空き家を自分でリフォームする ~素人でもできる家の修繕方法~




セルフリノベーション、DIYでコストをかけずに空き家をリフォームする

近年、なるべく費用をかけずに所有している空き家を有効活用したい方の間では、自分でリフォームを行う「セルフリノベーション」「DIYリフォーム」が注目を集めています。

ホームセンターや100円ショップなどで入手できるものを利用して、工夫次第ではどこにもないオリジナルな空間づくりも可能なので、DIYを楽しむ人も増えている様です。

書店には「セルフリノベーション」に関する書籍が並び、テレビ番組や雑誌でもたびたび特集が組まれるほどで、「自分も是非やってみたい」と思う方も少なくないのではないでしょうか。

一方ではいざ始めようとすると、「何からはじめて良いのかわからない」、「どんな道具が必要になるのか」、「どこまで自分でできるのか」など不安に思う方も多いでしょう。

今回はそんな「セルフリノベーション・リフォーム」のすすめ方や、メリット・デメリット、注意点などをご紹介したいと思います。

セルフリノベーションによる空き家リフォームのメリットとデメリット

空き家のセルフリノベーション・リフォームに着手してから後悔することのない様に、あらかじめメリットとデメリットを知っておくことが大切です。

自分で行うリノベーションやリフォームには、どんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

セルフリノベーション・リフォームのメリット

1.安い費用でリフォームできる

自分でリフォームすれば、かかる費用は基本的には材料代と工具代及び廃材の処分費のみですが、リフォーム会社に依頼すると当然のことながら業者の利益や諸経費が上乗せされるので、その分費用が高くなります。

無駄なコストを抑えてリフォームできるのが一番のメリットでしょう。

2.自分の好きな様にリフォームできる

リフォーム会社に依頼すると、出来上がったものが自分のイメージと違うということもありますが、自分でリフォームすれば自分の思い通りのデザインにすることができます。

また、途中で変更する場合や、工事のやり直しをする場合でも、リフォーム会社に依頼した場合には、追加・変更工事代を請求されてしまいますが、自分でリフォームする場合には、納得のいくまで何度でもやり直すことができます。

さらに、予算や時間、目的に合わせて、自分の好きな時間に好きなだけリフォームできるのもメリットです。

3.完成した住まいに愛着がわく

苦労して自分でリフォームした家は、他人に依頼してリフォームした家よりも愛着が持てる様になるはずです。

4.住まいづくりに関する知識が身につく

住まいをリフォームする過程において、自分で色々調べたり、作業方法に工夫をしたりするうちに建築・リフォームの知識が身につくので、完成後の簡単な修繕なども自分でできる様になります。

セルフリノベーション・リフォームのデメリット

1.作業に時間がかかる

素人の作業なので、プロの職人の様に手際よく作業できないのは仕方がありません。

同じ作業をするにしても、プロの職人に依頼すれば4~5日で終わるものが、普通のサラリーマンが週末だけ作業する場合には1~2か月かかってしまうこともあるでしょう。

また、施工方法や道具の扱い方、材料の特性などを調べながら作業するので、失敗してやり直す時間も覚悟しておく必要があります。

2.予想以上に費用がかかる

作業には様々な工具が必要になります。

便利な工具、作業に必要な工具などを買いそろえていくと、工具代に思った以上の費用がかかってしまうこともあります。

3.怪我をする恐れがある

現場作業や電動工具の扱いに不慣れなため、思わぬ怪我をする可能性があります。不安定な姿勢での作業や、重い資材の運搬、電動工具の取り扱いなどには細心の注意が必要です。

