空き家不動産トピックス|市街化調整区域とは?都市計画法との関係




市街化調整区域と都市計画法

土地には、その土地の立地や現状等によってそれぞれに適した使い道があります。

土地は高度に利用すればするほどその使い道も生きてきますし、所有者の勝手で無秩序な開発が行われることでその利便性を失うどころか、火災や事故などの甚大な災害を引き起こし人的被害を出してしまう危険性もはらんでいます。

また、山林や原野などの地域において、開発に伴う伐採や造成を無計画に行うことによって従来そこに根付き、市民生活に必要なインフラの根源となる水源を切ってしまったり、生態系を乱すことによって害獣の被害を巻き起こすような結果を招くことを防ぐのも国益を守る、国民の生活を守るために必要なことです。

日本国においては国土の用途に関してほぼすべてが『都市計画法』という法律によって守られていて、土地の所有者は自身の所有地に関してこのルールに従って使用をすることが義務付けられています。

特にこの中で、開発が推奨される地域と開発をすることなくできるだけ現状のまま保護しておくべき地域という線引きを行い、それぞれの土地が持っている特性を生かして高度な都市計画の礎となる都市計画区域について、本項では詳しく触れていきたいと思います。

尚、当記事では市街化調整区域と都市計画法そのものの説明に終始しておりますので、市街化調整区域の空き家を売るための具体的方法については、下記のページでまとめておりますのでご参照ください。

市街化調整区域の空き地や土地を売る方法
「空き家を売りたいのだけど、市街化調整区域にあるからトラブルが心配」 そのような不安を抱えている空き家オーナーは多いでしょう。...

日本の国土について

日本は世界で60番目くらいに広い国

世界196か国の中で、日本の国土は60番目くらいに広い国です。国土の総面積は37万8,000平方キロメートルあります。同じくらいの大きさの国はベトナム・ドイツ・パラグアイ・ジンバブエだそうです。周囲を海で囲まれたいわゆる島国で、隣国と陸続きになっているところはなく、国土の2/3は森林です。

住むことが出来る土地は国土のおおむね30%

国土の2/3は山林なので、沿岸部や盆地などの『可住地』と呼ばれるところは国土の約30%です。面積にして11万3千キロ平方メートルくらいのところに1億2800万人程度の人が暮らしています。

一般財団法人国土技術研究センター
このウェブサイトのトップページです。JICEは、道路、河川、海岸、都市施設、住宅等の有効利用及び適正管理の促進に資するため、国土に関する調査研究を総合的に行い、もって国民福祉の向上に寄与することを目的として活動しています。

人口は都市部に集中

その中でも特に人口は大都市圏に集中しています。東京・大阪・名古屋に3大都市圏と、各地にある政令指定都市とその周辺に人口が集中しています。

東京都の人口はおよそ1,360万人。首都圏と呼ばれるすべての県の人口を合計すると、およそ日本の人口の1/3程度の人が首都圏に暮らしています。

県別にみると政令指定都市を持つ道府県に人口が集中していて、面積的には可住地の2~3割くらいのところに住んでいる人が集中しているような状態です。

統計局ホームページ
総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計職員に専門的な研修を行っています。

都市計画法とは

 

国土の説明でおおかた理解はしていただけたと思いますが、日本の国土のうち、便利で安全・快適な都市生活を送ることのできる土地はとても少なく、高度に活用するに当たり問題の要因はたくさんあり、かつそれらが複雑に交錯して問題を起こす懸念が考えられます。

また、生活の根源である自然を敬い、その体系を崩すことによって過去様々な重大事件となって生活をしている国民自体に大惨事として跳ね返った例もあります。

そのような教訓をもとに、都市の開発にルールを設けることで問題の種が発生しないように配慮され、以降都市住民の生活の場を恒久的に便利で安心な環境であるよう保持することを目的とする法律が、都市計画法なのです。

都市計画法の理念

都市計画法の第二条に、その基本理念が謳われています。内容は以下の通りです。

都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活および機能的な利活動を確保すべきこと並びにこのために適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

