリフォームでは、便器は既存のものをそのまま利用し、古くなった便座のみ交換することができます。

同型の便座に交換するほか、最新式の温水洗浄便座に変更することも可能です。

洗浄便座にも様々な機能がついた商品があるので、カタログや住設メーカーのショールームで比較検討すると共に、便器のサイズやタンク種類の確認のほか、トイレ内にコンセントがない場合には、電気工事が必要になります。

3.内装のみリフォームする

便器を交換しなくても、天井・壁のビニールクロスと床のクッションフロアを貼り替えるだけで、トイレ内の雰囲気を一新することができます。

壁一面だけアクセントクロスにしたり、腰から下の高さまでをクロスの色や柄を変えてみるのも良いでしょう。

また、内装工事と同時に電気配線を移動してブラケット(壁付け)照明に変えるのも良いと思います。狭い空間なので、照明器具ひとつでトイレのイメージがガラリと変わります。

お気に入りの照明器具を見つけて、くつろぎの空間を演出するのもリフォームの醍醐味です。

まとめ

昨今のトイレは単に用を足すだけの場所ではなく、ひとりで考え事をしたり、中にこもって読書をするなど、くつろぎの空間としての快適性が求められる様になりました。

それだけに汚れや臭いは大敵です。

我が国の便器はTOTOが約6割のシェアを占め、次いでLIXIL(INAX)が続き、2社(陶器メーカー)による製造が大半を占めています。

近年では温水洗浄便座の普及により、パナソニックや東芝などの家電メーカーの参入も見られる様になって、中でもパナソニックが樹脂製や有機ガラス系新素材の便器を開発してシェアを伸ばしています。

各メーカー共に、掃除のしやすさやデザイン性にこだわった商品開発に注力していて、ハイグレードな便器も次々と販売される様になりました。

商品の選択の幅が大きく広がりましたが、それだけに自分の家庭にピッタリと合致するトイレを選ぶのが難しくなったともいえます。

数多いリフォームメニューの中でも比較的手軽にできるトイレのリフォーム。
今回ご紹介したポイントを参考にして、満足度の高いリフォームが実現できれば幸いです。

The following two tabs change content below.
益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
スポンサーリンク

土地・家・マンションの無料一括査定サイト40社