また、作業する際の服装や装備も怪我を防ぐためには重要になります。

作業しやすい服装はもちろんのこと、木材や廃材などを運ぶ時は手袋を着用し、電動工具を使用する時は防塵メガネや防塵マスクを装着します。

新たに購入するにはお金がかかりますが、万一怪我でもすればもっと高くついてしまいます。

4.ひとりではできない作業がある

重い資材の運搬や、大きなものの取付作業など、ひとりではすべての作業ができない場合があります。

作業を手伝ってくれる仲間の協力が必要です。

5.仕上がりがプロほど良くはない

はじめからプロがリフォームしたものの様にキレイに仕上がらないのは、仕方がないことでしょう。

6.廃材の廃棄処分に手間やお金がかかる

多くの人が忘れがちなのが、リフォームで出たゴミの処分です。

リフォームで撤去した住宅設備機器やボード類、工事中に発生するゴミや残材などは通常のゴミとして出すことができません。

産業廃棄物として自分で民間の産業廃棄物処理場まで運んで処分するか、民間の産業廃棄物処理業者に依頼して処分してもらうことになります。

いずれの場合も有料です。

自分でリフォームする場合には必要になることなので、覚えておきましょう。

7.根本的な不具合や欠陥は改善できない

セルフリノベーション・リフォームの一番の問題点はこの点にあると思います。

古くて汚くなった住まいでも、セルフリフォームすればそれなりに見栄えは良くなって、使い勝手の悪さも改善できると思います。

しかし、建物の構造補強や、老朽化した給排水管の交換、腐食した木部の補修や補強などは、正しい知識を持ったプロの仕事でないと安心できません。

8.リフォームローンが使えない

金融機関のリフォームローンは、リフォーム会社に工事を依頼する場合にのみ利用できます。セルフリノベーション・リフォームは対象外なので、注意が必要です。

この様に、自分でリフォームするのはメリットとデメリットがあります。むしろデメリットになることの方が多いので、安易な気持ちでセルフリフォームすると、必ずといっていいくらい後悔することになると思います。

特にセルフリフォームの結果、知らずに建物の構造強度を低下させてしまうケースもあるので、注意が必要です。

それでは、できる限りデメリットをなくして自分でリフォームする方法はないのでしょうか。次のパートでご説明したいと思います。

DIYリフォームを成功させるためのノウハウ

リフォームと聞くと、間取り変更や耐震補強など大がかりな改修工事をイメージする方も多いと思いますが、家の修理やちょっとした工夫を加えることも広い意味でのリフォームです。

自分で行うリフォームで失敗しないためには、はじめから大がかりなリフォームには手をつけずに、短期間で作業できる小修繕や、簡単な作業から着手することです。

慣れるまでは作業時間が数時間程度、かかっても1日以内で終了することを目安にして,自分でやる作業を選ぶと良いでしょう。

つまり、大規模なリノベーションを避けて、簡単な設備交換や収納の増設、外壁や雨樋のメンテナンスなどの部分的なリフォームを自分で行い、それ以外は業者に依頼するという方法です。

簡単な小修繕でも、工夫次第で部屋や建物全体の印象を大きく変えることも可能です。壁紙やドアはそのままでも、生活感がにじみ出た古臭いドアノブを変えるだけで、部屋のイメージが一変することも珍しくありません。

セルフリフォームの成功の秘訣は、単に高級感や機能性を向上させるだけでなく、ちょっとした心遣いやセンスなのです。

こうした既成概念にとらわれない工夫をすることも、素人のDIYリフォームの醍醐味でしょう。

自分でできる空き家の修繕、リフォームの例

1.設備の交換

  • スイッチ、コンセントプレート交換
  • インターホン交換
  • 換気扇交換
  • 温水洗浄便座交換
  • 水栓交換
  • 照明器具交換

特殊な工具は不要で、商品に同梱されている施工説明書を読めば比較的簡単に施工可能です。

2.簡単にできる修繕箇所

  • 外壁のひび割れ補修
  • 雨樋の修理
  • 京壁、珪藻土などの塗り壁の補修
  • 網戸の張り替え
  • 障子紙の張り替え
  • 襖紙の張り替え
  • クッションフロアの張り替え
  • 壁紙の補修
  • 窓枠の塗装
  • タイルの補修
  • フローリングの補修
  • ウッドデッキの塗り替え

DIYの基本となる作業です。

作業方法はインターネットの動画サイトなどでもよく見かけるので、参考にすると良いでしょう。

4.自分ですぐにできるグレードアップ要素

  • 手摺の取り付け
  • 壁1面のみアクセントクロス(糊つきの壁紙)貼り
  • 棚板取り付け
  • 押し入れ内にハンガーパイプ取り付け
  • 住宅用火災報知器取り付け
  • キッチン前壁化粧パネル貼り
  • キッチン扉ダイノックシート(化粧シート)貼り
  • ドアノブ交換
  • 洋服掛け(フック)取り付け

下地の設置が必要だったり施工にコツがあったりするので、少し難易度が高くなりますがセルフリフォームの入門編として最適です。

近年では、既存の壁紙の上に直接施工することができる珪藻土や漆喰などの塗り壁材や、手軽に壁面収納を作製できるパーツなどもホームセンターで売られているので、これらを上手に利用すれば部屋の印象を一変することも可能です。