都市計画法の目的

そして都市計画法が具体的にどのような目的で定められているのかは、都市計画法第一条の通りです。

この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、持つて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

都市計画法による区域区分

都市計画法により都市計画区域内は非常に細かく分類されます。そのすべてが都市を形成する上で必要な、町全体のイメージを形作る大切なルールです。

日本の国土をざっくりと分けて説明するとこういう風になります。まず都市計画法による都市計画区域に入っているか否か。そして都市計画区域内で市街化が促進される市街化区域なのか、あるいは抑制される市街化調整区域なのか、またはどちらにも属していない非線引き区域なのか。という風になります。

また、都市計画区域外においても、都市計画区域の近隣で将来的に高度な利用を考えるべき区域に関して、『準都市計画区域』に指定されているところもあります。

用途地域とは

続いて市街化区域にはそれぞれの用途を担うためジャンルにより地区分けがされています。これを用途地域と言います。主に建築の際の建物にかかる規制の目安になるのが一般的ですが、一応住宅系・商業系・工業系に分かれています。

用途地域
住宅系 商業系 工業系
第一種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域

第一種住居専用地域

第二種住居専用地域

準住居地域

近隣商業地域

商業地域

準工業地域

工業地域

工業専用地域

そしてこれらの用途地域の中でも特にその用途や活用価値に特別性のある地区に関しては、地区指定がされることもあります。例えば住宅が密集しているところや歴史的建造物が並ぶ街、古くから街にある景観の美しい場所などです。

その他地域地区
高度利用系 防災系 景観系
特別用途地区

高度地区

高度利用地区

高層住居誘導地区

特別容積率適用地区

特定街区

都市再生特別地区

防火地域

準防火地域

災害危険区域

景観(美観)地区

風致地区

特定用途制限区域

駐車場整備地区

緑地保全地域

生産緑地地区

伝統的建造物群保存地区

このように都市計画法では大きく街を捉え、その中でどのように活用すれば高度な活用につながるか、環境保全の面でどこを手つかずにすればよいのか、また、区分に沿わない特別な場所についてどのように維持保全をしていけばよいのかなどを包括的に考えているのです。

話は前後しますが、次にこの中で表題にもある市街化区域と市街化調整区域の説明をします。

都市計画区域とは

市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域を合わせて都市計画区域と呼びます。日本の国土において都市計画区域に指定されているのは総面積の27%にあたる約10万1,884平方キロメートルで、さらにそのおよそ14%の1万4,480平方キロメートルが市街化区域であるということです。

都市交通調査・都市計画調査:§2 都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

市街化区域とは

市街化区域とは、都市計画区域内において『すでに市街地が形成されている区域又またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域』と都市計画法に定義されている区域です。日本の国土の3.8%が、市街化区域に

市街化区域は、区域や公共施設を整備したり、面的な整備を行うことにより積極的に整備・開発を行っていく区域として区分され、その利用目的に合わせ用途を制限し、建築制限を設けて良好な都市環境の市街地の形成を目指すと定義されています。

市街化調整区域とは

対して市街化調整区域は、都市計画法上『市街化を抑制すべき区域』と定義されています。市街化調整区域に指定されている区域は日本国土の約10.3%で、主に農業に供される田園地帯であることが多くあります。

市街化調整区域では、農林水産施設や公共施設・公的機関等による区画整理事業以外での開発行為は原則的には認められません。

非線引き区域とは

都市計画区域内にあって、市街化区域・市街化調整区域のどちらにも指定されていない区域を非線引き区域と言います。非線引き区域は国土の約11.5%を占めています。都市計画法では『区域区分が定められていない都市計画区域』と定義されています。

非線引き区域内では、市街化区域のように土地の用途も定められておらず、建築にかかる制限も特にありません。また市街化調整区域のように建築や開発自体の抑制もされていないので現状であれば比較的自由の効く区域ではありますが、問題として将来市街化区域か市街化調整区域のどちらかに属する可能性がないとは言い切れず、その後の用途に関して不都合が生じる可能性をはらんでいることを少しは考える必要があります。

