空き家のシロアリ対策 – 予防法から発見したときの対策、被害箇所の修繕方法まで。

長い間空き家だった築30年ほどの家に久しぶりに入ってみたら、洗面所の床がブヨブヨしていて、柱のまわりに木のくずのようなものが見られました。

「これって、もしかしたらシロアリが原因?」

心配になってシロアリ駆除業者に連絡して詳しく調べてもらうと、やはりシロアリの食害が原因の様です。

業者からは「早急にシロアリ駆除を行って、これ以上被害が拡大しない様に予防工事を行う必要がある」といわれました。

しかし、たとえ「シロアリを退治してもこのまま住むことができるの?という不安が残ります。シロアリ駆除業者は、初期のシロアリ被害なら駆除をしっかりと行えば問題ないといいますが、本当なのでしょうか。

シロアリを駆除しただけでは安全な住まいとはいえないのでは…?
こんな不安をお持ちの方は、多いのではないかと思います。

シロアリは住宅を支える重要な柱や土台を食い荒らし、最終的には建物が地震で倒壊してしまうほど、耐震性を低下させてしまうことがあります。

そのまま住めるかどうかはケースバイケースで、状況によっては修繕や大がかりなリフォームが必要になることもあります。

これから空き家の活用をしようと思っている方にとっては、無視できない問題でしょう。
そこで今回はシロアリ被害とその修繕・リフォーム方法についてご説明したいと思います。




シロアリ被害の原因

シロアリ被害を防ぐには定期的に予防工事を行うことが一番ですが、万一シロアリ被害にあってしまったら、早期発見、早期対策を行うことで、最小限の被害にとどめることを考えるしかありません。

シロアリ被害を受ける家には、必ずその原因や兆候があります。
そのような原因をできるだけ排除して、サインを見逃さないことが重要です。

シロアリ発生の3条件

まずはシロアリ被害にあう原因です。
シロアリが発生しやすい環境には、典型的な3つの条件があります。

  1. 湿気(水分)があって風通しが悪く、乾燥していないこと
  2. 食べ物(木材、木っ端、木片、植物の根、段ボールなど)があること
  3. クロアリなどの外敵がいないこと

以上の3つが大凡のケースに当てはまるシロアリ発生条件です。
シロアリは光や風、乾燥を嫌い、暗くて通気性の悪い湿った場所を好みますが、逆に言えば、シロアリ被害を防止するためには、この3つの条件を排除することとなります。

家屋内でシロアリが発生しやすい箇所

水回りなどの湿気のある場所

家の中でシロアリが発生しやすいのは、水を使用する浴室、洗面所、トイレ、キッチンなどの水回り周辺の柱や土台です。

玄関の床をよく水洗いする場合も、シロアリ被害を受ける可能性が高くなります。
また、家の北側の水回り設備から漏水があると、シロアリにとっては最高の環境になります。

築30年以上の家に多く見られる在来工法の浴室をユニットバスにリフォームする際には、そのほとんどで浴室廻りの土台や柱がシロアリ被害を受けているのが確認できます。

昔の在来工法浴室は防水性が低いため、シロアリ被害にあう確率が高いので、こうした傾向が顕著なのです。

浴室のタイルや目地が割れていたり、ドアの下が傷んでいる様ならシロアリ被害を受けている可能性は高いといえます。

同様に雨水の床下への流入や、浸水などがあったら要注意です。

通期状態が悪い場所や木製の物が置いてある場所

また、基礎の床下換気口の前をモノや植栽などで塞いでしまったり、家の周囲の地面に直接木材を置いたままにしておくと、たちまちシロアリが発生して建物の中に侵入してしまいます

家の周りの木製の柵や、エクステリアに古い枕木などを使用している場合、木製のウッドデッキがある場合も要注意ですので、こういった場所は時々点検する必要があります。

特に古い建物になるほど、床下は土のままのことが多く、防湿対策が施されていないので、床下に地面から上がった湿気がこもりがちです。
それに加えて基礎の立ち上がりも低いので、一度床下に漏水などがあれば、シロアリにとって生息しやすい環境がそろってしまうのです。

床下の木材の含水率が20%を超えると、シロアリ被害や木材腐朽菌の繁殖が発生しやすいので要注意といえるでしょう。
雨漏りが発生している箇所

他には雨漏りも大敵です。
雨漏りで天井裏や壁の中の木材が湿ってしまうと、これもシロアリにとって良い環境になります。

シロアリ被害を避けるためには、万一水漏れや雨漏りが発生した際には,念入りに点検を行い、異常があった場合には放置せずに早急に対策することが重要です。

無管理状態の空き家はシロアリにとって天国

以上のことから、長い間空き家になっている家は、シロアリ被害にあう危険性が非常に高いことがよくわかります。

建物の周りが雑草で鬱蒼としていて風通しが悪い、家のメンテナンスが行き届いていないなど、シロアリが繁殖する条件が揃っているためです。

そしてシロアリ被害にあうと、その後移動して近所の家に迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。空き家でシロアリを発見したら、自分が住んでいないからといって放置しておくわけにはいかないのです。