以上が自分で行うリフォームメニューの一例です。

業者に発注しても数千円程度のものもありますが、自分好みの色やデザインを選んだり、好きな場所に好きな数だけ取り付けることができるのがDIYの楽しさです。

また、ほとんどが既製品を選んで取り付けるだけなので、たとえ施工に時間がかかっても、プロの職人が施工したものと仕上がりの差がでにくいのがポイントです。

施工方法や施工時の注意点、必要な道具などは、ホームセンターで無料で配布している小冊子などにも詳しく書かれているので、参考にすると良いと思います。

失敗しないセルフリノベーションの秘訣

以前からDIYが趣味で、本棚やテーブル、木製ベンチなどを数多く製作した経験があり、「工具もひと通り所有している」、「せっかく空き家を手に入れたので、これを機会に自分でリノベーションしたい・・・」と思っている方もいるでしょう。

また、「前述したDIYリフォームはほとんど経験した、次は本格的なセルフリノベーションにチャレンジしたい」と思う方がいるのも当然です。

しかし、セルフリノベーションのデメリットから生じるリスクを考えると、全て自分の手で行うのがベストな選択とは思えません。

建物の構造や建築関連の法律などを正しく理解せずに全てDIYで行うと、予想外のトラブルや工事のやり直しが必要になる場合があります。

そんな方におすすめしたいのが構造や設備の施工はプロに任せて、仕上げの工事だけ全て自分で行う方法です。

仕上げの工事に限定すれば、たとえ失敗してしまったとしてもやり直しが容易です。

プロの力を借りてリノベーションを行う場合には、まず専門家にリフォームを予定している住宅の建物診断・調査を依頼しましょう。

そして劣化状況や不具合などの建物のコンディションを調査し、必要なメンテナンス工事や修繕工事をリストアップしてもらいましょう。

それをもとに自分でリフォームプランを立て、簡単な間取り図を作成します。図面ができたら、リフォーム会社に相談し、自分で行う工事と行わない工事の線引きを行います。

その際にはリフォーム会社にあらかじめ「DIYでリフォームしたい」旨を伝え、リフォーム会社からも工事範囲の分担やコストダウンなどのアドバイスをもらう様にすると良いと思います。

近年ではセルフリノベーションを希望する方も多いので、柔軟に対応してくれるリフォーム会社も数多いと思います。

またその際には、建物調査の結果必要とされた工事は、リフォーム内容に含める様にしてください。

間取り変更にともなう構造補強や耐震補強、配管工事、電気工事などの設備工事や雨漏りに関係する部分の施工はプロに依頼しましょう。

尚、結線が伴う電気設備の取付・交換などの電気工事や給水管、ガス管の配管工事は、専門の資格がないと施工できません。漏電による火災発生や感電、漏水事故防止のために、絶対にやめましょう。