※出典 Wikipedia

それぞれの区域における制限

このように、土地の高度利用を目的に線引きがなされた都市計画区域内における市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域についてそれぞれの用途に合った規制を設けることで便利で安全・快適な都市環境を形成する目的で都市計画法が定められています。

下記にそれぞれの区域のルールをまとめてみました

区域 市街化区域 市街化調整区域 非線引き区域
ルール 用途地域が定められる。

建蔽率・容積率が定められる。

防火区域・準防火区域の線引きによって建物の材質などに規制がかかる。

1,000平方メートル以上の規模の開発行為を行おうとする者は、原則として都道府県知事に開発許可を受けなければならない。

都市計画法では、農林漁業用建築物を建設する目的での開発行為は許可不要としているが、市街化区域はこの対象外である。

建築物を新築や増改築移転する場合(防火地域や準防火地域外において増改築部分の床面積が10平方メートル以内のものを除く。)しようとする者は、特定行政庁又は指定確認検査機関に申請して建築確認を受けなければならない。(市街化区域・市街化調整区域共通)

2,000平方メートル以上の土地取引については、国土利用計画法に基づく届け出を行わなければならない。

農地法による農地転用・転用目的権利移動について、都道府県知事・農林水産大臣の許可は必要なく、農業委員会への事前の届け出で行うことが出来る。

規模の大小にかかわらず開発行為を行おうとするものは原則として都道府県知事から開発許可を受ける必要がある。

開発許可を受けている場所以外では、都道府県知事の許可を受けなければ建築物および第1種特定工作物の新設をしてはならない。

建築物の改築・用途変更により農林漁業用建築物・公共上必要な建築物以外の建築物にしてはならない。

(※ただし開発許可が不要な場合は知事の許可も不要)

建築物を新築や増改築移転(増改築部分の床面積が10平方メートル以内のものを除く)をしようとするものは、特定行政庁に申請して建築確認を受けなければならない(市街化区域・市街化調整区域共通)

地区整備計画において、容積率の最低限度、建築物の建築面積の最低限度、高さの限度を定めることはできない。

5,000平方メートル以上の土地取引については、国土利用計画法に基づく届け出を行わなければならない。

開発許可を受けているものなどである場合を除き、公正競争規約により土地取引の広告をする際には、『市街化調整区域。宅地の造成お飛び建物の建築はできません』と16ポイント以上の文字で表示しなければならない。

(※新聞・雑誌広告ではこの規制はない。)

建築に関する規制は市街化区域に批准する。

さいごに

自分のお金で買った自分の土地をなぜ自分の自由に使えないのかという不満をごくたまに聞くことがあります。もちろん自身の所有財産なのですからそういう気持ちになるというのも一つの考え方なのだとしたい気持ちが筆者としても全くなくはありません。

少し前に楳図かずおさんが世田谷にシマシマの家を建てて近隣住民から騒がれていたのは記憶に新しいと思います。

あのケースに関しては、関係法令を無視して建てているわけでもなく、彼は何ら法を侵したわけではないのに近隣の住民に受け入れられなかったことで結局騒ぎになりました。

土地は自己所有ですが、街は自分だけのものではありません。利己的に建築した建物のせいで火災の際に隣家が延焼してしまうこともあれば、隣の民家がいきなり化学工場になって以後悪臭や水質汚濁に悩まされるようになるとか、地域でコミュニティを作りながら大事に活用してきた江戸時代からの長屋がいきなり取り壊されてパチンコ店などになってしまったら、穏やかな生活どころではたちまちなくなってしまいます。

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空き家隊長

空き家隊長

実家の相続をきっかけに空き家問題に直面。すったもんだの末に何とか売り抜ける。その際に経験したこと、様々な外部のプロに教えて頂いた空き家問題、土地活用問題について記事にしていきます。
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