よく見るシロアリの種類

一方、現在の国内には、在来種のヤマトシロアリイエシロアリの他に、外来種のアメリカカンザイシロアリが生息しています。

暗くて湿った場所を好んで土の中を移動し、エサとなる木材を探す在来種のシロアリに対して、アメリカカンザイシロアリは、水分がわずかしか含まれていない乾いた木材の中でも生息できるので、より手強い存在です。

家の中のあらゆる場所に発生する可能性があり、木材の内側を食べるため、発生していることに気が付きにくいのが特徴です。木製の家具などから発見されることもあって、現状ではなかなか有効な予防策がありません。

シロアリ被害には必ず予兆(サイン)がある

日本で見られるシロアリは、主に北海道北部を除き全国に分布する「ヤマトシロアリ」と関東以西に分布する「イエシロアリ」です。

シロアリ被害は地震大国である我が国においては、放置することができない深刻な問題です。
家の土台や柱がシロアリの食害を受けてボロボロになった家は、大地震が起きると倒壊する危険性があります。

万一シロアリ被害にあったらできるだけ早期に発見して、対策することが大切なのはもちろんですが、そのためには、シロアリが発するサインを見逃さないことが重要になります。

シロアリ被害の様々なサイン(予兆)

シロアリ被害の兆候には以下のような事象が考えられます。

1.羽のついた「羽アリ」と呼ばれる大量のシロアリを見かけた。

羽アリが飛来すると、その家で産卵してシロアリが繁殖する可能性が高くなります。
4月から5月頃がヤマトシロアリ、6月から7月頃がイエシロアリが飛来する時期です。

しかし万一羽アリを見かけた場合でも、羽アリには有害な羽アリとそうでない羽アリがいます(素人には簡単に見分けがつかないので、シロアリ駆除の専門業者に相談するのが正しい対処方法です)。

2.床下や押し入れなどで「蟻道」を見かけた。

蟻道とは土や排泄物で作られたシロアリのトンネルのことで、基礎や床束、土台、壁の表面に作られます。

光や乾燥を嫌うシロアリは、このトンネルを通って移動しますが、蟻道が発見された建物は、ほぼ間違いなくシロアリ被害を受けています。

3.家の周辺にある廃材や木片、木製の柵や門柱などにシロアリの食害が見られた。

庭にある木材は、シロアリが最も生息しやすい場所ですので、使わないような廃材は敷地内から至急撤去することが必要です。

もしも廃材にシロアリが巣食った後を見つけてしまったならば、すでに建物内に侵入している可能性があるので、専門業者に調査を依頼しましょう。

4.洗面室、トイレなどの床がブヨブヨしていたり、歩くと沈む様になった。

歩いた時に床が何となくフワフワして違和感を感じたり、扉の建付けが悪くなるなどの症状が出たら、シロアリ被害を受けている可能性があります。

床下点検口があればそこから覗いて点検します。
蟻道や糞などが見つかればシロアリの食害を受けています。
自分で点検することに不安がある様なら、専門業者に早めに相談したいケースです。

5.建物の一部に、中がスカスカになった木材や木のくずの様なものがあった。

シロアリは木材の柔らかい部分を好んで食べ、硬い部分を残すので、表面を残して内部を食害して進んでいきます。

シロアリの食害を受けた木材は、ハンマーで叩くと空洞音がしたり、ドライバーで突っつくと簡単に穴があいてしまいます。

中がスカスカの木材を見かけたら、シロアリの食害を受けている可能性が極めて高い事例ですので、至急対策が必要です。

6.木材の近くに砂粒状のものをたくさん見かけた。

これらはアメリカカンザイシロアリの糞です。
床に砂粒状の糞が発見されたら、天井から糞が落ちてきた可能性もあります。

アメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材を食害し、外に糞を排出しますので、このケースも至急対策が必要です。

もしかしてシロアリ?と思ったらすぐ手を打つことが重要

恐ろしいシロアリ被害から大切な家を守るためには、シロアリが好む環境にしないと共に、定期的に点検を行い、シロアリ被害のサインを見逃さないことが重要です。そして万一シロアリの兆候を見かけたら、早急に対応するようにしましょう。