さらに、大規模なリノベーションには建築基準法などの関連法規が関わってくる場合があるので、建築のプロの助言が役立ちます。

万一建築基準法などの関連法規に違反する場合には、工事の中止や使用禁止、最悪のケースでは取り壊しなどの行政処分を受けることもあるので、注意が必要です。

セルフリノベーション・リフォームに必要な電動工具

住まいのセルフリノベーション・リフォームをする際に欠かせないのが工具です。

ドライバーやかなづち、バール、スパナ、レンチなどはどのご家庭にでもあると思いますが、本格的なリフォームをするとなると、電動工具は是非備えておきたいものです。

ここでは最低限持っておきたい電動工具をご紹介します。

1.丸ノコ

木材を加工するのに丸ノコがないと始まらないといえる程、重要なアイテムです。あわせて、丸ノコでまっすぐにカットするために重宝する丸ノコガイド定規もあると便利です。

ただし丸ノコは正しく扱わないと大怪我をする可能性があるので、取扱いには十分注意が必要です。

2.インパクトドライバー

大量のビスを手早く打ち込んだり、綺麗な穴を開けるのに欠かせません。

バッテリー式とACコード電源式がありますが、バッテリー式は充電が切れると使用できなくなってしまうので、スペアのバッテリーがあると便利です。

3.電動サンダー

電動サンダーは木材・金属の研磨・塗装剥がし・サビ落としなどに使用される工具です。

ホームセンターで購入した木材などは表面の仕上げが粗いので、仕上げとしてそのまま使用すると完成度は高くありません。

電動サンダーで磨くと一段と完成度が高まり、プロの仕上がりに近くなります。

4.ジグソー

直線、曲線が初心者でも比較的簡単にカットできる道具です。家具製作をする際にあると便利です。

以上DIYリフォームで使用頻度が高いと思われる電動工具を4つご紹介させていただきました。

必ずしも必要とは限りませんが、作業スピードや作業精度を高めるためには、いずれ必要になるであろうものです。

はじめから全部そろえなくても、作業を進めながら必要と思ったものからそろえていく方法でも良いと思います。

また、買わずにレンタルする方法もあるので、検討してみましょう。

DIYアドバイザー、ホームセンターの有効活用

セルフリノベーション・リフォームを行う上で活用したいのが、ホームセンターなどにいるDIYアドバイザーです。

DIYアドバイザーとは、日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会のホームページによると、「住まいの手入れ、補修、改善等を自らの手で行い、快適な生活空間を創造したいと願う生活者を対象に、DIYの指導・相談にたずさわる人」です。

一般の方へ - 日本DIY協会
日本DIY協会の公式ホームページです。当協会は、“DIYの健全な普及を通じて、DIY産業の総合的な発展を図るとともに、豊かな国民生活の形成に寄与すること”をめざして、さまざまな活動を推進しています。

DIY用品の選択やDIYの作業方法についての相談にのってもらうことができます。

また、ホームセンターにある木材のDIY向けプレカットも非常に役立ちます。

図面の作成や、正確な採寸などが必要になりますが、ホームセンターであらかじめ材料をカットしておくことで現場作業の省力化になるのはもちろん、搬入もラクで、ゴミの削減にもつながります。

自分でリフォームを行うためには、ホームセンターを上手に利用することが大切です。

DIYリフォーム関連資格の取得

これから空き家のDIYリフォームを本格的に目指す場合には、DIYに関して本格的な知識や技術を身に付け、DIYに関連する資格を自分で取ってしまうという方法もあります。

DIYに関連する資格には、前述のDIYアドバイザーのほかに、DIYリフォームアドバイザーという資格がある様です。

一般社団法人 住環境教育協会のホームページによると、DIYリフォームアドバイザーとは「住まいのDIY型リフォームやメンテナンスを自ら行うための基礎知識とスキルを身につけ、健康的で快適な住空間創造を願う生活者やDIY型賃貸借物件に対して、アドバイスや実践指導ができる人材」とあります。

こういった資格認定講座を受講して、DIYリフォームを学んでおくのも役立つかもしれません。

DIYアドバイザー資格試験 - 日本DIY協会
日本DIY協会の公式ホームページです。当協会は、“DIYの健全な普及を通じて、DIY産業の総合的な発展を図るとともに、豊かな国民生活の形成に寄与すること”をめざして、さまざまな活動を推進しています。
DIYリフォームアドバイザー – 一般社団法人住環境教育協会

まとめ

近年ではどこにでもホームセンターがあって、様々なDIY商品が販売される様になりました。100円ショップでもDIYで使える商品が多数販売されています。

また、雑誌やインターネットなどで、DIYに関する情報はいつでも取得できる様になっています。今後セルフリノベーション・リフォームはますますブームになっていく様に思われます。

しかし、セルフリノベーション・リフォームには数多くの問題点があることも事実です。

プロではない一般の方が挑戦しても、つねに失敗する可能性がつきまといます。失敗しないためには、「決して無理をしない」ことが大切です。最初はできることからスタートして、少しづつ手を広げていきましょう。

また、DIYには怪我もつきものです。

つい無理な姿勢で作業したり、不用意に電動工具を取り扱うと非常に危険です。重大事故につながることも多いので、くれぐれも気を付けて欲しいと思います。

自分でリフォームを行うと費用が抑えられると思いがちですが、無理に全てを自分で作業しようと思って怪我をしてしまったり、作業に必要な工具を全部そろえると、かえって高いものについてしまうこともあります。

建築士やリフォーム会社などの建築のプロや、ホームセンターのDIYアドバイザーなどを上手に活用して技術的なアドバイスを受け、施工方法の相談にのってもらう様にしましょう。

そして決して全てを自分でやろうとせずに、重要な部分は専門家に任せることがセルフリノベーション・リフォームの成功の秘訣だと思います。

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益子公博

益子公博

住宅会社で20年以上リフォーム事業の責任者経験があり、リフォーム業界、住宅建築業界の裏事情やリフォーム現場には精通。ホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を経営、住宅診断、欠陥住宅相談、リフォーム会社への社員研修など実施しています。
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