シロアリ被害の具体的な対策方法

すぐに駆除のプロを呼ぶのが王道

シロアリ被害が疑われたら、至急シロアリ駆除業者に連絡して調査してもらい、必要に応じて駆除や予防工事を行うのがベストです(一般的にシロアリ調査は無料で行っている業者が多いです。)

シロアリ駆除は木材部分のみでなく、床下の土壌部分にも薬剤を散布します。

薬剤の散布は床下以外にも玄関土間に穴を開けて直接土壌へ注入したり、トイレ、洗面所、浴室の窓枠やタイル壁から壁内へも行っておくと安心です。

また、家の周りの枯れ木や切り株など、シロアリの巣になりそうなところも消毒しておくと良いでしょう。

シロアリ駆除費用はいくら?

木造住宅の場合の一般的なシロアリ駆除費用は、床面積1㎡あたり3,000円前後が相場です。

ホームセンターやインターネットの集客サイトでは、これよりも安いものを良く見かけますが、薬剤処理する範囲や施工方法の違いなどによって将来にリスクが残る可能性があるので、単に価格を比較するだけでなく、保証期間や保証内容などを十分に検討する必要があります

また、すべての種類のシロアリが駆除や予防の対象となるわけではないので、事前に良く確認しておく必要があります。

自分で駆除したい場合は

一方、自分でシロアリ駆除をしたいと思う方もいるでしょう。
最近のホームセンターでは、DIY向けに様々なシロアリ駆除に関する商品が市販されていますので、それらを利用するのがまず考えられます。

殺虫成分が入った駆除剤の種類によっては、用法や効果が異なるので、使い方をよく確認してから作業を行う必要があります。

また、人体にも少なからず悪影響を与えるものが多いので、マスクや手袋、防護服などの装備も欠かせません。

応急処置として自分で作業する分には良いと思いますが、素人が根本的にシロアリを退治するのは困難なので、個人的にはあまりお奨めできません。

シロアリ被害にあってしまった箇所の修繕方法

安全性確保のために、プロによるリフォームを

シロアリ駆除後には、必ず被害箇所を調査し、補修や修繕・リフォームを行いましょう。
シロアリ駆除業者の中には、被害を受けた建物の補修や修繕も行っている会社もありますが、修理がきちんと行われていないとあまり意味がありません。

建築の専門知識や修繕の技術がある会社に依頼する必要があります。

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シロアリの食害にあった柱・土台などの構造材や、床・壁の下地材などをそのままの状態にしておくと、建物の強度が低下する原因となるばかりか、やがて床や壁に不具合が生じて建物の価値が損なわれてしまう可能性が高まります。

実際に、過去の大地震で倒壊してしまった建物の多くがシロアリ被害を受けていたというデータもあります。

駆除の後には詳細な建物調査を行って、建物本来の機能や性能を回復させる又は向上させることが必須です。

加害箇所を良く確認して適切な補修や補強を行うことが重要なので、シロアリや建物の構造について正しい知識を持っている業者に依頼する必要があります。

シロアリ被害箇所の修繕

それではどの様な修繕が必要になるのでしょうか、被害箇所のケース別に修繕事例を具体的に見ていきたいと思います。

1.柱の補強

シロアリの食害を受けた柱は著しく強度が低下してしまうので、交換が必要になります。
仮設の柱と油圧ジャッキで建物を支えながら、シロアリ被害を受けた柱を撤去し、新しい柱に交換します。

また、柱脚と柱頭は柱の引き抜けを防止するために、金物を使用して土台や梁などの横架材と緊結します。

建物の隅柱、通し柱など取り換えができない場合には、根継ぎを行います。
根継ぎとは、柱の腐った部分を取り除き、取り除いた部分を新しい材で継ぎ足すことです。

古くから「金輪継ぎ」といわれる伝統的な工法で施工するのが一般的でしたが、近年では職人の技術力不足でこうした加工ができず、添え柱や金物などを使用して補強するケースが多い様です。

いずれの方法でも、いい加減な施工では強度を回復するばかりか、強度低下になるので、経験豊富な業者に依頼することが重要です。

補修後には、防腐(防蟻)処理を併せて行います。

2.土台の補強

土台は柱やアンカーボルトなどの制約があるため、交換する場合は工事が大がかりになります。そこで、部分的に交換するのが一般的です。

シロアリ被害を受けている部分をノミできれいに撤去し、新しい材をはめこんで金物で補強したあと、次に必ず防腐(防蟻)措置を施します。

3.外壁下地材の補修

外壁やサッシ廻り、バルコニー周辺から雨漏りがあると、外壁の下地材(ラス板など)がシロアリの食害にあってボロボロになってしまうことがあります。

そのまま放置し続けると、いずれ外壁が剥がれ落ちて大きな事故に繋がります。
時間の経過と共に被害が広範囲に渡ってしまうので、早めの対策が必要です。

傷んでいる外壁と下地材を撤去し、工事のやり替えを行います。

4.床組みの補修

柱や土台のみでなく、シロアリの食害が大引きや根太、床板にまで拡大してしまうケースもありますので、被害を受けた木材は全て交換し、防蟻防腐処理を行います。

迷っている暇はない。シロアリ被害箇所の修繕は1日でも早く行うべき。

以上がシロアリ被害の代表的な修繕方法になります。

シロアリ被害は発見が早いうちなら工事も比較的簡単ですが、対応が遅れてしまうと、スケルトンリフォームなどの大がかりな工事をしないと十分な補修や修繕ができない場合も少なくありません。

また、被害箇所を補修や修繕するためには、浴室のリフォームや水回り設備機器のリフォームを併せて行う必要がある場合もあります。

補修工事が大がかりにならずにすむ様に、定期的な点検でシロアリ被害のサインを見落とさない事が大切です。

ただし、悪徳シロアリ駆除業者にはくれぐれも注意

ここまでシロアリ被害を予防するためには、定期的な点検と早期対応が必要という話をしてきましたが、シロアリ駆除業者の中には悪質な業者も存在しているので注意が必要です。

悪質シロアリ駆除業者は他のリフォームの悪質業者と同じ様に、突然訪問してきて「無料点検」を口実に、言葉巧みに接近してきます。

「近所でシロアリが発生したので点検にきました」

「ただいま無料点検キャンペーンを実施しています。」

などの言葉には要注意です。

そして、床下の状態を実際よりも酷く言って不安をあおり、高額な契約を迫るのが常套手段ですので注意が必要です。

このような業者には、最初からまともな工事は期待できないばかりか、床下換気扇や調湿材などの必要のない商品まで売りつけられてしまう場合もあります。

また悪質業者とは言えないまでも、建築に関して無知なために、基礎に人が通り抜けできるような穴をあけたり、耐震補強と称して全く意味のない工事をされてしまう事例も珍しくありません。

こうしたケースでは、建物強度が以前よりも低くなってしまうこともあります。

訪問販売のセールスを受けたら、絶対にその日のうちに契約するのは辞めて、地元の信頼できそうな業者に相見積もりをとって比較する様にしましょう。

万一、悪質業者に騙されて契約してしまったと思ったら、クーリングオフ制度が適応可能かどうかを必ず確認し、場合によっては弁護士経由で契約解除や返金をはっきりと要望すべきです。

まとめ – 空き家管理のシロアリ対策は家主の責務

日本の在来種であるヤマトシロアリやイエシロアリは、元来、土の中に巣を作って生活しています。建物の下に元々住んでいたシロアリが、巣の上にある餌場の住宅に住みついてしまう可能性は低くありません。

つまりシロアリは、どこかから敷地境界線を越えてやってくるものとは限りません。

シロアリ駆除は、家の持ち主が住まいの安全性や耐久性を維持するために、自らの責任で行うべきものなのです。

しかし一方では、シロアリ被害をめぐるトラブルもたびたび発生している様です。購入した中古住宅がシロアリ被害を受けていた、貸家にシロアリが出て借主から損害賠償責任を追求された、庭に放置しておいた木材が原因でシロアリ被害にあったと隣家から苦情を受けた、などです。

木造住宅が多い我が国では、シロアリ被害が全国各地で数多く発生しています。シロアリは、音をたてることもなく静かに家の大事な柱や土台、梁などを侵食し、建物に大きなダメージを与えるので、気付いた時には家の主要構造部までボロボロになっていたなどということも珍しくなく、家財まで被害を受けてしまうこともあります。

一般的にシロアリ被害に対する保証期間は新築時から10年間で、その後は5年ごとのシロアリ防除業者による点検・予防工事が必要とされています。シロアリ被害を予防するため、シロアリ業者に事前に予防処理を依頼した場合には、業者によっては「白蟻損害賠償保証」を付けてくれます。

保証内容は業者により異なりますが、万一シロアリ被害を受けてしまった場合の予防工事の再施工はもとより、損害賠償の請求も可能になるので、非常に安心です。

長い間空き家となっていた家を活用して、賃貸したり売却を行う際には、シロアリ点検とシロアリ予防工事は不可欠だと思います。

尚、繰り返しで恐縮ですが、その際にはくれぐれも悪質業者による不要なトラブルに巻き込まれない様、十分に注意してください。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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